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サテライトサイトとは? 正しく運用するために知っておきたい基本知識を解説

ライティング

サテライトサイトとは、メインサイトの集客を高めたり、新しいユーザー層にアプローチしたりするために設けられる補助的なサイトです。こう聞くと「作っておいて損はない仕組み」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、サテライトサイトはかつてブラックハットSEOに利用されてきた経緯があります。ガイドラインが厳格化した今では、安易な作成は大変危険です。

そこで、この記事では、サテライトサイトの概要や注意点、作成ポイントについて解説します。サテライトサイトを正しく運用するのに役立つ内容になっています。これから作成を検討されている方は、ぜひ記事をご参照ください。

サテライトサイトとは

サテライトサイトとは、メインとなるWebサイト(本体サイト)を支援する目的で作られるサブサイトのことです。「サテライト(衛星)」という言葉の通り、メインサイトの周りに存在して、その価値や集客力を高める役割を担います。

たとえば、ある企業が本体サイトで自社の商品やサービスを紹介している場合、関連テーマに特化したサテライトサイトを作ることで、より幅広いユーザーにリーチできます。旅行会社であれば「観光地紹介ブログ」、健康食品メーカーであれば「食生活に関する情報サイト」といった形です。

しかし、サテライトサイトは、過去にブラックハットSEOに利用されていた経緯があります。現在はGoogleからのペナルティを受けやすくなっているので、考えなしに作成してしまうとかえって逆効果です。運用に際しては、ユーザーにとって価値のある独立したサイトとして作ることが前提になっています。

ブラックハットSEOとしてのサテライトサイト

ブラックハットSEOとは、検索エンジンの仕組みを逆手にとって不正に評価を獲得する手法です。その代表例だったのが「被リンクを目的とした低品質なサテライトサイトの大量生産」でした。

以前の検索エンジンは、被リンクの数をそのまま評価の基準にしていました。そのため、サテライトサイトを大量に作り、本体サイトへリンクを貼るだけでも、一定のSEO効果が見込めたのです。

しかし、そのような手法は、検索エンジンの改善・進化に伴い、現在では通用しなくなっています。不自然なサテライトサイトはペナルティの対象となり、本体サイトの評価を下げるリスクになっています。

近年では単なる被リンク目的でサテライトサイトを作成するのは推奨されていません。ユーザーに価値を提供できる独立したサブサイトとして「ブランド確立」や「顧客層の拡大」に活用されるケースが主流です。

ブラックハットSEOとして利用できた過去と、できなくなった現在では、サテライトサイトの作成目的は大きく変化しています。

サテライトサイトを作成する目的

現在のサテライトサイトでは、ユーザーに価値を提供することで「ブランド確立」や「顧客層の拡大」を促し、メインサイトの価値や集客力を高める役割が期待されています。

それを踏まえて、ここでは、サテライトサイトを作成する目的を4つ解説します。

被リンク獲得によるメインサイトの評価向上

1つ目は、質の高い自然な被リンクによるメインサイトの評価向上です。

サテライトサイトは、メインサイトへの被リンクを通じて検索エンジンからの評価を高める効果が期待できます。ただし、近年の評価基準において、被リンクは数よりも「品質」が重視されます。この品質とは主に「リンク先サイトに関連性・権威性があり、ユーザーにとって自然に貼られている」ことを指します。逆に、品質を満たさない被リンクはほとんど評価されません。つまり、メインサイトの評価を向上させるには、サテライトサイトがリンク先として高品質なリンクを提供できる環境でなくてはならない、ということです。

被リンク目的でサテライトサイトを作成する場合は、メインサイトと関連しつつ独立したテーマで記事を提供することが大切です。メインサイトを補足する形で、ユーザーにとって有益な情報を提供できれば関連性・権威性を高めることができ、自然な形でリンクを貼ることができます。メインサイトに高品質なリンクを提供できるサテライトサイトを作りましょう。

新テーマによるターゲットユーザーの拡大

2つ目は、メインサイトと関連性がある新テーマを扱うことでターゲット層を拡大することです。

サテライトサイトを新テーマで展開すると、メインサイトではカバーしきれないユーザー層にもアプローチできます。これにより、新しい見込み顧客の獲得やブランドの認知度向上につながり、最終的に集客力を高められます。

たとえば、自社が「ダイエット食品やサプリの販売」をしているとします。メインサイトには、自社ブランドについて興味がある「見込み顧客」が訪問すると想定するのが一般的です。アクション(購買行動)を起こしてもらうために、以下のような情報を掲載することになるでしょう。

  • 商品の特徴や成分の解説
  • 利用者の口コミや成功事例
  • 定期購入プランやキャンペーン情報
  • 購入用のフォーム

一方で、サテライトサイトには特定のキーワードやテーマに関心を持ち、まだメインサイトの存在を知らない「潜在顧客」の訪問を想定します。信頼構築のために以下のような情報を発信しましょう。

