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SEO初心者も活用したいトピッククラスターとは? メリットと作成方法を解説

ライティング


トピッククラスターとは、サイト内で関連する記事同士を内部リンクでつなぐことで、グループ化された記事群のSEO評価を高める手法です。元々は企業がコンテンツを体系的に整理するために考案されましたが、ブログ収益化の基礎を築くのにも役立ちます。

本記事では、トピッククラスターのメリットと作成方法について解説します。トピッククラスターはコンテンツが増えるにつれて効果を発揮する戦略です。そのため、ブログ運営を始めたばかりの方からは「まだ重要ではない」と考えられてしまう傾向があります。

しかし、実際にはトピッククラスターは、少数のコンテンツでも効果を発揮します。また、サイト全体の基本設計にあたるものなので、初期段階から理解しておくことで、今後の方針決定やコンテンツ制作がスムーズになります。

むしろ、これからサイト運営を始める方にこそ、トピッククラスターについての知識が必要です。まだ情報をお持ちでない方は、ぜひ記事をご参照ください。

トピッククラスターとは

トピッククラスターは、元々は企業がコンテンツを体系的に整理するために考案しました。サイト内で関連する記事同士を内部リンクでつなぐことで、ユーザー・検索エンジンの双方にスムーズな情報提供を行います。この効果は、大規模な企業ページのみならず、小規模な個人ブログでも有効です。

トピッククラスターは、ピラーコンテンツ(メイントピック)とクラスターコンテンツ(サブトピック)によって構成されます。ここではそれぞれの役割について解説します。

ピラーコンテンツ 

ピラーコンテンツとは、ある特定のテーマについて包括的に情報をまとめた、いわばそのテーマの中心となるコンテンツです。

ピラーコンテンツで扱う情報は広範囲である一方、抽象的です。これはピラーコンテンツに、多様なニーズに応えることで、ユーザーにテーマ全体の概要をつかんでもらう役割があるからです。

概要をつかんだユーザーの中には、さらに詳細な情報を求める人もいます。この具体的な情報を扱うのが、後述するクラスターコンテンツです。ピラーコンテンツが包括的な情報を扱うのは、ユーザーをクラスターコンテンツに誘導するためでもあります。

たとえば、メインキーワードが「SEO」なら、ピラーコンテンツでは、SEOやその基本対策を包括的に紹介することになるでしょう。ユーザーのニーズに広く応え、テーマの全体像を把握してもらうことが目的なので、詳細は書きません。基本対策の紹介なら「コンテンツSEO」や「テクニカルSEO」について記載するかもしれませんが、あくまで概要のみです。具体的な内容は、クラスターコンテンツで補完します。

ピラーコンテンツはトピッククラスターにおいて、テーマの概要を伝える中心的なコンテンツで、ユーザーを関連コンテンツに誘導するガイド的な役割を果たします。

クラスターコンテンツ

クラスターコンテンツとは、ピラーコンテンツが関連する具体的なトピックです。ピラーコンテンツで取り上げた広範囲なトピックを、深く掘り下げて詳しく説明します。

たとえば、「コンテンツSEO」なら、概要だけでなく、施策方法やメリット・デメリットなど、ユーザーの検索意図を満たす情報を網羅的に提供します。ピラーコンテンツとクラスターコンテンツをリンクでつなぐことで、ユーザーは目的の情報をスムーズに探し出すことができます。

つまり、ピラーコンテンツの広範なトピック概要から、ユーザーがより詳しく知りたいトピックを掘り下げて提供するのが、クラスターコンテンツの役割です。

トピッククラスターのSEOメリット

トピッククラスターでは、ピラーコンテンツでテーマ全体の概要を示し、クラスターコンテンツで各トピックを掘り下げる構造になっているとわかりました。

では、このような構造にはどんなメリットがあるのでしょうか? ここではクラスターコンテンツのSEOメリットについて解説します。

サイトの構造が分かりやすくなる

トピッククラスターを導入すると、サイト情報が整理され、検索エンジン・ユーザーの双方にとって分かりやすい構造になります。

トピッククラスターは、ピラーコンテンツが中心となり、その周りにクラスターコンテンツが配置され、相互にリンクされる論理的な構造です。情報が関連性で整理されているため、検索エンジン・ユーザーの双方が情報をスムーズに見つけられるようになります。

トピッククラスターを導入したサイトは、検索エンジンのクローラーが各ページの関連性を容易に理解できるようになります。また、ユーザーも包括的な情報から詳細情報にアクセスできる構造から、迷わずに関連情報を次々に閲覧できます。

