COLUMNコラム
ブラックハットSEOとは?手法やホワイトハットSEOとの違い
Googleアルゴリズムのアップデートにより、「ブラックハットSEO」と呼ばれるSEO対策が通用しなくなりました。アップデート前のGoogleアルゴリズムが運用されていた時代には、「少ない労力で多くの利益を獲得できる」やり方として悪名高いものでしたが、現在ではホワイトハットSEOに取って代わられているのです。
ブラックハットSEOとはどのようなSEO対策なのか、なぜ間違った手法とされたのかという疑問を、この記事で一つずつ解説します。ホワイトハットSEOについても紹介するので、SEO対策について知りたい方は参考にしてください。
ブラックハットSEOとは?
まずは、ブラックハットSEOという手法と概要を解説します。Googleアルゴリズムのアップデート後も問題となったキュレーションサイトに関わる問題や、ブラックハットSEOに対するペナルティの内容についても併せてご覧ください。
ブラックハットSEOの概要
SEO対策とは、自社WebサイトなどをGoogle検索の上位に表示させるために行われる手法全般です。Googleのガイドラインに基づき、ユーザー目線の分かりやすい内容や、求められている情報を網羅的にまとめている内容のWebサイトが、検索上位に表示されます。
ブラックハットSEOもSEO対策の一種ではありますが、「粗悪でユーザー目線に立っていない内容」かつ「SEO対策による利益獲得のみを優先」している点で、悪質な手法です。詳細は後述しますが、現在ではGoogleアルゴリズムのアップデートによって、ブラックハットSEOは通用しなくなっています。
キュレーションサイト問題
ブラックハットSEOはGoogleアルゴリズムのアップデートによって対処されたものの、質の低いキュレーションサイト(俗にいうまとめサイト)による問題が発生し、Googleは次なる対策を講じることになります。
この件で特に問題視されたのが、2016年に発生した株式会社DeNAによるヘルスケア系キュレーションサイト「WELQ」です。「WELQ」は医療・健康に関わる内容を掲載していましたが、内容が専門家の監修を受けていない誤った情報だったとして批判を受け、Webサイトは非公開となり、最終的に閉鎖されました。
本来、キュレーションサイトは数多くの情報を扱っている情報媒体であり、内容がユーザーにとって有益なものであれば問題はありません。しかし、専門知識のない多数の素人に低額の報酬で記事を外注することで、低品質なキュレーションサイトが乱立する状況が生み出されてしまったのです。Googleはアルゴリズムアップデートを用いて対策を行い、質の低いキュレーションサイトが検索上位に表示されないように取り組みを行いました。
ブラックハットSEOのペナルティについて
現在、ブラックハットSEOと見なされるSEO対策はGoogleガイドラインによって禁止されており、ガイドライン違反とされれば重いペナルティが科されます。主なブラックハットSEOの手法は次項で解説しますが、科されるペナルティは「検索順位の下降」「検索結果からの除外」「ドメインの削除やIPアドレスの制限または禁止」です。
ブラックハットSEOの手法
ブラックハットSEOとされる手法には、大まかにリンクに関連する手法と、Webサイト内部に関連する手法とがあります。計9つの手法を解説するので、誤ったSEO対策を行わないための参考にしてください。
手法1.自作自演リンク
現状、Googleの検索上位に表示されるためには、被リンクの多さに加えて質の高さも重要視されています。しかし、Googleがアルゴリズムのアップデートを行う前は、「被リンクの多さ=Webサイトの価値の高さ」とされていました。さまざまな学界において、数多くの識者に引用されている論文の価値が高いことにアイデアを見出し、Googleの創業者は、被リンク数が多いWebサイトの価値が高いというアルゴリズムを作成したのです。
このアルゴリズムを悪用した手法が、自作自演リンクといいます。リンクの販売業者から被リンクを購入するなどして、自らのWebサイトの被リンク数を増やし、Googleのアルゴリズムが評価の高いサイトであると認識するように仕向けるやり方です。現在は被リンクの質の高さも重要視されており、悪質な被リンクはガイドライン違反となるので、行わないようにしましょう。
