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SEOの仕組みを学ぶ上で重要なエンティティとは? 基礎知識と活用方法を解説

ライティング


エンティティとは「実体」などの意味を持つ広範囲で抽象的な概念です。SEOにおいては、Googleが検索クエリからユーザーの意図を理解し、目的にマッチした情報を提示するための名札のような役割を果たしています。

この記事では、エンティティの基礎知識と簡単な活用方法について解説します。

エンティティは、検索クエリなどと比較すると理解や対策が難しいため敬遠されがちです。その一方で、SEOの仕組みを深く理解する上で、押さえておきたい基礎知識でもあります。

エンティティをSEO対策に取り入れる足がかりが欲しいと考えている方は、ぜひ記事を参考にしてください。

エンティティとは

検索エンジンにとってエンティティは、ユーザーの検索意図を理解するための重要な指標です。検索クエリと混同されがちですが、全く別の概念です。ここではエンティティの概要について解説します。

AIが検索意図を理解する指標

検索エンジンはエンティティに紐づけられることで、検索クエリを字義的にだけでなく、実体として捉えて検索結果を表示できるようになります。つまり、検索クエリを単なる単語の羅列ではなく、「人」「場所」「物事」「概念」などを、現実世界での具体的な意味として認識できるということです。

たとえばユーザーが「アップル」と検索窓に入力した場合、検索エンジンが単語を字義的に解釈するだけでは「果物のりんご」に関連した情報が検索結果に表示されるでしょう。

一方で、エンティティに紐づけられた場合、検索エンジンは「アップル」を「果物のりんご」としてだけではなく「企業のApple」など具体的な情報と関連付けられるようになります。

検索エンジンは、エンティティによって検索クエリに対する理解力が深まることで、よりユーザーの検索意図に沿った検索結果を表示できるようになるのです。

検索クエリとエンティティの違い

検索クエリとエンティティの違いを直感的に例えると「表面的な情報」と「具体的な情報」です。

たとえば、検索エンジンにとって「織田信長」という検索クエリ自体は漢字の文字列にすぎませんが、エンティティとしては歴史上の人物として多様な情報を保持しています。

具体的には「生年月日: 1534年6月23日」「没年月日: 1582年6月21日」「出身地: 尾張国(現在の愛知県)」「戦国時代の武将」「三英傑」「本能寺の変」「関連人物: 明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康」などの情報です。

エンティティはこれらのデータを元に、特定の人物(この場合は織田信長)や事物、概念などを識別しています。

実際に「三英傑」で入力すると織田信長に関連する情報が出てきます。これは、検索エンジンが「織田信長」と「三英傑」というエンティティに紐づけているから表示される検索結果です。このような関連付けは、ユーザーの質問や検索意図に基づいて、適切な情報を提供する上で重要な役割を果たしています。

検索クエリとエンティティは外見と中身のような関係といえます。関連性は深いですが、全く別物なので混同しないように注意しましょう。

SEOでエンティティの重要度が高まっている理由

従来のSEOはキーワードの最適化が主流でしたが、近年では検索エンジンがキーワードの持つ意味をより人間らしく理解できるようになったことで、エンティティの重要度が高まっています。ここでは、その理由について解説します。

ナレッジグラフによるエンティティの蓄積

まず、主要因として挙げられるのがナレッジグラフによるエンティティの蓄積です。

ナレッジグラフとは人、場所、物事など、世の中の様々な事柄(エンティティ)とその関係性をグラフ構造で表現したデータベースです。検索エンジンが検索クエリの意味をより深く理解し、ユーザーに関連性の高い情報を提供するため、Googleが2012年に実装しました。

ナレッジグラフは、Web上の膨大な情報を収集し、エンティティとその間の関係性を抽出して蓄積していきます。具体的には、Wikipediaなどの信頼できる情報源から自然言語処理技術を用いてエンティティを認識し、その関係性を分析することで、グラフ構造のデータベースを構築します。このデータベースが日々更新され、蓄積された過去の情報も正確に保持されることで、検索エンジンはより精度の高い検索結果を表示できるようになっています。

ナレッジグラフ実装から10年以上経過した2024年現在、蓄積されたエンティティは膨大な数になりました。これにより、検索エンジンは単なるキーワードのマッチングではなく、検索意図や関連性を理解し、ユーザーにより適切な情報を提供できるように進化しました。このような変化に伴い、エンティティはSEOにおいて以前より注視すべき要素となりつつあります。

