COLUMNコラム
マルチモーダルとは?SEOは「テキスト×画像」で評価される新時代へ
マルチモーダルとは、テキスト・画像・音声・動画といった異なる形式の情報(モーダル)を横断的に理解・処理する技術のことです。この技術により、検索エンジンは、人間が情報を見聞きして状況を理解するように情報を判断できるようになっています。
マルチモーダルはSEOとも無関係ではありません。
従来のSEOはキーワードや文章構造を最適化するのが主流でした。しかし、現在では、マルチモーダルの影響により、ページ全体における「文脈の整合性」が評価されるようになっています。
本記事では、マルチモーダルの基本的な考え方を整理したうえで、SEOにどのような影響を与えているのかを解説します。特に画像SEOでは、マルチモーダルの影響が顕著です。早期に対応するためにも、ぜひ記事をご参照ください
マルチモーダルとは?

マルチモーダルとは、テキストや画像、音声など異なる情報を統合的に処理する技術です。単に複数の形式を扱えるだけでなく、それらを関連付けて「文脈」として理解できる点に特徴があります。
この技術により、検索エンジンはより人間に近い判断基準でWebページを評価できるようになりました。たとえば、料理レシピのページを想像してください。

画像:マルチモーダルによるテキストと画像の整合性チェック
本文に「ハンバーグの作り方」と書かれているのに、掲載されている写真がカレーだった場合、人間ならすぐに「内容が噛み合っていない」と判断できるでしょう。
マルチモーダル検索も人間と同じように画像から整合性をチェックできます。テキストの内容と画像が示す情報を照らし合わせ「このページは本当にハンバーグを正しく説明しているのか」までを評価できるようになっています。
マルチモーダルの仕組み
マルチモーダルAIの特徴は、複数のデータ形式を個別ではなく、一つのまとまりとして解析できる点です。SEOに言い換えると「テキスト」「画像」など各要素ごとに点数を付けるのではなく、整合性という高い視点からページ全体を評価できるようになっています。
この仕組みの裏側では、次のような処理が行われています。

画像:マルチモーダルAIによる整合性評価のイメージ図
ステップ1:特徴抽出とエンコード(データ変換)
まずは、画像・音声・動画・テキストなどのモダリティ(データ形式)ごとに「何が写っているか」「どんな状態か」といった特徴を抽出し、エンコード(データ変換)します。
ステップ2:共通するベクトル空間にマッピング
抽出されたデータを、マッピングします。ここでのマッピングとは、AIが情報の意味を判断するための地図(ベクトル空間)にデータを配置する工程です。これにより、AIはデータを「座標」として計算できるようになります。
ステップ3:座標の距離で整合性を判断
同じベクトル空間上に配置されることで、異なるモダリティでも座標間の距離で、同じ内容か、矛盾しているかを瞬時に判断できます。
たとえば、「生肉」と記載されているのに、「焼けた肉」の写真が掲載されていた場合、テキストデータと画像データの座標が離れていることから、AIは「テキストと画像の主張が一致していない」と判断します。
このようにマルチモーダルAIは、テキストと画像の意味的な距離をもとに、ページ全体の整合性を評価しています。
マルチモーダルがSEOで注目される背景
異なるモダリティの整合性を評価できるようになり、AIはより人間に近い判断を下せるようになっています。
これにより、検索エンジンはページ内容を評価する際に、テキストだけでなく画像やその他の情報形式との整合性まで判断できるようになっています。従来のSEOは、キーワードや文章構造を中心に評価されましたが、現在は「その情報が本当に内容を正しく説明しているか」という意味理解の精度が重視されつつあります。
このような背景から、SEOにおいても「文章を書くだけ」「画像を添えるだけ」の施策は通用しにくくなっています。マルチモーダルを意識したコンテンツ設計が重視されるようになっています。
現在の主要なマルチモーダル技術