手法2.相互リンク集
相互リンクとは、2つのWebサイト同士でリンクし合うことを指します。複数集まってリンク群を形成すると相互リンク集(リンクファーム)となるのですが、あくまでも被リンクを増やすための手法でしかありません。ユーザーにとって有益ではないため、ガイドライン違反です。
手法3.ウィジェットベイト
被リンクを得ることを目的とし、ブログなどを装飾するために利用されるパーツのHTMLコードにリンクを含める手法も、行わないようにしましょう。行為自体はガイドライン違反にはなりませんが、パーツの配布にあたって、利用者に「リンクが含まれていること」を明確に示す必要があります。そうでなければ「隠しリンク」としてペナルティの対象となるため注意してください。
手法4.トラックバック・コメントスパム
参考・引用元のWebサイトに、引用について通知する機能がトラックバックです。通知を参考・引用元の管理者が承認すると、自身のWebサイトへのリンクが参考・引用元のWebサイトに貼られる仕組みで、アクセス数の増加が見込めます。
トラックバックは、Webサイト同士に関連性があることが大前提です。しかし、一切関係がないにもかかわらず、被リンク目的でトラックバックを送信する「トラックバックスパム」と呼ばれる手法が存在します。
Webサイトのコメント欄に、全く関係のないリンクを貼り付けて被リンクを得ようとする「コメントスパム」という手法もあり、いずれもガイドライン違反の対象です。
手法5.隠しテキスト
SEO対策として、Webサイト内にキーワードを盛り込むことは重要です。しかし、キーワードとWebサイトの整合性が取れない場合もあります。背景色と同じ色やフォントサイズが0の状態でキーワードを盛り込み、ユーザーには見えないのにアルゴリズム上でのみ確認できるようにする手法が、隠しテキストです。
ユーザーからすれば一貫性のあるWebサイトに見える一方、アルゴリズムから見ると検索キーワードが多く含まれているため、検索上位に表示されやすくなります。この手法も、現在ではガイドライン違反となり除外対象です。
手法6. クローキング
ユーザーが見ることのできるWebサイトと、検索エンジンが確認するWebサイトで内容を変える手法が、クローキングです。ユーザーからすれば見やすいWebサイトですが、SEO的には検索上位に表示されるほどキーワードは含まれていません。
一方、検索エンジンが確認する際には、見やすさや情報の有益性を無視したSEO特化型のWebサイトが表示されます。SEO対策のために詐欺を行うに等しい行為ですので、当然ガイドライン違反です。
手法7. ワードサラダ
検索エンジンが、文章として意味が通らないコンテンツを判別できない頃に流行したのが、ワードサラダ(自動生成コンテンツ)です。少ない労力で多数の情報を入れ込めるため、意味が通らなくてもアルゴリズム上では評価を受け、検索上位に表示されます。
現在は検索エンジンの機能が向上しているため、意味不明な文章を羅列しただけのWebサイトは評価されません。むしろ、ガイドライン違反の対象として、何らかの措置を受けることになるでしょう。
手法8.低品質コンテンツの大量生産
SEO的観点では、ユーザーにとって有益な情報が独自性を持ってまとめられているWebサイトが高品質なコンテンツです。情報が少なかったり、被リンクを目的としていたりすると質の低いコンテンツとみなされますし、他サイトのコピーも同じく、Googleによる処置の対象となります。
低品質なコンテンツは簡単に作れるため、大量に作成してSEO対策する手法が取られていました。ユーザーにとって意味のないWebサイトが乱立する状況は、好ましくありません。質の低いコンテンツの大量生産は、ガイドライン違反の対象とされています。
手法9.コンテンツコピースパム
SEOに限った話ではありませんが、他者の作成したコンテンツをコピペしたり、一部のみを変えてオリジナルコンテンツのように見せたりする行為は不当です。他者のコンテンツを参考にしたり引用したりすることとは雲泥の差があります。ガイドライン違反となるので、絶対に行わないようにしましょう。
ブラックハットSEOはなぜ衰退したのか?
