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ナレッジグラフをSEOに活かすには? 基本的な仕組みとナレッジパネルの表示方法を解説

ライティング


ナレッジグラフは、Googleが所有する膨大な情報を集約したデータベースです。検索結果の目の付きやすい部分に反映される要素で、具体例としてはナレッジパネルの表示に深く関連します。

ナレッジパネルはGoogleの検索結果画面に表示される情報ボックスのことです。検索結果の目立つ位置に自サイトの概要情報を表示するため、集客や信頼度の向上に大きな効果を発揮します。

この記事ではナレッジグラフをSEOに活かすために、その基本的な仕組みとナレッジパネルの表示方法について解説します。検索結果で自分のWebサイトを目立たせたいと考えている方はぜひ記事をご参照ください。

ナレッジグラフとは

ナレッジグラフは膨大なデータを整理して、関連性に基づく検索結果に表示するために作られました。これにより、検索エンジンは以前にも増してユーザーの意図に合った検索結果を提供できるようになっています。

ここではナレッジグラフが検索結果に反映される仕組みとナレッジパネルとの関係について解説します。

ナレッジグラフが検索結果に反映される仕組み

ナレッジグラフが検索結果に反映される仕組みを簡単に解説すると以下の通りです。

①ユーザーが検索キーワードを入力すると、検索エンジンはそのキーワードに関連する情報をアルゴリズムに基づいて抽出します。

②次に、抽出した情報から、ナレッジグラフに登録されたエンティティや関連情報を照会します。

③該当する情報がある場合、それを反映した検索結果が表示され、ユーザーがすぐに関連情報にアクセスできます。

このように検索エンジンは、ナレッジグラフを介して、ユーザーの検索意図に合った情報を提供しています。

ナレッジグラフとエンティティ


②で取り上げたエンティティ(entity)は、ナレッジグラフの中核をなす要素であり、人、場所、物、概念などの「実体」を指します。ナレッジグラフはエンティティ同士を関連性で結びつけることで、検索エンジンがユーザーの検索意図に合った情報を提供しています。

例えば、ユーザーが「トム・クルーズの映画」と検索した場合を考えましょう。

「トム・クルーズ」は、ナレッジグラフに登録されたエンティティ(具体的な人物)です。
トム・クルーズに関する情報には、彼の出演映画、誕生日、経歴などが含まれます。

ナレッジグラフは、エンティティである「トム・クルーズ」とその関連情報である「出演した映画」との関係を理解しているため、ユーザーが映画を探していると認識し、「トップガン」や「ミッション:インポッシブル」など、彼が出演した映画の情報を検索結果に表示します。

このように、ナレッジグラフはエンティティ(トム・クルーズ)とその関連情報(映画)を繋げて、ユーザーの検索意図に合った情報を提供しています。

ナレッジパネルとの関係

ナレッジパネルはナレッジグラフの情報に基づいて、検索結果に表示される情報パネルです。たとえば、「東京都」で検索すると次のようなナレッジパネルが表示されます。

参照元:Google検索「東京都」

このナレッジパネルには、東京が日本の首都であること、環境についての概要、観光名所などが記載されています。これらの記載内容は、ナレッジグラフに登録された「東京都」のエンティティを元に作成されます。ナレッジパネルは、エンティティに関する情報を視覚的に提示するインターフェースでもあります。

ナレッジグラフのメリット

では、ナレッジグラフは具体的にどのように役に立っているのでしょうか? ここでは、ユーザーと制作側それぞれの視点でのメリットを解説します。

関連性の高い情報提供でユーザビリティが向上する

ユーザー側のメリットは、関連性の高い情報提供によるユーザビリティの向上です。

先述した通り、ナレッジグラフがエンティティを関連付けることで、検索エンジンがユーザーの検索意図に合った情報を提供できます。
たとえば、「Apple」という検索キーワードは果物と企業の両方で使われるため、従来の検索エンジンでは、どちらの意味で検索されたか判断するのが難しいケースもありました。
ナレッジグラフは検索キーワードの周辺にある他の言葉や、過去の検索履歴などを総合的に判断することで、ユーザーが「果物のApple」か「企業のApple」のどちらの情報を求めているか、正確に推測できます。

また、ナレッジパネルが表示されることで操作性・利便性も高まりました。たとえば、パネルで表示された経路案内をクリックすればGoogleマップが表示されます。携帯からの検索なら電話番号をタップするだけで電話をかけることが可能です。ユーザーはナレッジパネルを利用することで、ショートカットして目的を達成できます。

ナレッジグラフが検索結果に反映されることで、ネット検索のユーザビリティは大きく向上しました。

ナレッジパネルで認知度が高まる

制作側のメリットは、ナレッジパネルの表示でビジネスをアピールできる機会が広がったことです。

ナレッジグラフによって表示されるナレッジパネルは、ユーザーにとって便利で認知されやすい情報媒体です。後述するGoogleマイビジネスの内容も反映されるため、店舗や企業の情報を記載しておけば、自分のビジネスを視覚的にアピールできます。これにより、制作側はユーザーへの認知度を効率的に高めることができます。

