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アウトソーシングのメリットを紹介!注目される理由や委託先選びのポイント

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企業にとって「人手不足」や「生産性の伸び悩み」などの悩みは付きものです。このような悩みを解決する方法の一つとして、アウトソーシングの活用があります。この記事ではアウトソーシングのメリットを中心に、委託先を選ぶ際のポイントや注意点を紹介します。アウトソーシングの導入を検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

アウトソーシングとは?概要と種類

はじめに、アウトソーシングの概要とその種類について解説します。これを読んでアウトソーシングの基本的な知識を身に付けましょう。

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、アウト(外部)とソーシング(資源利用)を組み合わせた言葉で、
社内の業務を外部の専門業者に委託することを指します。「外部委託」や「外注化」とも呼ばれており、1980年代後半から広まりました。はじめのうちは情報システムの構築や運用、保守などを専門業者に委託することから始まったアウトソーシングですが、現在ではシステム関連だけにとどまらず多くの分野が対象となっています。

BPO

BPOは、「Business Process Outsourcing」の略称です。
人事業務・総務・経理業務などの業務を外部に委託するアウトソーシングがBPOに該当します。BPOの特徴は、企画から設計、実施まで、経営に関わる一連の業務委託が可能であることです。専門性が高い業者に業務を委託することでコスト削減やリソース削減ができるのはもちろん、業務の品質向上にもつながります。

ITO

ITOは、「Information Technology Outsourcing」の略称です。
情報技術や情報システム関連の業務を外部に委託するアウトソーシングがITOに該当します。比較的個別性が低い定型業務に適した方法と言えるでしょう。ITに関するリテラシーが低い企業の場合、自社で対応するよりも専門の業者に委託した方がセキュリティ面で安心できます。

KPO

KPOは、「Knowledge Process Outsourcing」の略称です。
情報の分析・医療開発・航空機設計といった、専門性の高い分野を外部に委託するアウトソーシングがKPOに該当します。KPOの特徴は、データ収集やデータ分析などの業務をインドや中国の業者に委託することです。これら海外企業の人材は低賃金であるにもかかわらず、レベルの高い教育を受けているケースが多く見られます。

アウトソーシングとその他委託サービスの違い

アウトソーシングはその特徴から、人材派遣やシェアードサービスと混同されやすくなっています。ここでは、アウトソーシングとその他のサービスとの違いを解説します。

人材派遣との違い

アウトソーシングと人材派遣の大きな違いは、業務の管理者や対価の対象です。
人材派遣の場合、派遣先の企業が派遣スタッフに業務指示を行うのが一般的でしょう。一方アウトソーシングの場合、委託を受けたアウトソーシング会社がスタッフに指示を出します。また、人材派遣では派遣社員の労働時間に対価が発生しますが、アウトソーシングでは業務の成果に対価が発生します。加えて、人材派遣は派遣スタッフを自社に招き入れて働いてもらいますが、アウトソーシングの場合は社内業務のみとは限りません。

シェアードサービスとの違い

シェアードサービスとは、グループ企業などで共通する部署の業務を1か所にまとめて行うサービスです。経理・人事・総務などの部署は、まとめて管理するのに適しています。
アウトソーシングのBPOと似ているように感じますが、シェアードサービスは外部への委託をしません。外部に委託するかしないかの点が2つの違いとなります。

アウトソーシングが企業から注目されている理由

アウトソーシングがあらゆる企業から注目されているのにはどのような理由があるのでしょうか。ここでは、アウトソーシングが広まった背景について解説します。

多角化経営を進めるため

アウトソーシングが広まった背景として「多角化経営」があります。多角化経営とは、既存の製品・市場のみに依存せず、新しい製品・市場で経営の拡大を目指す戦略です。
企業が多角的な経営を進めるためには、コストの削減や業務の効率化が求められます。しかし、全ての業務を自社で行えばリソースの分散が起こる恐れがあります。そのため、委託可能な業務はアウトソーシングが導入されるようになりました。

コストを抑えつつ人材不足を解消するため

アウトソーシングが流行した背景には「企業の人材不足」があります。少子高齢化によって、企業では若く優秀な人材を得ることが難しくなりました。不足した労働力を補うために、アウトソーシングを導入する企業が増えたと考えられます。アウトソーシングは、決まったコスト内でスタッフの力を借りることができるため、コストを最小限に抑えつつ人材不足を解消できます。

アウトソーシングのメリット

それでは、アウトソーシングを導入することで得られるメリットをご紹介します。アウトソーシングにはたくさんのメリットがあります。導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

さまざまなコストの削減につながる

アウトソーシング業者は請け負う業務を専門的に行っているため、自社で業務を進めるよりも効率的にコスト削減ができる傾向にあります。
たとえば人件費に関しては、誰にでもできる定型作業を有能な社員に任せている、といった損失が減らせます。また、情報システムをアウトソーシングする場合はシステム維持のための固定費を削減可能です。さらに、アウトソーシングの導入を検討する際は、現状の業務フローを調べたうえで可視化するため、無駄な業務の発見につながることもあるでしょう。