検索上位に表示させるために行われてきたブラックハットSEOですが、今やほとんどの手法が通用しなくなっています。背景にあるのは、Googleアルゴリズムのアップデートによる影響です。ブラックハットSEO衰退の原因について、順を追って見ていきましょう。
ブラックハットSEOの歴史
Googleが検索エンジンとして始動してから2010年頃まで、アルゴリズムの抜け穴を利用したさまざまなブラックハットSEOが行われていました。質の低いWebサイトが検索上位を占め、ユーザーからのGoogleに対する評価が厳しくなる一方、ブラックハットSEOによって利益を獲得する業者は増えたのです。努力して質の高いコンテンツを作成しても報われない状況下で、コンテンツを提供する側の熱意も下がっていきます。
このような事態を打開するために、GoogleはブラックハットSEOを段階的に駆逐すべくアップデートを重ねていきました。その代表例が、次項で解説する「ペンギンアップデート」と「パンダアップデート」です。
ペンギンアップデートの影響
2012年、Googleは悪質なリンクプログラムの取り締まりを目的として「ペンギンアップデート」を実施しました。自作自演や過剰な相互リンクなど、不当な被リンクで利益を得ていたWebサイトが検索上位に表示されることはほぼなくなり、質の良い正攻法のWebサイトが報われたのです。
パンダアップデートの影響
ペンギンアップデートに先んじて、2011年に実施された「パンダアップデート」では、Webサイトのコンテンツ力が高いものを検索上位に表示させるように改良されました。結果として、コピーコンテンツやワードサラダを利用していたWebサイトの検索順位は大幅に下降し、ブラックハットSEOによって利益を得ることは非常に難しくなったのです。
ホワイトハットSEOとは?
ブラックハットSEOを用いたWebサイトが検索エンジンから姿を消した現在、主流となっているのは「ホワイトハットSEO」という手法です。ここからは、ホワイトハットSEOに焦点を当てて解説していきます。
ホワイトハットSEOの概要
Googleガイドラインに準拠したSEO対策のもと、ユーザーと検索エンジン双方にとって有益なWebサイトを作ることを、ホワイトハットSEOと呼びます。「ルールを守って質の高いコンテンツ作りを行う」という姿勢であり、ブラックハットSEOが台頭していた時期は低迷していましたが、Googleアルゴリズムのアップデートに伴いSEO対策の主流となったのです。
コンテンツSEOが中心
ブラックハットSEOにはさまざまな手法が存在していましたが、ホワイトハットSEOは「コンテンツSEO」が主流です。ユーザーが検索して求める情報を分析・予測し、その内容に沿ったWebサイトを作成、Webサイトへのアクションを調査して、改善を重ねていく手法のことを指します。
オウンドメディアの注目も後押し
「自社独自で保有しているメディア:オウンドメディア」は、一般的な広告やSNSにおける情報発信の弱みをカバーできる手段として注目を集めています。広告は商品・サービスを認知してもらうためには効果的ですが、ユーザー目線では情報量が少なく、内容によっては拒否感を覚えることもあるでしょう。SNSによる情報発信では、ユーザーが最新の情報を獲得できる一方で、過去の有益な情報へさかのぼるのが難しい傾向があります。
オウンドメディアは商品・サービスの売上を目的とするだけではなく、新規顧客の開拓に向けて独自性・有益性のあるコンテンツを作成し、自社ホームページ内で情報を蓄積することが可能です。ユーザーにとって優良なWebサイトとなり、SEOの観点から見ても質の高いコンテンツとなります。結果的に、検索上位に表示される可能性が高まるため、高品質なオウンドメディアの作成がおすすめです。
ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの違い
ここで、ブラックハットSEOとホワイトハットSEOは何が違うのか、改めて確認しておきましょう。
検索するユーザーのことを考えているか
ブラックハットSEOでは、Webサイト管理側の利益獲得だけが目的となっており、そのための手法が数多く存在していました。いずれのやり方も、情報を求めて検索したユーザーの視点には立っておらず、できあがるのは読みやすさや情報の有益性という点で価値のないWebサイトです。