ナレッジパネルが検索結果に表示されることで、制作側のビジネスがユーザーに認知される機会が拡大しました。

ナレッジグラフはローカルSEOと特に相性がいい

ナレッジグラフはユーザー・制作側の双方にメリットを提供しているとわかりました。

SEOの中でもナレッジグラフと高相性なのが、ローカルSEOです。
ローカルSEOとは、地域に特化した検索結果で上位表示されるようにWebサイトを最適化する手法です。具体的には、Googleマップなどの地図検索で自社の店舗やサービスが上位に表示されるようにし、地域からの集客を促進します。

ナレッジグラフによってナレッジパネルが表示されれば、ユーザーはわざわざホームページに向かわなくてもビジネス店舗の基本情報を把握できます。電話番号や住所から、ワンクリックで電話をかけたり、ルート検索を開始したりできるのでアクションも促しやすくなります。

ナレッジパネルは、検索意図に合った情報をスムーズに提供できるためローカルSEOとも非常に相性がいいです。また、表示自体が信頼性の向上・集客に繋がるので、MEOにも寄与します。

ナレッジパネルの注意点

制作側にとってもメリットが大きいナレッジパネルですが、好ましくない情報が掲載されたり、表示できなかったりするケースもあります。ここでは、ナレッジパネルの注意点を3つ解説します。

ネガティブな情報が表示される可能性がある

 
1つ目は悪いクチコミによってネガティブな情報が表示されることです。

商品や場所などの利用体験に基づいて感想や評価を発信する口コミは、ナレッジグラフをより詳細かつリアルにするための重要な情報源です。

良いクチコミが多いとナレッジパネルにもポジティブな情報が表示されますが、逆に悪いクチコミが多いとネガティブな情報が表示されてしまいます。つまり、ナレッジパネルの認知度が悪い方向で発揮されて、悪評が拡散してしまう可能性もあるのです。

後述しますが、ナレッジパネルに表示内容は、Googleのアルゴリズムによって決められます。表示されるのはポジティブな情報だけではないので、注意しましょう。

アルゴリズムによる自動表示なので完全な制御はできない

2つ目は、ナレッジパネルはGoogleのアルゴリズムによって決まるので、内容を完全には制御できないことです。

ナレッジパネルは、Googleマイビジネスを主要な情報源としています。しかし、設定した情報が、必ず掲載されるとは限りません。アルゴリズムがユーザーにとって有用と判断した情報を優先して表示するため、オーナーが提供した情報が表示されなかったり、第三者による情報が表示されたりすることもあります。

ナレッジパネルはGoogle側で自動生成されます。オーナー側では制御できないので注意しましょう

競合が多いとナレッジパネル表示が困難になる

3つ目は、競合が多いとGoogleの評価が厳密になり、ナレッジパネル表示が困難になることです。

ナレッジパネルはアルゴリズムが、ウェブサイトの質、Googleマイビジネスの情報、ユーザーの検索履歴など、多岐にわたる要素を総合的に評価し、最も関連性の高い情報を表示します。競合が多いと評価が厳密になるので、ナレッジパネルの表示が難しくなります。

たとえば、大都市や観光地で飲食店を経営しているオーナーが、自店舗のナレッジパネルの表示させるのは簡単ではありません。ナレッジパネル表示を狙っているライバル店が多数存在するため、Googleマイビジネスの設定などの基本対策だけでは差別化できないからです。

競合が多いとナレッジパネルを表示が困難になる点に注意しましょう。

ナレッジパネルを表示させる方法

ナレッジパネルのメリットや注意点がわかりました。ここでは、ナレッジパネルを表示させる方法について解説します。ナレッジパネルを表示させる上で重要なのは、情報源となるGoogleマイビジネスや構造化データを設定、高品質なコンテンツを作成することです。

Googleマイビジネスに登録する

Googleマイビジネスとは、店舗や施設の情報をGoogleやGoogleマップの検索結果に表示するための無料サービスです。

Googleマイビジネスには、ユーザーがオーナーのビジネスを理解し、来店や利用につながる情報を記載します。具体的には、以下のような項目です。

基本情報

  • 店名: 正確な店名
  • 住所: 詳細な住所(番地まで)
  • 電話番号: 代表電話番号
  • 営業時間:通常営業時間と定休日
  • カテゴリ: ビジネスに最も適したカテゴリを選択
  • ウェブサイト: 公式ウェブサイトのURL

詳細情報

  • 説明文: ビジネスの内容、特徴、サービスなどを簡潔かつ魅力的に説明
  • アピールポイント: 競合他社との差別化ポイントや、お客様に提供する価値
  • 商品・サービス::主な商品やサービスを分かりやすく紹介
  • 写真: 店舗の内外、商品、メニューなど、高画質な写真を複数枚掲載
  • 動画::店舗紹介動画や商品紹介動画などを掲載(任意)

情報は網羅的かつ正確に書きましょう。
また、GoogleマイビジネスはWeb上の看板です。ユーザーの気を引く魅力的な表現を心がけることも大切です。

Googleマイビジネスに正確な情報を記載し、定期的に更新することで、Googleはオーナーのビジネスをより正確に理解し、信頼できる情報源として評価します。これにより、ナレッジパネルに表示される可能性が高まり、ユーザーにも適切な情報を届けられます。