結果、サイト構造は整理されることで、内部リンク構造が強化され、ページの評価が高まります。ユーザーの利便性が上がることで、滞在時間や検索順位にも好影響を与えます。

トピッククラスターを導入することでサイトの構造が明快になり、クローラビリティとユーザビリティの双方が改善されます。

情報の網羅性が高まる

トピッククラスターを導入すると、情報が体系的に整理され、網羅性が向上します。

情報の網羅性が高まることで、検索エンジンは特定のキーワードだけでなく、関連する検索クエリでも評価されるようになります。加えて、特定のトピックに対して専門的なコンテンツが過不足なく提供されるため、検索エンジンから「このサイトは特定分野の専門サイト」として評価される可能性が高くなります。

ユーザーにとっても、網羅性の高い情報サイトは有益です。関心のあるトピックに関連する情報を一気に得ることができれば、1つのサイトで情報収集を終わらせられます。

トピッククラスターを導入することで網羅的な情報を提供できるようになり、専門性・利便性・信頼性が高まります。

ロングテールSEOとの相性が良い

初心者でも高い検索順位が狙える「ロングテールSEO」と相性が良いのも、トピッククラスターを導入するメリットです。

「ロングテールSEO」とは、3つ以上のキーワードからなる検索クエリをターゲットにするSEO戦略です。複数のクエリを使って検索情報を具体的にすることで競合を減らし、高い検索順位を狙いやすくします。たとえば、「SEO 検索順位 上げる方法」というように複数のキーワードで、自分のサイトが上位表示されることを目指します。

キーワードが複数になることで、ユーザーが求める情報はより具体的になります。この具体的な情報を扱うのが、クラスターコンテンツです。つまり、テーマを決めてロングテールSEOを実施していくことで、おのずとトピッククラスターのパーツが出来上がっていくのです。

ロングテールSEOとトピッククラスターには相乗効果が見込めます。理想的な流れとしては次の通りです。

①ロングテールSEOでクラスターコンテンツを上位表示させる。
②上位表示させたクラスターコンテンツからピラーページに読者を送る。
③ピラーページからコンバージョンしやすいキラーコンテンツに読者を送る。

このように上位表示させたクラスターコンテンツが導線になることで、コンバージョンにつながる可能性が高まります。ロングテールSEOとトピッククラスターの組み合わせは、SEO戦略において強力なシナジーを生み出します。

リンクでつながった他の記事の評価も上がる

トピッククラスターの構造を作っておくと、リンクでつながった他の記事も評価されやすくなります。

記事同士の関連性が薄いサイトでは、1つのコンテンツが高評価を受けても、あまり波及効果は期待できません。検索エンジンはスムーズな情報提供のために、コンテンツ同士の関連性を重要視しているからです。

一方で、トピッククラスターはコンテンツを1つのテーマでまとめています。関連性の高い記事がまとまっているため、1つの記事の評価が他の記事にも波及しやすくなります。

1つの記事が高評価を受けると、サイト全体に波及効果が得られるのも、トピッククラスターのメリットです。

トピッククラスターの注意点

SEO的にメリットの多い一方、トピッククラスターの活用は簡単ではありません。ここでは、トピッククラスターをSEO初心者が活用する際の注意点を2つ解説します。

元々は組織向けの対策

1つはトピッククラスターが元々組織向けに考案された手法で、必ずしも個人向けではないことです。

トピッククラスターが効果的に作用するには、大量のコンテンツを一つのテーマにまとめる必要があります。組織であれば豊富なリソースを活用し、綿密なキーワード戦略を行いつつ、コンテンツの一貫性を保ちながらトピッククラスターを構築することも可能です。

しかし、個人でのサイト運営ではそうはいきません。一人で関連したコンテンツを大量に作成しつつ、それらをピラーコンテンツに統合するプロセスを行うことになるため、膨大な作業量が必要になるでしょう。

個人運用の難しさが、トピッククラスターの注意点です。

一点集中のリスクがある

もう一つは、テーマを1つに決めてしまうことで一点集中のリスクを負うことです。

トピッククラスターを活用するにはテーマとなるトピックを決める必要があります。しかし、その選考には慎重を期す必要があります。トピック自体に需要がなければ、どんなに収益化に適した構造でも、サイトにユーザーが流入することはないからです。

また、ユーザーの需要を見抜けたとしても、トピックには流行り廃りがあります。トレンドが変わってしまえば、クラスター全体を更新する必要があります。これも、一人で行うとなると時間と労力がかかる作業です。
加えて、ある特定のトピックに焦点を絞りすぎると、高い収益性が見込める他テーマのトピックを取り上げられなくなる、という欠点もあります。

