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【混同注意】SEOとコンテンツマーケティングの違いは? 同一作業でも各方針は異なる

ライティング

SEOとコンテンツマーケティングは共通する作業が多くあります。そのため、大まかな視点で見てしまうと、つい両者を同じものと捉えがちです。

しかし、正確には両者は異なる概念です。混同してしまうと、戦略目標や効果測定が曖昧になり、成果を出すのが困難になる可能性があります。

施策を成功させ、Webサイトの流入や存在感を向上させるためにも、まずは両者の違いを理解し、曖昧さを排除しておくことが大切です。

そこで、この記事ではSEOとコンテンツマーケティングの違いと、混同の原因となっている同一作業について解説します。共通する作業でも、どちらを意識するかで方針が異なります。それぞれの特徴を把握して、策定の基礎を固めましょう。

SEOとは

SEO(Search Engine Optimization)とは日本語では「検索エンジンの最適化」と訳されます。Webサイトやオンラインコンテンツを検索結果で上位表示させるための戦略です。

ビジネスがネット中心になった現在において欠かせない戦略で、実施することで検索の上位表示だけでなく、自然流入の増加、信頼性の向上、コスト効率やユーザ体験の改善など多くのメリットが得られます。

SEOは大きく分けて、コンテンツSEOとテクニカルSEOの2種類があります。

コンテンツSEO

コンテンツSEOの主な目的は、Webサイトのコンテンツ最適化による検索ランキング向上です。ユーザーだけでなく、検索エンジンにとっても価値あるコンテンツを提供し、それを通じて検索エンジンのランキングを向上させます。

対象としては、コンテンツの品質、タイトルや見出し、メタディスクリプションの最適化などコンテンツに関わる部分があげられます。

コンテンツSEOは検索エンジンのランキング向上を通じて、Webサイトへの自然流入やユーザーエンゲージメントの増加、信頼性の構築、ビジネス成果の向上を達成するのが最終的な目的です。

テクニカルSEO

テクニカルSEOの主な目的は、Webサイトの技術側面を最適化することによる検索ランキング向上です。技術側面の改善により、ユーザーが求める情報をより迅速かつ効率的に提供できるようにします。

対象としてはサイトのクロール可能性、サイトのページ表示速度、SSL証明書の有無、構造化データの使用など技術に関わる部分があげられます。

テクニカルSEOは技術側面からユーザーエクスペリエンスを改善し、結果としてビジネス成果を最大化することが最終的な目的です。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとはビジネス目的を達成するために、魅力的なコンテンツを利用・制作する手法です。

コンテンツはネット上に限らず、テレビコマーシャルやPR活動など広く含みます。

コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって価値あるコンテンツを提供することで自社ブランドを高め、顧客との長期的な関係を築くことを目的としています。

SEOとコンテンツマーケティングの関係 

SEOとコンテンツマーケティングが混同される原因の一つとして、両者が相互補完の関係にあることが挙げられます。

たとえば、良質なコンテンツの制作です。SEOではユーザー・検索エンジン双方にとって良質なコンテンツを制作することで検索順位を上げます。一方で、コンテンツマーケティングは検索順位が上がることでブランドの知名度を高められます。

この例に限らず、Webサイトへの自然流入やユーザーエンゲージメントの増加、ブランド認知度の向上など両戦略の施策は互いにとって有効に作用するものが少なくありません。

両者は互いに密接な関係にあり「ビジネス効果を高める」という大まかな目的で一致しています。

SEOとコンテンツマーケティングの違い

大きな視点で見ればSEOとコンテンツマーケティングは同じ目的を持った戦略だとわかりました。しかし、大きな目的が同じでも、詳細を見れば両者はまったく異なります。ここでは、SEOとコンテンツマーケティングの違いについて解説します。

目的

「ビジネス効果を高める」という大まかな点で一致していても、より具体化するとSEOとコンテンツマーケティングでは目的が異なります。

SEOの主な目的は検索エンジンやユーザーから評価されるコンテンツを制作し、自サイトの検索順位を向上させることです。

一方で、コンテンツマーケティングの主な目的はブランド強化を通じた顧客との関係構築を目的としています。

まとめると、SEOは検索エンジンの評価に焦点を当てている一方、コンテンツマーケティングは顧客の評価に焦点を当てています。

ターゲット

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングのターゲットはどちらも見込み客です。しかし、より具体化すると、それぞれターゲットにしている層が異なります。

コンテンツSEOのターゲットは、検索エンジンのキーワードを通じて情報収集や問題解決を行っている検索ユーザーです。

一方で、コンテンツマーケティングは顕在顧客やブランドファンなど、すでにサービスを認知している顧客をターゲットにしています。

まとめると、コンテンツSEOは検索エンジンから新規ユーザーの獲得に重点を置いているのに対し、コンテンツマーケティングは既存の顧客との関係を深めることに重点を置いています。