マルチモーダルAIによって、各要素で単体で評価するのではなく、ページ全体の文脈や整合性をもとに評価する流れが進んでいます。
ただし、現段階でマルチモーダル関連の主要技術は、画像と文章が連動させるビジュアル領域に集中しています。動画や音声データのSEOへの影響はまだ限定的です。
ここでは、現在のSEOに影響を与えている主要なマルチモーダル技術を紹介します。
Google Lens(ビジュアル検索)
Google Lensは、スマホのカメラや画像から直接情報を検索できるビジュアル検索機能です。視覚情報を使って検索する形式は急速に普及しており、Lensを使った視覚検索は月間で数十億回の規模で行われていると推計されています。
Google Lensは、画像単体ではなく画像とテキストを組み合わせた検索(マルチサーチ)にも対応しており、従来の画像検索から大きく進化しています。たとえば、商品写真を撮影して「これと似た商品を教えて」と検索したり、料理の写真を見せて「このレシピを教えて」と質問したりすることが可能です。
この流れで、画像SEOの重要性がさらに高まっています。単にalt属性や構造化データを記述するだけでなく、機械が意味を理解しやすい画像設計が求められるようになっています。
MUM(Multitask Unified Model)
MUM(Multitask Unified Model)は、75以上の言語に対応し、テキストや画像など複数の情報形式を横断的に理解できるGoogleのマルチモーダルAIモデルです。検索クエリの意図理解や情報整理を高度化する技術として、Google検索の一部で活用されています。
MUMの登場により、検索エンジンはテキスト情報だけでなく、異なるモダリティ同士の関連性や文脈の整合性をより深く評価できるようになりました。これにより、SEOにおいても画像や動画を含めた一貫性のあるコンテンツ設計が重要になりつつあります。
たとえば料理レシピの記事では「テキストと料理写真が一致しているか」「動画と文章の説明に矛盾がないか」といった点が、ページ内容を正しく評価できるかに影響します。検索エンジンは、こうした情報同士の整合性を通じて、ページの信頼性や有用性を判断するようになっています。
AI Overviews(旧SGE)
AI Overviewsは、Googleが検索結果の最上部でユーザーの問いに対するAI生成の要約を表示する機能です。日本では「AIによる概要」の名称で知られています。Webページから情報を統合し、ユーザーに直接回答を提示します。
AIによる概要が表示されると、従来の検索結果に比べてオーガニック検索のクリック率(CTR)が大きく低下する傾向が見られます。ある調査では、AI要約が表示された場合、トップの検索結果のCTRが平均で30%以上低下したという報告もあります。実際に近年では、検索結果をクリックせずに情報取得が完結する「ゼロクリック検索」が増加しています。
この変化は、従来の「検索順位を競うSEO」から、AIに内容を正確に理解・参照されることを前提としたコンテンツ設計への転換を促しています。AI Overviews自体はテキスト要約を中心とした機能ですが、その生成基盤にはマルチモーダルAIが用いられており、テキストと画像、動画などの情報が矛盾なく整合しているかも含めてページ内容が解釈されます。
そのため、テキストだけを最適化するのではなく、画像や動画、構造化データを含めてページ全体の意味を統一し、AIモデルが解釈しやすいマルチモーダルな情報環境を構築する重要性が高まっています
マルチモーダルを意識した画像SEO

マルチモーダルの中でも、特に実用化が進んでいるのが、テキストと画像の整合性を判別する技術です。
これに伴い、画像SEOの重要性は以前にも増して高まっています。現在の検索環境では、「画像が何を示しているのか」「その内容が周囲のテキストと矛盾していないか」「ユーザーの検索意図と合致しているか」といった点が、評価を左右する要素になりつつあります。
最後に、マルチモーダル時代の検索評価を踏まえた、具体的な画像SEOの最適化ポイントを解説します。
Alt属性(代替テキスト)の最適化
Alt属性は、画像の内容をテキストとして補完する役割を持っています。
マルチモーダル検索では、画像単体ではなく、画像とテキストがどれだけ整合しているかが評価対象になります。Alt属性は「画像が何を表しているのか」を明示的に伝える重要な手がかりです。
検索エンジンや生成AIは、Alt属性を「単なる補足説明」ではなく、画像の意味を確認するための検証情報として扱っています。具体的には、次のような点が見られています。
- 周囲の本文テキストとAlt属性の内容が一致しているか
- 画像の視覚的特徴とAlt属性の説明に矛盾がないか
- キーワードを詰め込んだ不自然な説明になっていないか
注意したいのが、Alt属性だけが単独で評価されるわけではない点です。本文・見出し・画像・Alt属性が同じ内容を指しているかという、モダリティ間の整合性が確認されています。
よって、Alt属性をマルチモーダル視点で最適化する際は、次のポイントを意識します。
- 画像に写っている内容を、そのまま簡潔に言語化する
- 見出しや本文で説明している内容を、言い換える形で補完する
- SEOキーワードを無理に含めず、自然な説明を優先する
「検索エンジン向けに書く」のではなく、画像を見ていない第三者に説明する感覚で記述するのが理想です。この姿勢が、テキストと画像の整合性を高め、マルチモーダル評価に強い画像SEOにつながります。
オリジナル画像の使用
マルチモーダル環境では、画像は装飾ではなく、情報そのものとして扱われます。そのため、汎用的な素材画像や使い回しの写真では、テキストとの結び付きが弱くなりやすく、検索エンジンにとっても「そのページならではの情報」として認識されにくくなります。
一方でオリジナル画像は、そのページの文脈を元に作成されます。テキスト内容を、独自の視点や構図で視覚化するので、モダリティ間の整合性が高まり、マルチモーダル評価において有利に働きます。次のような観点で作成するのがポイントです。
- 本文や見出しの内容と、画像の視覚情報がどれだけ一致しているか
- 画像がページ固有の説明や事例を補完しているか
- 他ページと差別化できる情報を持っているか
使い回し画像は、文脈との結び付きが弱くなりやすく、テキストと画像の関係性が希薄になります。マルチモーダル検索では、この「関係性の弱さ」が評価上の不利につながります。
よって、オリジナル画像をマルチモーダルSEOに活かすためには、次の点を意識します。
- 記事内容に合わせて「何を伝える画像か」を明確にする
- テキストで説明している概念・手順・結果を視覚化する
- 画像単体でも、本文の主張が補強される構成にする
マルチモーダルにおける評価で重要なのは、テキストで語っている内容と画像が同じ方向を向いているかどうかです。整合性を作る手段として、オリジナル画像を活用しましょう。
OCRによる機械可読性
マルチモーダル検索では、画像は「見る」だけなく「読む」情報として扱われます。料理手順の図解や比較表のスクリーンショット、画像内に含まれる文字情報は、テキストと同等か、それ以上の意味を持つ情報源になっています。
これを可能にしているのがOCR(光学文字認識)です。
OCRとは、画像や画像内の文字を、コンピュータが解析・処理可能なデジタルテキストへ変換する技術を指します。この処理によって、従来は単なる「画素の集合体」だった画像データが、意味を持つ情報として扱われるようになります。
言い換えれば、OCRによって画像内の文字を正しく読み取れなければ、検索エンジンや生成AIは、その画像が何を説明しているのかを十分に理解できません。機械可読性を高めるにも、次のようなケースには要注意です。
- 文字が潰れて判別しづらい
- フォントの装飾が強すぎる(筆文字・デザインフォントなど)
- 背景とのコントラストが弱い