構造化データを利用する

構造化データとは、検索エンジンにページ内容をわかりやすく伝えるために、特定の形式で情報にタグ付けを行う技術です。タグ付けされると、Webサイトのコンテンツを検索エンジンのクローラーに、情報の意味を認識してもらいやすくなります。

たとえば、「iPhone 14 Pro」を紹介するWebサイトに構造化データを適切に実装すると、Googleが製品のスペック、価格、発売日などの情報をより正確に理解し、ナレッジパネルにその詳細が表示される可能性が高まります。

構造化データがあることで、検索エンジンはページ内容の情報を把握・評価しやすくなります。結果、ナレッジパネルに表示される可能性が高くなります。

高品質なコンテンツを作成する

Googleマイビジネスの登録と構造化データの実装を適切に行ったとしても、ナレッジパネルに表示されるとは限りません。検索エンジンへの情報提供を強化するだけではなく、コンテンツの品質を高めることが求められます。

Googleはユーザーが求める情報を提供することを目的の1つにしています。ナレッジパネルの表示はその目的をスムーズに達成するための手段です。つまり、ナレッジパネルの表示は、コンテンツ内容がユーザーに求められていることが前提なのです。

他SEO対策で求められる「高品質なコンテンツの作成」は、ナレッジパネルの表示でも前提条件になっています。

ナレッジパネルを修正する手順

先述しましたが、ナレッジパネルはアルゴリズムによって決まるため、時にオーナーに不利益な内容が表示されることがあります。オーナー側では制御できないで、修正を望む場合は、Googleに依頼しなくてはなりません。また、前提条件として該当するナレッジパネルの管理者認証を受けている必要があります。

最後に、ナレッジパネルの情報を修正する手順についてご紹介します。

ナレッジパネルの認証方法

ナレッジパネルの修正依頼を出す場合、Googleマイビジネスに登録してあるだけでは不十分です。依頼者が該当ナレッジパネル(エンティティ)の管理者だとGoogleに認識されている必要があります。

Google公式ページに記載されたナレッジパネルの認証方法は以下の通りです。

1.Google アカウントを持っていることをご確認ください。お持ちでない場合は、Google アカウントを作成します。
2.Google 検索に移動します。
3.自分自身、または自分が代表するエンティティを検索して、そのナレッジパネルを確認します。
4.一番下までスクロールし、[このナレッジパネルに対し申し立てを行う] をクリックしま
す。
5.認証後に使用できる機能についての情報が表示されるので、確認します。
6.下記における公式のサイトやプロフィールのいずれかにログインし、Google サービスにおける該当エンティティの正式な代表者であることを確認します。次のいずれかを使用します。

  • YouTube
  • Search Console
  • Twitter
  • Facebook

正常にログインすると、Google で該当のエンティティを管理できます。

参照:Googleの認証を受ける
https://support.google.com/knowledgepanel/answer/7534902?hl=ja

なお、手順を踏んでもGoogleがビジネス関連サイトを確認できなかったり、エンティティの規模が大きかったりした場合、本人確認のため、書類提出が求められることもあります。

Googleに修正依頼を出す手順

Googleに該当ナレッジパネルの管理者として認証されていれば、以下の手順でナレッジパネルの修正依頼を出すことができます。

①Googleアカウントにサインイン
修正を行いたいGoogleアカウントにログインします。

②ナレッジパネルを検索
自分の名前やビジネス名で検索し、修正したいナレッジパネルを表示します。

③「フィードバックを提供」または「このパネルを管理」をクリック
パネルの下部にある「フィードバックを提供」リンクをクリックして修正内容を送信するか、「このパネルを管理」をクリックして管理者として所有権を主張します。

④修正内容を入力
修正したい箇所を選び、正しい情報を入力します。信頼できる情報源を添えるとスムーズです。

⑤Googleの審査を待つ
提出が完了したら、Googleが審査し、認められれば変更が反映されます。

これで、ナレッジパネルの修正依頼が完了です。
ただし、修正には平均で数日から数週間かかることがあります。審査期間は、提出された情報の正確さや信頼性、Googleの確認プロセスに依存します。

また、依頼を出したとしても必ず修正されるわけではありません。Googleは、信頼できるソースや独自のアルゴリズムに基づいて判断するため、提案した修正が受け入れられない場合もあります。

まとめ

ナレッジグラフの導入はユーザー・制作側双方に多大なメリットをもたらしました。とくにナレッジグラフによって検索結果に表示されるナレッジパネルは、SEOにおいて企業や個人の認知度や信頼性を高める上で重要なツールになっています。

ナレッジパネルはGoogleのアルゴリズムによって表示されるので、完全制御はできません。しかし、Googleマイビジネスや構造化データを活用しつつ、良質なコンテンツを作成すれば表示される可能性を高めることができます。表示できれば、ユーザーの視認・利便性が向上し、SEO対策に大きく貢献するでしょう。

ナレッジグラフの基本的な仕組みとナレッジパネルの表示方法を学習して、SEOの質を高めましょう。