ナレッジグラフのデータ蓄積によってエンティティ検索の精度が向上したのが、SEOでの重要度が高まった主要因です。

AIによる自然言語処理の進化

AIによる自然言語処理の進化によって、キーワードからユーザーの検索意図をより人間らしく理解できるようになったのも、エンティティの重要度が高まった要因です。

従来の検索エンジンはキーワードの一致を重視していましたが、近年では技術の進歩により、AIが文脈を理解し、単語間の関係性を把握できるようになりました。

エンティティは関連性の高い情報を提供するために不可欠な要素です。AIがエンティティを効果的に活用できるまでに進化した結果、現在ではエンティティを軸にした検索が主流になりつつあります。

AIの進化により、SEOにおいてエンティティの最適化が課題になったのも重要度が高まった要因です。

重要でありながら注目されていない理由

年々SEOにおける重要度が高まっているエンティティですが、本格的に対策する人はそれほど多くありません。これには、難解さや他SEO対策との重複が関係しています。ここでは、エンティティが重要でありながら、あまり注目されていない理由について解説します。

高度なスキルが必要になる

エンティティは、その定義の抽象性と複雑さから特定するには高度なスキルが必要です。

エンティティを特定するには単語やフレーズの意味だけでなく、文脈や関係性も理解しなくてはなりません。

そのためには、エンティティの特定には抽象的な概念への理解が求められます。また、膨大なテキストデータから正確にエンティティを抽出するために、機械学習や自然言語処理(NLP)などの高度な技術を活用する専門知識も必要です。

施策に専門的な技術が必要になるのが、注目されにくい理由です。

既存のSEO対策と被る

エンティティ分析は、大きな枠組みで捉えれば「ユーザーの検索意図を理解するためのSEO対策」です。このような対策は複数あり、求める結果も似通っています。

例えば、企業のウェブサイトにおいて、特定の製品やサービスに関連するキーワードを最適化する際、その内容がエンティティと被ることは珍しくありません。

つまり、このケースだけで見るなら、異なるやり方をしても解答は同じだったということです。「同じ解答にたどり着くなら、簡単なやり方がいい」とSEO担当者が考えてしまうのも無理はないでしょう。

本格的なエンティティ分析は、すべてのケースで必要となるとは限りません。扱うビジネスが小規模で、迅速な分析結果を求められる場合などは、シンプルなキーワード対策の方が適していることもあります。

ケースによってはエンティティを分析しなくても目的を達成できてしまうのも注目されていない理由です。

部分的にエンティティを見つける方法

本格的なエンティティ対策はどちらかというと大規模かつ長期的なSEO戦略向けです。施策に高度なスキルも必要なので、他SEO対策と比較して敷居が高いのは間違いないでしょう。

一方で、エンティティは部分的に把握しておくだけでも、SEO対策に役立ちます。本格的な分析は無理でも、概要をつかんでおくだけでも有益です。

そこで、ここでは簡易さに重点をおいて、エンティティを把握する3つ紹介します。

検索結果で表示されるナレッジパネルの概要欄を参考にする

1つ目は、検索結果で表示されるナレッジパネルの概要欄を参考にすることです。

検索結果の概要は各Webサイトがそのページの内容を簡潔にまとめたもので、エンティティに関するキーワードやフレーズが含まれている可能性が高いです。たとえば「イーロン・マスク」の検索結果に表示された概要は次の通りです。

参照:「イーロン・マスク」の検索結果に表示された概要

概要を見れば、イーロン・マスクの経歴や関連する組織や人物などの主要な情報がわかります。たとえば、概要に表示された情報からイーロン・マスクが「テスラCEO」や「スペースX創設者」といったフレーズがエンティティとして識別されるとわかります。

Googleトレンドの検索窓を見る

2つ目はGoogleトレンドの検索窓に表示される「トピック」に注目することです。

Googleはエンティティを一般向けにトピックと表現することがしばしばあります。とくに、Googleトレンドの検索窓に表示される「トピック」についてはエンティティとイコールで結んでしまってもほぼ問題ありません。

