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キュレーションメディアが求められる理由と特徴、運用のポイントを解説

ライティング

「キュレーションメディア」という言葉を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。キュレーションメディアとは、インターネット上の情報をまとめたサイトのことです。情報化社会において、キュレーションメディアは注目を集めています。この記事では、キュレーションメディアの特徴や作り方、メリットなどについて解説します。

キュレーションメディアとは?

キュレーションメディアとは、インターネット上の情報を収集し、まとめたものを配信するサイトのことで、「まとめサイト」と呼ばれることもあります。「キュレーションサイト」という言葉は、美術館や博物館の展示会で展示するものを選ぶキュレーター(学芸員)が由来です。キュレーションメディアの具体例としては、「スマートニュース」、「NewsPicks」、「グノシー」などが挙げられます。
ここでは、オウンドメディアとの違いと、キュレーションメディアが増加している背景について解説します。

オウンドメディアとの違い

まず、オウンドメディアとは、自社が所有するサイトのことです。オウンドメディアには、自社のホームページやSNS、ブログなどがあり挙げられます。
このオウンドメディアとキュレーションメディアには主に3つの違いがあります。まず、キュレーションメディアはインターネット上に既にある情報をまとめたものを配信しますが、オウンドメディアは自社独自のコンテンツを配信します。
2つ目めの違いは、目的です。キュレーションメディアは広告収入を目的として運営されますが、オウンドメディアは、認知度や売り上げの向上、人材採用などを目的として運営されます。
3つ目めの違いは制作にかかる時間です。キュレーションメディアは既存の情報を収集・整理するだけなので短時間で制作できますが、オウンドメディアは自社独自のコンテンツを作制作する必要があるので、制作に時間がかかります。
以上が、キュレーションメディアとオウンドメディアの主な違いです。

キュレーションメディアが増加している背景

近年、キュレーションメディアが増加しています。その背景にはインターネット上の情報量の増加があると考えられます。インターネット上の情報は日々増加しており、それに伴い情報の受信は以前より容易になりましたが、人間の情報処理能力は以前と変わらないため、情報が多すぎてどの情報を見ればよいのかわからない人が増えてしまいました。そこで、日々増え続けるインターネット上の情報を収集し、まとめ、わかりやすく編集したもの情報を配信するキュレーションメディアが誕生しました。現在、多くの人が、自分で情報を見つけ出す手間や、自分の頭で情報を整理する手間を省けるキュレーションメディアを主にスマートフォンで閲覧しています。
一方で、キュレーションメディアの運営者側も、独自のコンテンツを制作する必要がなく、既存の情報をまとめるだけでアクセス数を稼ぐことが可能なので、これもキュレーションメディア増加の要因と1つといえるでしょう。

キュレーションメディアが抱える問題点について

キュレーションメディアは非常に便利なツールですが、いくつかの問題点もあります。ここでは、キュレーションメディアが抱える問題点について解説します。

情報の正確性

キュレーションメディアは、インターネット上にある情報を収集し、まとめたものを配信するサイトです。したがって、キュレーションメディアの運営者はその特性上、しっかりと情報の精査をしてから配信する必要があります。情報をの精査をしなかった場合、誤情報や偽情報を配信してしまうこともあるためです。実際に、ある医療系のキュレーションメディアが信ぴょう性の低い情報を多数配信していたことで大炎上したことがあります。ユーザーの信用を失ってしまうと、サイト内に掲載されているブランドや商品への信用も失いかねません。キュレーションメディアを運営する際は、収集した情報の事実確認を行ってから配信することが大切です。

著作権侵害の恐れ

インターネット上のコンテンツには著作権があります。したがって、キュレーションメディアの運営者は著作権侵害に注意しなければなりませんする必要があります。他人が作成した記事や画像・動画の無断転載は絶対にやめましょう。他人の著作物を使用する場合は、必ず引用元を明記し、引用の範囲内で利用することが大切です。引用される他人の著作物の方が本文の量よりも多い、といったことにならないように注意しましょう。また、引用する際は、引用部分がわかるように当該部分を引用符やかぎかっこで囲みましょう。

キュレーションメディアの種類

キュレーションメディアには、総合型と特化型の2種類があります。ここでは、それらについてそれぞれ解説します。

総合型キュレーションメディア

総合型キュレーションメディアは、ジャンルやテーマを限定せず、様々な分野の記事を配信するタイプのキュレーションメディアです。新聞社や出版社だけでなく、個人のSNSやブログなどからも情報をも収集し配信するため、より多くのユーザーに興味を持ってもらえます。そのため、ターゲット設定を広くとることができ、多くのユーザーからのアクセスを獲得することが可能です。総合型キュレーションメディアの具体例としては、「Antenna」や「スマートニュース」、「グノシー」などが挙げられます。

