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QDDとは? 検索結果に表示されるケースやそのロジックを活用したSEO対策を解説
QDD(Query Deserved Diversity)とは、同音異義語や多義語など、複数の検索意図を含むクエリに対し、Googleが敢えて多様性のある検索結果を表示している、という考え方です。このロジックを理解すると、Googleがどのような方針で検索結果を構成しているのかが分かりやすくなり、SEO対策の方向性を定めやすくなります。
近年のSEOでは、単純にコンテンツの品質を高めるだけでは、検索上位にランクインすることが難しくなっています。成果を出すためには、Googleが「ユーザーを満足させるために、どのような情報を検索結果に並べようとしているのか」を把握しておくことが重要です。
本記事では、QDDの考え方を軸に、検索結果の構造をどのように読み取り、SEO施策に活かしていくべきかを解説します。高品質なコンテンツを作成しているのになかなか検索順位が上がらない、とお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
QDD(Query Deserved Diversity)とは?

QDD(Query Deserved Diversity)とは、検索エンジンが同音異義語や多義語などの曖昧なキーワードに対し、異なる解釈のコンテンツを表示しようとする、というロジックです。
ちなみに、QDDはGoogleが公式に定義している用語ではありません。
しかし、検索エンジンの挙動を観察すると、この考え方が反映されているケースが数多く存在しています。そのため、SEO業界ではGoogleが検索結果を出力する際のルールとして広く認知されています。
たとえば「ライオン」で検索すると検索結果の1ページ目には「動物のライオン」と「企業のLION」が表示されます。

画像:「ライオン」検索結果
Googleは、特定のWebサイトや解釈に検索結果を偏らせるのではなく、複数の視点や情報源を1ページ目に並べることで、ユーザーの検索目的を効率的に満たそうとしています。
このような現象を説明する考え方として、SEO業界ではQDD(多様性のある検索結果)という概念を用いています。
なぜGoogleは検索結果をバラバラにするのか?
Googleが多様性のある検索結果を出そうとする背景には、「ユーザーの離脱防止」や「ユーザー体験の向上」があります。
これは、検索する立場になって考えるとわかりやすいでしょう。
先程の「ライオン」の例なら、企業のLIONについて調べようとしているのに、動物のライオンに関連したコンテンツばかりが表示されたらどうでしょうか。ユーザーは検索をやり直すか、Google以外のツールで情報を調べようとするはずです。
解釈を1つに絞って検索結果を出すと、マッチしなかったユーザーが離脱する可能性が高くなります。そのため、Googleは検索意図が曖昧なクエリに対しては、多様性のある検索結果を表示して幅広い意図をカバーする傾向があります。
このような傾向を、SEO業界ではQDDという概念で整理し、Googleの検索結果を読み解く手がかりとしています。
SEOにおけるQDDの役割
SEOにおいて、QDDは検索順位の仕組みを分析し、競合を避ける目的で活用されています。
元々QDDは「これまで上位を占有してきた記事が順位を下げ、代わりにジャンルや切り口の異なる別記事が表示されるようになった」といった順位変動を解明しようとする過程で生まれました。
この時、SEO業界では「検索結果には品質評価とは別に、多様性を保つための表示枠が存在するのでは?」という見方が広まったのです。
つまり、QDDの視点で検索結果を分析すれば「現在の上位記事がどのような切り口の枠で評価されているのか」や「埋まっていない枠が存在するのか」を把握しやすくなるわけです。
QDDの分析は、検索結果に用意された「枠」を特定し、無駄な競合を避けて上位を狙うコンパスとしての役割があります。
QDDが表示される代表的なケース