ホワイトハットSEOは、現在のGoogleアルゴリズムに評価されるためという側面はありつつも、ユーザーにとって意味のあるWebサイト作りが必要になります。最終的な目的が何であれ、ユーザーのことを意識してコンテンツを作っているかどうかが両者の大きな違いです。
Googleが推奨するガイドラインに合っているか
SEO対策に関して、Googleは明確なガイドラインを定めています。ブラックハットSEOの手法はガイドライン違反のものばかりですが、ホワイトハットSEOはガイドラインに準拠することが前提です。この点も、両者の違いの一つといえます。
ホワイトハットSEOでアクセス数を増加させるコツ
ホワイトハットSEOは即効性のあるものではなく、地道な積み重ねが必要です。ここでは、集客数アップにつながるコツを紹介します。
E-A-Tを重視したサイトになっているか
E-A-Tとは、コンテンツの品質を測る上で重要な「Expertise:専門性」「Authoritativeness:権威性」「Trustworthiness:信頼性」という3つの指針を意味します。いずれも継続的な取り組みと向上心、分析と改善が必要です。指針を念頭に置いた上でSEO対策を行うと、より効果を得られます。
検索意図に合っているか
価値あるコンテンツ作りを行う前に、コンテンツとユーザーの検索意図が合致しているかどうかを把握することも重要です。ユーザーが何を求めて検索するのか、実際にキーワード検索を行って調査してみましょう。表示されるサジェストキーワードや上位サイトなどを参考にしてみると、ユーザーの検索意図が判明します。
独自性のあるサイトになっているか
他のWebサイトと似通っていたり、自社独自の情報が少なすぎたりしては、オリジナル性が低いWebサイトとみなされて評価を得られません。どの企業にも、自社だけが提供できるコンテンツがあるでしょう。問題は、訴求ポイントを認識して、ユーザーに分かりやすく伝えられる手腕があるかどうかです。これができれば、独自性のあるWebサイトとして高い評価を得やすくなります。
使いやすいWebサイトになっているか
ユーザーの検索意図に合致しており、内容も専門的で充実している場合、ユーザー目線で使いやすいかどうかの確認が大切です。専門的な知識が豊富に含まれていても、一般ユーザーから見た場合に専門用語が多すぎると、内容が正しく伝わりません。専門性が高ければ良いというわけではなく、誰が見ても分かるようなWebサイト作りが大切なのです。
ホワイトハットSEOを始める際は公式ガイドもチェック!
最後に、ホワイトハットSEOを進めていくにあたって、無視できないGoogleガイドラインについて簡単に紹介します。公式サイトへのリンクも併せて載せているので、参考にしてみてください。
ウェブマスター向けガイドライン
ガイドラインでは、「一般的なガイドライン」と「品質に関するガイドライン」について解説されています。特に、「品質に関するガイドライン」ではブラックハットSEOにあたる手法について13項目に分けて紹介されているので、必ず目を通しておきましょう。
参考URL:Google検索の基本事項
Google検索品質評価ガイドライン
全167ページにわたるガイドラインで、Google検索のアルゴリズムなどについて詳細に記載されています。なお、全編英語で記載されているので、英語が不得手な場合は翻訳ツールを使用して確認しましょう。
参考URL:Google検索品質評価ガイドライン
Google検索エンジン最適化スターターガイド
SEO対策初心者の方に目を通してほしいものに、以下のスターターガイドが挙げられます。用語集をはじめとし、SEO対策を始めるために必要な情報が多数記載されていますので、SEO対策のガイドブックとして常用すると良いでしょう。
参考URL:検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
まとめ
Googleアルゴリズムの度重なるアップデートにより、かつて主流であったブラックハットSEOは通用しなくなりました。むしろ、ガイドライン違反として扱われるようになったのです。
現在は、ユーザーと検索エンジン双方にとって有益であるホワイトハットSEOが王道のSEO対策となっています。ホワイトハットSEOの効果を得るには、継続的に良質なコンテンツを提供していく姿勢が重要です。SEO対策を成功させるためには、地道な努力が不可欠といえます。Googleのガイドラインや成功事例を参考にしつつ、ユーザーにとって有益なコンテンツ作りに励んでみてください。