特化型キュレーションメディア

特化型キュレーションメディアは、特定のジャンルやテーマに特化したタイプのキュレーションメディアです。旅行やグルメ、ファッションなど、特定のジャンルに絞った情報を配信します。総合型と比べ、ターゲット設定が明確になるので、ターゲットのニーズに刺さるような高品質で深い情報を提供することが可能です。ただし、特化型の場合、特定のジャンルを専門的に取り扱う必要があるため、ライターには一定以上の知見を有することが求められます。特化型キュレーションメディアの具体例としては、「macaroni」(食に特化)、「RETRIP」(旅行・お出かけ情報に特化)、「MERY」(ファッションや美容などに特化)、「EnergyShift」(エネルギー・気候変動に特化)などが挙げられます。

キュレーションメディアの収益化モデル4タイプ

キュレーションメディアの収益化モデルには、広告モデル、仲介モデル、ECモデル、課金モデルの4タイプがあります。ここでは、それらについてそれぞれ解説します。

広告モデル

広告モデルは、メディア内に広告を載せることで報酬を得るタイプの収益化モデルです。ユーザーのクリックにより収益が発生するクリック型の広告や、広告の掲載により収益が発生するインプレッション型の広告があります。広告モデルを採用しているサイトの例としては、「スマートニュース」や「グノシー」などが挙げられます

仲介モデル

仲介モデルは、サービスを宣伝したい企業の広告をメディア内に掲載し、その広告をクリックしたユーザーが成約に至った場合に、収益が発生するタイプの収益化モデルです。請負企業から仲介手数料としてお金を得られます。仲介モデルを採用しているサイトの例としては、「せたがやクラソン」が挙げられます。

ECモデル

ECモデルは、メディア内で商品を販売して収益を得るタイプの収益化モデルです。このモデルでは、ユーザーが商品を購入したくなるような質の高い情報を掲載する必要があります。ECモデルを採用しているサイトの例としては、「北欧、暮らしの道具店」、「WEAR」などが挙げられます。

課金モデル

課金モデルは、無料で閲覧できるコンテンツのほかに、課金したユーザーのみが閲覧できる有料のコンテンツを配信し、収益を得るタイプの収益化モデルです。このモデルでは、無料のコンテンツを閲覧しているユーザーに有料コンテンツを見たいと思わせられるような工夫が必要となります。課金モデルを採用しているサイトの例としては、「NewsPicks」が挙げられます。

キュレーションの手法3タイプ

キュレーション(情報を収集・整理し、公開すること)の手法には3タイプあります。ここでは、それらについてそれぞれ解説します。

人力によるキュレーション

サイトの運営者や分野に精通する専門家が人力で情報収集する手法です。特化型キュレーションメディアで多く採用されています。人力によるキュレーションは、人が目視で情報を収集・整理・公開するので、ユーザーの共感を得やすいというメリットがあります。しかし、キュレーションする人員を確保する必要があるため、コストがかかるのがデメリットです。サイトが小規模の場合は、人力によるキュレーションの方が管理しやすいといえるでしょう。

アルゴリズムによるキュレーション

アルゴリズムとは、課題解決のための計算手順・処理手順のことです。そして、「アルゴリズムによるキュレーション」とは、AIを利用して自動で情報収集する手法を指します。ユーザーのサイト内での行動やアンケート結果などをAIに学習させることで、ユーザーのニーズに合った記事を提供できます。導入には初期投資が必要となりますが、大規模なサイトであれば効率的に成果を上げられるようになるでしょう。

ユーザー投稿によるキュレーション

一般のユーザーが作成・投稿した記事をサイトに掲載する手法です。コンテンツが豊富になりやすいのがメリットですが、記事ごとに情報精度や品質にばらつきが生じます。したがって、配信前のファクトチェックが重要となります。

キュレーションメディアの作り方

キュレーションメディアを作る際は、コンセプトを決めることや、キュレーター・ライターを確保することなどが大切です。ここでは、キュレーションメディアの作り方について解説します。

コンセプトを決める

まず、サイトで扱う分野とターゲット層を決定し、そこからコンセプトを決めましょう。その際、取り扱う分野の需要の有無や、検索エンジンではどのような言葉が多く検索されているのかなどを調査することが大切です。また、コンセプトは、サイトで扱う分野とターゲット層のみをベースとして考えるのではなく、キュレーションメディアを通して実現したいこともベースとして考えるとよいでしょう。