専門的なノウハウが得られる

アウトソーシングを導入することで、委託先業者の高度な技術や知識などを自社に取り入れるきっかけとなります。委託する業務の内容によっては、データベースにアクセスできたり、プロの知識とノウハウを取り入れた研修を受けられたりする場合があります。

重要な業務に集中できる

企業が成長するためには、サービスの開発・改善にリソースを投下していく必要があります。しかし、日々の煩雑な業務に忙殺されていては重要な業務に集中できません。
非主力業務をアウトソーシングすることで、自社のリソースを重要な主力業務へと集中させられます。これは企業の競争力強化にもつながるでしょう。

組織の肥大化防止につながる

会社の成長に伴い、人員や部署、間接業務が増えていきます。それにより「組織の肥大化」が起こる恐れがあります。簡単に言うと「一つの業務を実行するために多くの社員の承認を得る必要がある」状態です。組織の肥大化は、作業効率の低下や無駄なルールによる社員のモチベーション低下などにつながります。
一部の定型業務をアウトソーシングすることで、このような組織の肥大化を防止できます。

プロの技術で業務品質が向上する

アウトソーシングにより専門的なノウハウを外部から取り入れることで、業務の品質向上が期待できます。特に最新のツールが必要となる業務の場合、社内でツールを導入せずともアウトソーシングで最新技術の利用が可能です。専門的な知識がなくても高品質な業務が完成するのは大きなメリットと言えるでしょう。

アウトソーシングのデメリット

多くのメリットがあるアウトソーシングですが、デメリットも把握しておきましょう。以下は、アウトソーシングを導入した際に考えられる主なデメリットです。

情報漏えいのリスクがある

企業には人事情報や顧客情報といった機密情報が数多くあります。業務をアウトソーシングするということは、これらの情報を外部の業者に提供することにもなるのです。
多くのアウトソーシング業者は万全のセキュリティ体制を構築していますが、なかには悪質な業者も存在します。そのため、情報が外部に漏えいするリスクを考えなくてはなりません。アウトソーシング業者のセキュリティレベルや、情報の取り扱い方を事前に確認したうえで、業務を委託するかどうかの判断をしましょう。

社内にノウハウが蓄積されない場合がある

アウトソーシングの導入により、それまでその業務を担当していた社員の業務負担が軽減されます。その一方で、「経験を積めない」「ノウハウが蓄積できない」という問題が生じます。対策として、アウトソーシング企業に業務を丸投げせず、定期的に情報やノウハウを共有してもらうことが有効です。将来的に業務を内製化しようと考えている場合や、アウトソーシング業者が突然倒産してしまった場合の対策にもなります。

費用対効果が悪くなる恐れがある

自社特有のツールや業務フローがある場合、社外に出して標準化するのが難しいため業務委託のコストが高くなることがあります。コスト削減のためにアウトソーシングを導入したにもかかわらず、費用対効果が悪くなってしまうケースです。このような場合、「自社特有のツールや業務フローによる作業を標準化させることが得意」なアウトソーシング会社を選ぶことをおすすめします。
また、今まで社内で対応したことがない業務をアウトソーシングする場合、社内で適正コストの判断ができません。実際に委託したら予想よりもコストが高かった、ということもあり得ます。

業務が煩雑化する恐れがある

今まで社内で行っていた業務をアウトソーシングすることで、外部業者とのやり取りが増えます。それにより業務が余計に煩雑化してしまう場合もあるでしょう。また、一部の業務を外部に委託することで、業務の詳細な状況を把握することが難しくなったケースもあります。これを防ぐためには、スムーズかつ的確なコミュニケーションを図れるアウトソーシング業者を選ぶ必要があります。

スタッフのモチベーションを保つ必要がある

稀な例ですが、社内の主力業務をアウトソーシングしたために、担当していた部署やスタッフのモチベーションが低下してしまうことがあります。委託する業務を選択する際には、どの業務をアウトソーシングすべきかを慎重に検討しましょう。アウトソーシングの導入によって、どのようなメリット・デメリットがあるのかを事前に社内で共有しておくことも必要です。

アウトソーシングに向いている業種

続いては、アウトソーシングに向いている業種を紹介します。どの業務をアウトソーシングすべきかで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

労務管理

労務管理とは、主に人事関連の業務のことです。具体的には、給与計算・勤怠管理・入退社の手続きなどがあります。これらの業務は社員数が多いほど担当者業務量も多くなりがちです。労務管理にはそれなりに知識が必要となりますが、提携作業も多い傾向です。そのため、スキルを持った人材に定型業務を依頼できるアウトソーシングに向いています。