テーマを1つに絞ってしまうことで色々なリスクを負うことになってしまうのも、トピッククラスターの注意点です。

初心者でもトピッククラスターでブログを構成すべき理由

トピッククラスターを個人で行うのは簡単ではありません。テーマにふさわしいトピックを見抜くにはある程度の経験や知識が必要になるでしょう。

それでも、SEO初心者はトピッククラスターを積極的に活用すべきです。ここでは、トピッククラスターでブログを構成すべき理由を3つ解説します。

良質なコンテンツ作成につながる

1つ目は、体系的に情報を整理することが良質なコンテンツ作成につながるからです。

トピッククラスターを導入すると、検索エンジンとユーザーの双方に対して明確でわかりやすいコンテンツ提供ができます。
また、近年のGoogleは、コンテンツの関連性を理解するのにトピック全体の流れを重視する傾向です。トピック全体の構造や関連性が評価されるようになっているため、トピッククラスターの有用性は以前にも増して高くなっています。
加えて、1つのメインテーマに対して多くの関連コンテンツをリンクすることで、検索エンジンに「このサイトは特定のテーマに関して権威がある」と認識されやすくなるのも強みです。

初心者であっても、評価されるコンテンツの下地作りとしてトピッククラスターを参考にしていくことは、SEOの上達につながります。

収益化の基本である専門化につながる

2つ目は、トピッククラスターの構成が収益化の基本である専門化につながることです。

トピッククラスターの構造は断片的な情報ではなく、テーマ全体を包括的にカバーしています。関連する複数の視点や詳細な知識を分かりやすく提供することで、読者に「この分野に精通している」という印象を与えやすくなります。

また、検索エンジンは、関連性の高いコンテンツ同士がリンクでつながれていることを好みます。この特性により、その分野において専門的な情報源としての評価を受けやすくなり、検索結果での表示順位が向上しやすくなります。結果として、専門的なブログとしての認知が高まるでしょう。

トピッククラスターを導入すると、読者や検索エンジンに、その分野の専門家として認識されやすくなります。トピッククラスターは専門化を促進する有効な方法です。

E-E-A-Tを満たしやすくなる

最後は、トピッククラスターの導入でE-E-A-Tを満たしやすくなることです。

E-E-A-Tとは「専門性(Expertise)」「経験(Experience)」「権威性(Authoritativeness)」「信頼性(Trustworthiness)」の頭文字を取った言葉です。Googleは、この4つを基準としてコンテンツを評価します。

先述したとおり、トピッククラスターを導入したサイトは、読者や検索エンジンにその分野の専門家として認知されやすくなります。これは、専門家として認知されることで「専門性」「権威性」「信頼性」を獲得したと言い換えられます。

また、専門家として認知される前提が、特定分野で「経験」を積むことです。同じ分野に集中してコンテンツを作り続けることで、結果的に経験が評価されるようになり、この評価が専門家としての認知につながります。つまり、トピッククラスターを導入することは、4つの評価基準すべてに良い影響を与えるのです。

トピッククラスターモデルの作り方

トピッククラスターを導入したサイトはコンテンツが増加していくたびにSEO評価が上がっていきます。長期戦略になりますが、収益化を目指すなら、SEO初心者であっても積極的に導入すべき手法です。

ここでは簡潔にトピッククラスターモデルの作り方について解説します。

メイントピックの選定

サイトで扱うメイントピック(メインテーマ)を定めます。

メイントピックはサイトの目的を明確にし、想定読者とテーマを考え、需要があるかを確認してから決定します。需要がないテーマをメイントピックにすると、利の薄いトピッククラスターになってしまうので注意しましょう。

また、メイントピックとして扱うワードは、どんなサブトピックを扱えるか、抽象度を意識して決めることも大切です。

たとえば、「動物」という単語は抽象度の高い言葉です。「動物」をメイントピックに据えた場合、「犬」「猫」「猿」といった動物の種類がサブトピックになるでしょう。一方で、動物から抽象度を下げた「犬」をメイントピックに据えた場合、「柴犬」「ゴールデンレトリバー」「チワワ」といった、より具体的な犬種がサブトピックになると考えられます。

メイントピックの下にどのようなサブトピックが作れるか、トピッククラスターとして完成させるのに必要なトピック量がどの程度か、などを把握して決めましょう。

ピラーページの対策キーワードを決める

メイントピックが決まったら、そのトピックに興味がある人が検索するキーワードを考えます。

具体的には、トピッククラスターがどのような検索キーワードで上位表示されたいかを基準に選定します。基本的にキーワードは1~2語です。ピラーページでは、選定した対策キーワードをタイトルや見出し、本文に自然に組み込むことで、検索エンジンに関連性を伝えます。たとえば、例としては次のようなキーワードがあるでしょう