以下は、Googleトレンドの検索窓に「イーロン・マスク」と入力した際の画像です。

参照:Googleトレンドで「イーロン・マスク」と入力した検索窓

トピックの1つに「イーロン・マスクのテスラ・ロードスター」と表示されます。
ロードスターはテスラが最初に発売した電気自動車の一つです。「イーロン・マスク」と検索した結果、「テスラ・ロードスター」というトピックが表示されるという状況は、Googleが「イーロン・マスク」と「テスラ・ロードスター」に強い関連性を持つエンティティとして認識していることを示しています。

「テスラ・ロードスター」はトピック(話題)であると同時にエンティティとしての側面を持ち合わせていると判断できます。

AIアシスタントにエンティティについて質問する

3つ目はチャットGPTやジェミニなどのAIアシスタントにエンティティについて質問することです。情報の正確性に注意する必要がありますが、AIアシスタントの活用をすればエンティティの情報をより効率良く集めることができます。

以下はチャットGPT(ChatGPT3.5)で「イーロン・マスク」のエンティティについて質問した時の画像です。

「イーロン・マスクのエンティティを明らかにしてください」という命令文(プロンプト)に対して、関連した内容がズラリと表示されます。
表示された内容についてさらに質問してエンティティに関する情報について深掘りしていくことも可能です。

便利な一方、AIアシスタントには注意すべき点もあります。
それは、提示された情報の正確性です。

チャットGPTなどのAIアシスタントは、情報収集ツールとしてではなくコミュニケーションツールとして作られています。情報の信頼性より会話の継続を優先して回答してしまう傾向があります。具体的には、根拠となる情報データがなくても、会話を継続するためにでたらめな情報を提示する「ハルシネーション」が起こってしまう可能性があります。

ハルシネーションは、データ不足や命令文の不備などが原因でAIアシスタントが間違った回答を提示してしまうことです。その発生要因は複雑で、完全防止はできません。AIアシスタントを情報収集に活用するなら、Web検索や専門家によるファクトチェックが必要があります。

エンティティがコンテンツに与える影響

エンティティは、SEOにどのように関わるのででしょうか?
ここでは、エンティティがコンテンツ作成にどのような影響を与えているか解説します。

エンティティは検索エンジンがWebコンテンツを理解する上で重要な役割を果たしています。そのため、コンテンツ内でエンティティに関連した情報が不足していると、検索エンジンはテーマを特定できないことがあります。

たとえば、イーロン・マスクが新しい事業を始めるという情報を得たので、それをネタにWeb記事を作成するとします。ここでは、新事業を始めるという情報は事実で、ネット上にはまだ広まっていないと仮定します。

この場合、検索エンジンは、単に新しい事業を始めるという情報だけでは、それが本当にイーロン・マスクに関連した記事か検索エンジンには判断できません。名前だけでなく、生年月日や職歴など複数のエンティティが記載されて、イーロン・マスクが関連した記事だと判断できるようになります。

エンティティはコンテンツ作成において、検索エンジンに伝えたいことを明確化する役割を果たします。

コンテンツ作成におけるエンティティの活用方法

検索エンジンに特定情報の正確さや信頼性をアピールできるエンティティは、コンテンツ作成にも活用できます。
ここでは、コンテンツ作成におけるエンティティの活用方法を解説します。

リスト化して検索意図に結び付ける

ターゲットキーワードのエンティティは、ユーザーの検索意図を推測する上で役立ちます。エンティティはキーワードに関連する具体的な概念や実体です。参考にすれば、ユーザーが求めている情報の正確な意味や背景を理解しやすくなります。

コンテンツ作成でターゲットキーワードを明確にした後、そのキーワードから想起されるエンティティをリスト化しましょう。

たとえば「大谷翔平」なら、「プロ野球選手」「投打二刀流」「アメリカンリーグMVP」など、彼の職業、プレイスタイル、受賞歴などがエンティティとして挙げられます。このようなエンティティをリスト化することで、どのような情報をコンテンツに盛り込むべきかがわかりやすくなります。

コンテンツ内に含めてテーマを明らかにする

エンティティは意識的に盛り込むことで、コンテンツが何をテーマにしているかを検索エンジンにアピールできます。

検索エンジンは「コンテンツのテーマは何か」を判断する際、エンティティを利用します。ターゲットキーワードのエンティティを頻繁に出現させれば、そのコンテンツが狙ったテーマに特化したトピックだと検索エンジンに示すことができます。

たとえばテーマが「大谷翔平」なら、「プロ野球選手」「投打二刀流」「アメリカンリーグMVP」などのエンティティを出現させることで、検索エンジンは「大谷翔平選手について扱ったコンテンツだ」と判断しやすくなります。