経理

経理も労務管理と同様に専門知識が必要でありながら定型業務が多い業種です。記帳・決算書作成・年末調整などの作業は汎用性が高いため、アウトソーシングにより自社スタッフの業務負担を減らすのもおすすめです。経理人材の育成に関して課題を持つ企業が多くなっていますが、アウトソーシングを導入すれば専門スキルを持った人材の力をすぐに借りられるため人材不足も解消できます。

IT関連

IT関連の業務は専門性が高く、社内でリソースを整えることが難しい傾向にあります。また、IT業務を担当するスタッフの確保が難しい企業もあるでしょう。このような状況の場合、アウトソーシングが効果的です。システムの運用や保守、定型業務などをアウトソーシングに任せましょう。

商品の製造や販売

商品の製造や販売業務も、アウトソーシング向けと言えるでしょう。近年、商品の製造や販売などをメインとする企業では、他社ブランド製品の製造を代行する「OEM事業」が活発化しています。このように製品企画と開発は自社で行い製造のみアウトソーシングする、といった運用方法もあるのです。

サービス業や飲食業

サービス業や飲食業において原価管理・在庫管理といった専門知識が必要となる業務をそのままアウトソーシングするケースも珍しくありません。メインビジネスの展開を主力業務として自社で行い、管理業務は委託している企業も多くあります。

アウトソーシング導入時に注意しておきたいこと

それでは、アウトソーシングを導入する際に注意しておきたいポイントを2つご紹介します。効果的なアウトソーシングにするために以下のことを意識しましょう。

委託する業務範囲を明確にしておく

1つめのポイントは、アウトソーシングに委託する業務範囲を明確にしておくことです。深く考えずに今ある業務を委託するのではなく、「主力業務」か「非主力業務」かを考慮して委託する業務を決めましょう。自社で行う業務と外注する業務を正しく判断することが大切です。たとえば、セキュリティレベルの高い業務や社内にノウハウを蓄積したい業務は自社で対応し、それ以外の単純作業や専門知識が必要な業務を委託するのがおすすめです。

委託先に丸投げせず情報を共有する

2つめのポイントは、アウトソーシングの委託先に業務を丸投げしないことです。担当者と密にコミュニケーションを図り、業務の進捗情報を共有しましょう。そうすることで業務のブラックボックス化を防止し、万が一のトラブルや災害時などにも対応できるようになります。

アウトソーシングを導入する手順を解説

以下は、アウトソーシングを導入する際の基本的な手順です。

  1. 事前の準備
    アウトソーシングに委託する業務範囲を明確にします。
  2. アウトソーシング委託先業者を選定
    アウトソーシングの目的や費用対効果、委託先業者の実績やセキュリティ面などを考慮して選定します。
  3. 契約
    委託先業者を決めたら契約を締結します。契約時には作業ルールをしっかりと話し合っておきましょう。
  4. アウトソーシング開始
    アウトソーシングが軌道に乗るまではエラーやトラブルが発生する可能性があるため、対応が必要です。その後は業務の進捗管理や確認などが主な業務となります。

アウトソーシング委託先を選ぶ際のポイント

最後に、アウトソーシングの委託先を選ぶ際のポイントをご紹介します。アウトソーシング業者は数多くあるため、どの業者を選べば良いか分からない、という方はぜひ参考にしてください。

費用対効果

委託先の業者を選ぶ際には、見積もりを取ってコストに見合う成果が得られるか否かを判定しましょう。費用対効果を見極める際は総合的な視点を持つことが大切です。アウトソーシングには「社内にノウハウが蓄積されない」といったデメリットもあるため、それを踏まえたうえで判断します。また、仮にコストが予想よりも多くかかる場合でも、特出した専門知識や高いスキルを持つ業者に委託することで、多くのリターンが得られる可能性があります。

委託先の実績

気になる委託先業者を見つけたら、これまでの実績を確認しましょう。特に専門性の高い業務を委託する場合は、自社で求めている水準に達しているかどうかを確認する必要があります。特に、打ち合わせの際に「業務効率化」や「業務内容のブラッシュアップ」についての提案をしてくれる業者は品質にも期待できるでしょう。

セキュリティ対策

委託先業者の「セキュリティポリシー」を提示してもらいましょう。特に、個人情報や機密情報に関する業務をアウトソーシングする場合は契約前にセキュリティ面の確認を行うことが重要です。

業務内容や業務範囲とのマッチ度

気になる委託先業者の規模や、依頼可能な業務範囲を確認します。自社の成長に伴って委託する業務量が増えたり、委託する分野が増えたりした場合でも対応が可能なようであれば長くアウトソーシングできるでしょう。

まとめ

アウトソーシングは、企業の人手不足や生産性の向上、コスト削減といった悩みを解決する方法の1つとして注目されています。アウトソーシングには多くのメリットがあるため、導入に迷っている方は今回の記事を参考に検討してみてください。自社にぴったりなアウトソーシング業者を選び、業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。