  • 40代 ダイエット
  • 健康

クラスターコンテンツを選定する

ピラーページの対策キーワードが決まったら、そのキーワードに付随するコンテンツを選定します。付随コンテンツの選定は、各種SEOツールを用いるとスムーズです。後述するラッコキーワードやGoogleキーワードプランナーなどを活用しましょう。関連性の高いキーワードやトピックを絞り込みつつ、検索ボリュームや競合性などをチェックします。

クラスターコンテンツの選定は、トピッククラスター戦略の基盤です。疎かにすると、制作したコンテンツがユーザーの検索意図に合わなったり、重複したりするなどの問題が発生してしまいます。雑な選定をすると、かえってユーザー体験が損なわれ、SEOパフォーマンスが低下する可能性があります。慎重に選定しましょう。

扱うテーマにもよりますが、クラスターコンテンツの選定は、ロングテールSEOと相性がいいです。たとえば、先程の例にあげたピラーコンテンツの対策キーワード「40代 ダイエット」なら、トピッククラスターの対策キーワードは次のようになるでしょう。

「40代 ダイエット 更年期 影響」「40代 ダイエット お腹周り」

内部リンク構造を決める

ピラーページとクラスターコンテンツの内容が決まったら、どのように内部リンクで結ぶかを考えます。内部リンクの基本構造は次の通りです。

  • すべてのクラスターコンテンツにピラーコンテンツにつなぐ。
  • 関連性の深さを基準にしてクラスターコンテンツとクラスターコンテンツをつなぐ

たとえば、「40代 ダイエット 食事 メニュー」 と 「40代 ダイエット 食事 タイミング」という記事は、どちらも「食事」に関連したクラスターコンテンツです。ダイエット効果を高めるための具体的なアドバイスに焦点を当てているため、トピッククラスターとして相互リンクさせることが可能です。

トピッククラスター作成に役立つツール

トピッククラスターの実践は簡単ではありませんが、基本的な構造自体はシンプルです。知識として身に付けておくだけでも、コンテンツを作成する際の指針になるでしょう。

最後にトピッククラスター作成に役立つSEOツールを3つ紹介します。

ラッコキーワード

ラッコキーワードは、豊富な機能を無料で利用できるキーワード分析ツールです。

トピッククラスターでは主に、サジェストキーワードを抽出するのに使用します。対象キーワードを検索ボックスに入力するだけで、検索時に自動表示される関連キーワードが上記画像のように表示されます。

サジェストキーワード以外の機能も豊富で、対象キーワードの共起語や上位サイトの見出し、Q&Aサイトの質問内容なども抽出できます。無料プランでも使える便利機能が豊富なので、SEOツールを使ったことがない初心者にもおすすめです。

ラッコキーワード
https://rakkokeyword.com/

Googleキーワードプランナー

Googleキーワードプランナーは、キーワードの検索ボリュームや競合性を分析し、SEOや広告戦略のためのデータを提供する無料ツールです。

Google広告との連携が強みで、広告主向けの競争データやキーワードのパフォーマンスに基づいた情報を提供します。トピッククラスターでは、競争データや検索トレンドを活用することで、トピッククラスターの中心となるピラーページや関連するクラスターコンテンツのテーマを効果的に選定できます。

Googleキーワードプランナー
https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/tools/keyword-planner/

ピラクラ

ピラクラはトピッククラスターを調査するのに特化した無料ツールです。

ピラーコンテンツで使われているメインキーワードと、クラスターコンテンツの候補となる追加キーワードを入力することで、追加しようとしているトピックを調査します。

一連の操作でトピックが競合サイトにおいて、ピラーコンテンツとして使われているか、クラスターコンテンツとして使われているかが分かります。新しいキーワードでコンテンツを作成する際、どちらに組み込むべきか迷ったときに利用すると参考になるでしょう。

ピラクラ
https://www.tsuyoshikashiwazaki.jp/tools/pillar-or-cluster/

まとめ

個人でトピッククラスターを作るのは、決して簡単ではありません。しかし、うまく設計に組み込めば、検索エンジン・ユーザーの双方に評価される統一性あるサイトを作れます。その結果、専門性をはじめとするE-E-A-Tを満たしやすくなります。収益化を目指すなら、トピッククラスターに基づいたサイト作りが重要です。

初心者にとっても、評価されるコンテンツの基盤としてトピッククラスターを参考にすることはSEOの上達に役立ちます。早期に実践することで収益化のスピードも向上するでしょう。

トピッククラスターは長期的な視点で、初心者にも大きなメリットをもたらす戦略です。積極的に導入を目指しましょう。