QDDが働く検索ワードには、いくつかの共通点があります。ここでは、その代表例を3つ紹介します。
言葉の意味が複数あるとき(多義語・同音異義語)
冒頭でも取り上げた、もっとも典型的なケースです。
検索キーワード自体が複数の意味を持つ場合、Googleはどれか一つに解釈を絞らず、異なる意味ごとのコンテンツを並べて表示しやすくなります。次のようなワードが該当するでしょう。
「ライオン」→ 動物のライオン / 企業のLION
「アップル」→ 果物 / Apple社
「Java」→ プログラミング言語 /カジュアルウェアブランド
このケースでは、検索時点でユーザーの意図を特定できません。QDDの傾向が強くなり、検索結果は自然とバラけた構成になります。
検索意図が1つに特定できないとき
同じキーワードでも、情報収集や比較・購入といった複数の検索意図が想定される場合も、QDDが作用しやすくなります。次のようなワードが該当するでしょう。
「ワイヤレスイヤホン」→ 解説記事 / 比較記事 / ECサイト
「SEO ツール」→ 基礎解説 / おすすめ紹介 / サービス公式サイト
Googleは、情報系・比較系・商用ページを混在させることで、どのような検索目的を持つ
ユーザーにも対応しようとしています。
評価や結論が一つに定まらないと
社会的な評価や好みが分かれるテーマでも、QDDは発動しやすくなります。次のようなワードが該当するでしょう。
「リモートワーク」→ メリット解説 / デメリット解説 / 導入事例
「生成AI 危険性」→ リスクを指摘する記事 / 活用を推進する記事
このようなテーマでは、特定の立場に寄りすぎると情報の偏りが生まれてしまいます。「公平な情報源」としての中立性が失われてしまうため、Googleは異なる意見や切り口の記事を意図的に並べる傾向があります。
QDDと密接に関わる「エンティティ」と「情報利得」

QDDが働く検索結果では、単純に高品質なページだけが表示されているわけではありません。多様性を維持するために、それぞれ役割や切り口の異なるページが組み合わされる傾向があります。
検索エンジンはどのようにして、多様性のある検索結果を出しているのでしょうか?
ここでは、QDDを理解する上で知っておきたい「エンティティ」と「情報利得」について解説します。
どの枠に入るかを決めるエンティティ
Googleは検索結果を構成する際、単に「キーワードが含まれているか」だけでなく、そのページがどのエンティティ(実体・概念)を中心に扱っているかをもとに、検索結果内での役割や位置づけを判断している、と考えられています。
検索エンジンにおいてエンティティとは、キーワードを単なる文字列としてではなく、
「人・物・場所・概念」といった意味の単位として識別するための考え方です。たとえば、同じ「Apple」という単語に対し、それが「IT企業」を指すのか、「果実」を指すのかを区別する仕組みが、エンティティにあたります。
Googleは「情報の偏り」を嫌うため、QDDが働く検索結果ではエンティティ(情報の属性)ごとに制限枠がある、と考えられています。このロジックを用いると、上位記事と類似した高品質コンテンツよりも、異なる属性や視点を持つコンテンツが優先して表示されるケースがあるのも、説明がつきます。
QDDで「空いている枠」を見極めるためにも、競合ページをエンティティの視点から観察することが重要になります。
枠内での優劣を決める情報利得
エンティティによって「どの枠に入るか」が決まったあと、同じ枠の中でどのページがより高く評価されるかを左右するのが「情報利得」です。
情報利得とは、検索結果にすでに存在している情報と比べて、そのページがどれだけ新しい視点や付加価値を提供しているかを示す考え方です。「既存サイトにはない『未知の知見』がどれだけ含まれているか」といった、独自性や新情報が重視されます。
たとえば、同じ「SEOツール」というエンティティの枠でも、「ツールの機能紹介(一般情報)」で構成されたページより、「実際にそのツールを使って検索順位を20位上げた検証データ(一次情報)」が含まれるページのほうが、高い情報利得を得られます。
Googleは、すでに検索結果にある情報の焼き直しや網羅ではなく、ユーザーに新しい発見をもたらす差分を評価します。競合分析では、情報利得の視点を通して「どの情報がすでに出尽くしているか」と同時に「まだ語られていない視点は何か」を見極めることが重要になります。
QDDのロジックを味方につけるSEO対策