情報媒体

コンテンツSEOもコンテンツマーケティングも、主にネットを介してターゲットに情報を伝達します。しかし、これも詳細は異なります。

コンテンツSEOは検索エンジンで自社サイトを上位表示させることを目指しているため、情報媒体とするのは検索エンジンのみです。

一方で、コンテンツマーケティングは検索エンジンに限らず、SNSやインフルエンサー、電子メールなど情報媒体が多岐に渡ります。

まとめると、コンテンツSEOは施策対象となる情報媒体が検索エンジンだけであるのに対し、コンテンツマーケティングはケースバイケースで情報媒体が変わります。

コンテンツ

コンテンツSEOとコンテンツマーケティングは「ビジネス効果を高める」という大まかな目的では一致しているので、内容的には共通する部分も多いです。しかし、先ほど述べた通り、対象となる情報媒体が違うため、コンテンツの種類には違いがあります。

コンテンツSEOは情報媒体が検索エンジンに限られるため、テキストコンテンツが中心になります。

一方で、コンテンツマーケティングは情報媒体が複数あるので、テキストに限らず、画像、動画、インフォグラフィック、ホワイトペーパーなどコンテンツの種類が豊富です。

まとめると、SEOとコンテンツマーケティングは扱うコンテンツの違いからターゲットのへのアプローチ方法が異なります。

同じ作業でも異なる方針

大まかに見て似ていても、抽象度を下げてより詳細を見れば、SEOとコンテンツマーケティングはまったくの別物だとわかるでしょう。

実際、両者は概念が異なるため、たとえ同じ作業であっても方針はまったく違ってきます。そこで、ここでは、その具体例となる4つの工程を取り上げます。

キーワードリサーチ

1つ目はキーワードリサーチです。SEOでもコンテンツマーケティングでも、キーワードリサーチしてニーズを推測した上でコンテンツを製作します。

しかし、プロセスが同じでも重視する調査対象はそれぞれ異なります。

SEOではランキング向上を目指すため、検索エンジンのニーズを重視します。検索人気ワードやフレーズの使用頻度などに重点を置いてキーワードリサーチを行うことになるでしょう。

一方で、コンテンツマーケティングが重視するのは、利用者や顧客のニーズです。人の関心やニーズに重点を置いたキーワードリサーチを行うことになります。

コンテンツの最適化

2つ目はコンテンツの最適化です。コンテンツを発見・理解しやすくするための工程で、SEO・コンテンツマーケティングに共通します。

しかし、プロセスが同じでも、誰にとってのコンテンツ最適化であるかはそれぞれで異なります。

SEOは検索エンジンによるコンテンツの発見・理解を助けるために最適化をします。タイトルタグ、メタディスクリプション、見出しタグなどの改善を重点的にコンテンツの最適化を行うことになるでしょう。

一方で、コンテンツマーケティングはブランドの知名度を高め、顧客の関心を引くための最適化です。有益な情報提供やターゲットとなる顧客のニーズに合わせてコンテンツの最適化を行うことになります。

リンクビルディング

3つ目はリンクビルディングです。Webサイトなどのデジタルコンテンツで、他サイトからリンク獲得するための工程で、SEO・コンテンツマーケティングに共通します。

しかし、プロセスが同じでも、その目的・手法はそれぞれ異なります。

SEOにおけるリンクビルディングの目的はランキングの向上です。リンク数やリンク先の権威性を重視するため、他サイトとの連携、相互リンクなどの手法を中心的に行います。

一方で、コンテンツマーケティングでは、ブランド力の強化や顧客への価値ある情報提供を目的としています。他サイトとの自然なリンクを重視するため、優れたコンテンツの作成や、信頼性・拡散力が高いインフルエンサーとの提携などの手法がよく用いられます。

コンテンツのパフォーマンス分析

最後は、コンテンツのパフォーマンス分析です。既存のコンテンツを評価し、次への改善につなげていく上で欠かせない工程で、SEO・コンテンツマーケティングに共通します。

しかし、プロセスが同じでも、コンテンツの評価基準はそれぞれ異なります。

SEOでは、コンテンツが検索エンジンで発見・評価しやすくする技術的な最適化を重視します。ランキングや流入数の変化が主な評価基準です。

一方で、コンテンツマーケティングでは想定する顧客層との関係構築を重視します。最終的に顧客獲得を目的としているため評価基準は広範囲です。ユーザーエンゲージメント、ブランド認知、コンバージョン率などの他、SEOも含まれます。

まとめ

SEOは検索エンジンのランキング向上を主な目的として、キーワードの適切な配置や技術的な最適化を目指します。一方で、コンテンツマーケティングは価値あるコンテンツの作成・共有を通じてブランドの認知度向上や顧客との関係構築を目指します。

両者はビジネス効果を高めるという大きな目的で一致しており、相互補完の関係です。しかし、SEOとコンテンツマーケティングを混同することにはリスクが伴います。両者を混同してしまえば、戦略の不一致や評価基準の誤りを引き起こし、効果的な戦略立案が困難になるでしょう。

効果的に戦略立案を行うためにも、それぞれの目的と役割を明確に理解し、適切に分けて戦略を立てることが大切です。策定の基礎を固めるためにも、SEOとコンテンツマーケティングの違いをしっかりと把握しておきましょう。