メディアを立ち上げる

コンセプトが決定したらメディアを立ち上げましょう。キュレーションメディアはWebアプリやWebサイトで立ち上げられますが、Webアプリでメディア運営する場合は技術者による開発が必須となります。Webサイトのみであれば、プログラミング知識がなくても、CMS(コンテンツマネジメントシステム)を利用することで比較的容易に立ち上げることが可能です。CMSとは、プログラミング知識がなくても自由にサイトを構築・デザインでき、また、メール作成の感覚で記事作成・画像投稿などを行えるシステムのことです。CMSの一例としてはWordPressが挙げられます。Webサイトであれば早期に立ち上げられるので、すぐに立ち上げたい場合はドメインの取得とサーバー契約をしたのち、CMSを利用してサイトを立ち上げましょう。また、メディアを立ち上げる際は、KPI(Key Performance Indicatorの略称。重要業績評価指標)の設定もしておきましょう。

キュレーター・ライターを確保する

キュレーションメディアで継続的に記事を配信していくには、キュレーターと・ライターの確保が必須です。外部の協力を仰ぐ場合は、求人を出したり、クラウドソーシングを利用したりしましょう。また、良質なコンテンツを継続的に配信していくには、キュレーターやライターだけでなく、方針を決めるプロデューサーや、品質管理を行うディレクターなどを決めることも大切です。

実際にメディアを運営する

メディアを立ち上げたら、実際に運営していきましょう。運営にあたっては、継続的に記事を配信することも大切ですが、設定したKPIを達成できているかチェックすることも重要です。メディア立ち上げ後、一定期間が経過したらGoogle AnalyticsやSearch Consoleなどを使用してアクセス数や検索順位を計測し、数値が芳しくない場合には記事をリライトしたり、サイト全体を見直したりしましょう。

キュレーションメディアのメリット

キュレーションメディアには、立ち上げのハードルが低い、継続運用が容易、アクセス数を稼ぎやすいといったメリットがあります。ここでは、それらについてそれぞれ解説します。

立ち上げのハードルが低い

キュレーションメディアのメリットの1つとして、「立ち上げのハードルが低い」ということが挙げられます。キュレーションメディアの運営者は独自のコンテンツを制作する必要がありません。また、前述したようにプログラミングの知識がなくても、CMSを利用すれば簡単にサイトを制作できます。したがって、キュレーションメディアは立ち上げのハードルが低く、誰でも参入しやすいといえるでしょう。

継続運用が比較的容易

継続運用が比較的容易であることも、キュレーションメディアのメリットといえます。「立ち上げのハードルが低い」というメリットにもつながりますが、キュレーションメディアは既存の情報をまとめるだけで記事の作成が完了するため、簡単に記事を作成・投稿できます。そのため、記事を継続して配信していくことも容易だといえるでしょう。

アクセス数を稼ぎやすい

アクセス数を稼ぎやすいことも、キュレーションメディアのメリットの1つです。キュレーションメディアは既存の情報をまとめるだけでよいため、大量の記事をハイペースで配信できます。そのため、トレンド情報を求めるユーザーからのアクセスと、検索エンジンからの評価を期待できます。検索エンジンからの評価が上がれば検索順位も上がりやすくなり、アクセス数がさらに増えるでしょう。

キュレーションメディアを運営する際のポイント

キュレーションメディアを運営する際にはいくつかポイントがあります。ここでは、それらについてそれぞれ解説します。

コンプライアンスと企業モラル遵守を徹底する

キュレーションメディアを運営する際には、コンプライアンス(法令遵守)と企業モラルの遵守を徹底しましょう。キュレーションメディアはインターネット上にある情報をまとめたものを配信するため、著作権の侵害に注意する必要があります。また、誤情報や偽情報、モラルに反する情報なども配信してしまわないように気をつけましょう。これらを守れなかった場合、例え大規模なサイトであったとしても閉鎖を余儀なくされることもあり得ます。

キュレーターの採用にはコストを惜しまない

キュレーションメディアを運営していくうえで、キュレーターのキュレーション能力は非常に重要です。キュレーターが素人同然の場合、正確な情報・わかりやすい情報の配信は期待できません。キュレーションを素人にさせればメディアの信頼が落ちるだけでなく、訴訟を起こされる可能性も高まるでしょう。良質なコンテンツを継続して配信していくには、キュレーターの採用にコストを惜しまず、経験豊富な人材やプロに頼むことが大切です。

メディアの独自性を強める

キュレーションメディアは既存の情報を整理したものを配信するサイトなので、他サイトとの差別化が難しいです。単純に情報を収集・整理して配信するだけでは、独自性を高めることはできないでしょう。他サイトにはない視点で情報をまとめたり、キュレーターの解説を付け加えたりして独自性を強め、差別化を図りましょう。

まとめ

ここまで、キュレーションメディアの特徴や作り方、メリットなどについて解説しました。
キュレーションメディアは立ち上げが簡単だからこそ、独自性を高め、他サイトとの差別化を図ることが大切です。正確でわかりやすい情報を配信するキュレーションメディアを運営し、収益化してみてはいかかでしょうか。