ただし、エンティティを含めることに腐心しすぎて、読みにくい文章になってしまっては本末転倒です。文章が不自然にならないことを前提にして盛り込みましょう。

エンティティがE-E-A-Tに与える影響

エンティティが影響を与えるのは、コンテンツだけではありません。SEOの評価基準であるE-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼)にも深く関連します。

適切にエンティティが使われているページは、制作者がそのキーワードに対して専門性や権威性を持っている人物だと見なされる可能性があります。適切なエンティティを使用することは、「特定のエンティティに関する深い知識を持っている」「その分野において信頼できる情報源である」という裏付けになります。逆に、エンティティを不適切に使用すると、信頼が失われ、制作者の権威性の喪失につながります。

また、E-E-A-Tでは制作者自身のエンティティを検索エンジンに認識してもらうことも大切です。制作者のエンティティは、検索エンジンにとって名刺のような役割を持っています。例えば、制作者が検索エンジンによって『SEOの専門家』として認識されている場合、そのコンテンツはSEOのジャンルで上位表示を達成しやすくなります。これは、制作者が『SEO』のジャンルでプロとして認知され、専門性や権威性を担保しているためです。

このように、エンティティはE-E-A-Tで評価を獲得するための欠かせない要素です。

E-E-A-Tにおける活用方法

エンティティがE-E-A-Tに深く関連しているとわかりました。
最後に、エンティティを活用してE-E-A-Tの評価を高める方法について解説します。

制作側のエンティティを明確にする

制作会社や制作者のエンティティを明らかにして、信頼性や専門性を強化ましょう。

制作者ならプロフィールページを設けて経歴や実績、関連する資格などを紹介します。これにより専門分野が明らかになり、実績を重ねることで専門家として認知されるようになります。

とくに、医療やお金に関するコンテンツ「YMYL」では専門家としての認知が必須です。このジャンルでは、検索エンジンが制作側を専門家として認識しないと、検索ランキングが大幅に下がる仕組みになっています。

権威のあるエンティティとの関連付けをする

可能であれば、権威のあるエンティティ(ブランド、組織、個人)と自分のコンテンツを関連付けましょう。

権威のあるエンティティと関連付けされたコンテンツは、そのエンティティの信頼性や専門性などの波及効果が受けられます。結果として、E-E-A-Tの評価が高まる可能性が向上します。

具体的には次のような手法があるでしょう。

  • 権威のあるサイトから被リンクを獲得する
  • 公式なサイトや業界の権威者からの情報を適切に引用する
  • 権威のあるブランド、組織、個人とコラボレーション(共同イベント開催)する

どれも有効な手法ですが、不適切な関連付けは、かえってGoogleの評価を下げたり、ブランドイメージを損なったりするリスクも伴います。扱いには細心の注意を払いましょう。

関連性のあるエンティティとのリンク構築をする

専門性・権威性などのE-E-A-Tを高めるため、関連性のあるエンティティとのリンク構築を行いましょう。

エンティティに合わせてリンク構築を行うことで直感的なジャンル分けより、深層的な関連づけができます。例えば、「健康食品」というジャンルでサイトを運営している場合、一見関係ないように思える「運動」や「栄養学」といった分野のサイトとの間にも、深いレベルでの関連性を持つ可能性があります。このようなエンティティから関連性を発見することで、リンク構築の幅は大きく広がります。

リンク構築の際に注意したいのは、リンク先の「質」です。過去にはリンクの量が高く評価される時期もありました。しかし、現在では検索エンジンがアップデートされていく過程で、リンクの数はそれほど評価されなくなりました。それどころか、評価の低いサイトからのリンクはかえってE-E-A-Tを損なう可能性すらあります。

よりリンク先を厳選しなくてはならなくなった現在、深層的な関連性から選択肢を広げる必要が高まっています。質の高いサイトからのリンクを増やすためにも、エンティティを基準に入れたリンク構築を行いましょう。

まとめ

広範囲で抽象的な概念であるエンティティを、本格的に分析して対策するのは至難の業です。一方で、部分的にエンティティを分析するのは比較的簡単です。分析内容もコンテンツ作成やE-E-A-Tなど広範囲なSEOに活用できます。

技術の進歩とともにエンティティの重要性は年々高まっています。SEOの基礎知識として概要だけでもつかんでおきましょう。