画像:OCRで抽出しにくい文字・画像の例
OCRによる機械可読性は、画像を「意味のある情報」として検索評価に参加させるための前提条件です。
よって、画像SEOにおいてOCRと機械可読性を高めるために、次の点を意識しましょう。
- 画像内の文字は十分なサイズと解像度を確保する
- 可読性の高い無難なフォントを使用する
- 背景とのコントラストを明確にする
- 重要な文字情報は本文にも補足として記載する
- 図解は情報を詰め込みすぎず、構造をシンプルに保つ
これらを徹底することで、画像は単なる「雰囲気を伝える素材」ではなく、検索エンジンや生成AIが理解できる情報資産として評価されやすくなります。
テキストとビジュアルの整合性
マルチモーダル検索では、テキストと画像を別々に評価するのではなく、意味が一貫した情報のまとまりとして扱います。そのため、文章と画像の内容が一致しているかどうかは、ページ全体の評価に直結します。
検索エンジンや生成AIは、整合性において主に次の点を見ています。
- テキストで説明している内容と、画像が示す対象・状態が一致しているか
- テキストと画像の情報量や意図にズレがないか
- 画像が、本文の補足情報として機能しているか
これらが一致していない場合、「内容が分かりにくい」「説明として不十分」と判断される可能性があります。
よって、テキストとビジュアルの整合性を高めるためには、以下を意識すると効果的です。
- 手順説明には、その工程を示す画像を配置する
- 注意点や失敗例には、該当シーンが分かるビジュアルを用いる
- 抽象的な文章に、具体性を補う画像を組み合わせる
文章と画像が同じ役割を担うよう設計することで、マルチモーダルAIにとって理解しやすいページになります。
感情アライメントの最適化
マルチモーダルAIは、情報の内容だけでなく、ページ全体が与える印象やトーンも含めて評価できるようになっています。テキストと画像が伝える感情が一致していることで、ユーザーにとって理解しやすく、信頼できるコンテンツだと判断されやすくなります。
感情アライメントにおいて、検索エンジンや生成AIは次のような点を見ています。
- テキストの語調や表現と、画像の雰囲気が一致しているか
- 説明内容に対して、画像が過度に誇張・演出されていないか
- ユーザーの検索意図と、ページ全体の印象が合っているか
たとえば、初心者向け解説なのに重厚なビジュアルを使っている場合、内容と印象が噛み合っていないと判断される可能性があります。
よって、感情アライメントを意識した画像SEOでは、次の点を押さえておくと効果的です。
- 解説記事では、落ち着いた配色や情報重視の画像を使う
- 注意喚起や失敗例では、過度に煽らず状況が分かる画像を選ぶ
- テキストのトーン(丁寧・簡潔・警告など)と画像の印象を揃える
情報の正確さだけでなく、「どう伝わるか」まで含めて設計することが、マルチモーダル時代のSEOでは重要になっています。
まとめ
マルチモーダルAIの実装が進むことで、検索エンジンは各情報形式の整合性を評価指標に取り入れるようになりました。特にテキストと画像の整合性を判別する機能の進歩は著しく、以前に比べ画像SEOの重要性は格段に上がっています。
今後は、マルチモーダルに適合した画像を制作できるかが、ページ評価を高めるカギです。未対応の方は早めに着手することをおすすめします。