QDDが「検索結果を分けるルール」とすると、エンティティはその分け方で、情報利得はどれを残すか、といった評価指標です。
エンティティから空いている枠を見つけ、コンテンツに情報利得を組み込めば、競合との衝突を回避しつつ、効率的に上位表示が狙えます。ここでは、その基本的な手順を解説します。
ステップ1:検索結果を観察して「空いている椅子(枠)」を探す
まずは、狙っているキーワードで実際に検索し、検索結果1ページ目の構成を観察します。
ここでは、次の点を確認しましょう。
- 上位が公式サイトや大手企業・ECサイトで占められていないか
- 解説系・比較系・体験談など、ページの切り口に偏りがないか
検索結果が公式サイトや大手企業のページで固められている場合、同じ立場・同じ切り口で上位に入り込むのは難しくなります。そのため、まずは「このキーワードで上位表示を狙える余地があるか」を見極めることが重要です。
上位表示の余地があると判断できた場合は、次にエンティティの視点で各ページを分析します。それぞれのページがどのような切り口・役割を担っているのかを整理し、勝てる領域や競合が少ない枠がないかを探します。
QDDが働く検索結果では「内容の良さ」以上に「どの立ち位置でエントリーするか」が勝敗を分けます。観察して「空いている椅子(枠)」を探しましょう。
ステップ2:自分だけの「情報利得」を記事に組み込む
空いている枠(エンティティ)が見つかったら、次に重要なのが、その枠内でユーザーに「情報利得」を提供することです。
SEOにおける情報利得では「提供した新情報がどれだけユーザーの悩みや迷い(エントロピー)を解消したか」が重要になります。具体的には、次のような要素が情報利得として評価されます。
- 実際に試した検証から得たデータや結果などの一次情報
- 失敗談や注意点など、公式情報では触れられにくい視点
- 複数記事を横断して整理した独自の解釈
既存の情報だけでは、日々刷新されるユーザーの悩みに対応できません。独自の検証データや実体験などの「オリジナル情報」を投入し、ユーザーに新しい確信を与えることが、「価値ある情報の差分(情報利得)」として評価されます。
枠内でどれだけ新しい価値を提供できるかを考えて、作成するコンテンツを決めましょう。
ステップ3:Googleに「何者か」を伝える(エンティティ対策)
競合の少ない枠内で情報利得のある情報を提供しても、提供元への信頼がなければ、そのページは評価されません。
QDDが働く検索結果では、コンテンツの内容だけでなく「その情報を提供する主体(エンティティ)」も含めて総合的に判断されます。エンティティを伝える方法としては、次のようなものがあります。
- 著者や運営者のプロフィールを明示し、専門分野や経験を具体的に記載する
- プロフィールや実績、過去記事との一貫性を持たせる
- 記事テーマと発信者の立場が自然に結びついている構成にする
提供する情報について語る必然性があると認識されることが、エンティティ対策の本質です。このような対策は、実績の積み重ねが大切になります。同じテーマ・近接領域の記事を継続的に発信することで、「この分野ならこのサイト(この人)」という認識が形成していきましょう。
よくある質問

QDDは、SEOの現場でも特に誤解されやすいテーマです。最後に、多くの人が陥りがちな誤解を解くためにQ&A形式で、よくある質問に答えます。
Q1:1つの記事に網羅的に情報を詰め込む方法では、多様性のある検索結果(QDD)に対応できませんか?
A1:対応しにくいケースが多いと考えられます。
現在のGoogle検索では、1ページですべての検索意図を満たそうとする「万能型の記事」よりも、特定のテーマや役割に明確にフォーカスしたページが評価される傾向があります。これは、情報を詰め込みすぎると特定の専門性や個性が薄まり、Googleから「どの枠に表示すべきか分からない」と見なされるためと考えられています。
Q2:QDDはすべての検索キーワードで必ず働くのですか?
A2:いいえ、QDDはすべての検索に一律で適用されるものではありません。
検索意図が明確で、求められる答えがほぼ一つに定まるクエリでは、多様性よりも「最適解」が優先されます。
Q3:QDDは検索エンジンのアルゴリズムでしょうか?
A3:QDDはアルゴリズムではありません。検索挙動を説明するための考え方です。
検索結果の構成を観察すると、多様性を意識した配置が一貫して見られるため、SEO業界では実務上のロジックとして扱われています。
まとめ
QDDのロジックを取り入れると、検索結果に用意された「枠」や、今求められている情報の方向性が可視化しやすくなります。
高品質なコンテンツを作るだけでは、成果を得るのが難しい環境です。検索順位から「どの椅子が空いているのか」を分析する視点が重要になっています。QDDのロジックを活用して、効率的に上位表示を狙っていきましょう。