  • 初心者向けのダイエット運動メニュー
  • 低カロリーでも満足できるレシピ集
  • 流行中のダイエット法の比較と解説
  • 停滞期を乗り越えるためのメンタル管理法

サテライトサイトのコンテンツは「まだ具体的に商品購入を考えていない」「まず情報収集をしたい」といった層にアプローチできます。切り口が違う関連テーマを扱うことで、ターゲットユーザーの拡大を狙うことができます。

情報整理による利便性の向上

3つ目は、拡張を続け複雑になったメインサイトのコンテンツを独立させ、ユーザーが求める情報にアクセスしやすくすることです。

本体サイトにすべての情報を詰め込みすぎると、訪問者が必要な情報を探しにくくなります。一方で、サテライトサイトでテーマを分ければ情報が整理され、スムーズに求める情報にたどり着けます。このような利便性の確保は、結果的にブランドへの信頼感を高めることにもつながります。

実践方法としては、本体サイトでは主要サービスや商品情報に集中させ、周辺情報や専門的な解説をサテライトに配置します。たとえばECサイト本体では商品説明に特化し、サテライトでは「商品の使い方」「豆知識」「業界ニュース」などを体系的にまとめるのが有効です。情報が整理されることで、ユーザーは必要に応じて両方を行き来しやすくなり、利便性が高まります。

リターゲティングリストの獲得

最後は、サテライトサイトの訪問者を対象にした、リターゲティングリストの獲得です。

自社サイトに訪れたユーザーの情報は、リターゲティング広告を出稿する際のリストとして活用できます。リターゲティング広告とは、自社サイトに訪問したユーザーに、離脱後、再び広告を配信する手法です。サテライトサイトに訪れたユーザーは、メインサイトで扱う商品やサービスに関連した悩み・願望を持っていることが多いです。広告を表示すれば、効率的に集客・収入アップにつなげられます。

「一度接点を持ったユーザー」にリーチし直す仕組みを構築することで、効率的な広告運用が可能になります。リターゲティングリストの獲得による集客力の向上も、サテライトサイトの目的です。

サテライトサイトの注意点

サテライトサイトは現在でも有効なSEO対策です。しかし、安易なサテライトサイトの作成は、コストの増加やGoogleからのペナルティを招きかねません。ここでは、サテライトサイトの注意点を解説します。

サイト作成・維持管理にコストがかかる

サテライトサイトはメインサイトとは別に立ち上げる必要があるため、ドメインやサーバー費用、デザインやコンテンツ作成の工数が追加で発生します。さらに、高品質なサイトを提供するのが前提になる施策なので、継続的な更新やSEO対策も欠かせません。

サテライトサイトは、お金や労力といったコストがかかります。計画的に作成・運用しましょう。

Googleからペナルティを受ける可能性がある

検索エンジンはユーザーに価値を提供しない「不自然なリンク操作」や「低品質サイトの量産」を厳しく取り締まっています。サテライトサイトが被リンクのみを目的にしたスパムサイトと見なされれば、メインサイトの価値を高めるどころか大きく下落させかねません。ペナルティを回避するためにも、Googleが定めるガイドラインをしっかり把握しておくことが大切です。

このような事情から、サテライトサイトは「メインサイトとは独立していて、ユーザーに役立つサイト」であることが前提になっています。リンクはあくまで自然な文脈で挿入し、不自然な相互リンクは避けましょう。

ペナルティ対象になりやすいサテライトサイト

サテライトサイトの作成で特に注意したいのは、厳格化が進んでいるGoogleからのペナルティです。ここでは、サテライトサイトが逆効果にならないように、どんなサイトがペナルティの対象になりやすいかを具体的に解説します。

ユーザーにとってコンテンツの質が低い

コンテンツの質が低いサテライトサイトは、ユーザーにとって役に立たないため、ペナルティを受ける可能性があります。
コンテンツの質が低いとは、具体的には次のような状態です。

  • 内容が薄く、数百文字程度しかない記事ばかり
  • 広告やアフィリエイトリンクばかりで情報が乏しい
  • 誤字脱字が多く、読みづらい文章

質の低いコンテンツでは、ユーザーが知りたい情報を得られません。低評価につながりやすく、Googleが重視する「ユーザーファースト」の原則に反するため、最終的にペナルティを受ける可能性が高くなります。

不自然なリンクが貼られている

不自然なリンクが貼られているサテライトサイトは、誘導ページとみなされペナルティの対象となることがあります。
不自然なリンクが貼られているとは、具体的には次のような状態です。

  • コンテンツと無関係な場所にリンクが貼られている
  • ページに大量の相互リンクが貼られている
  • 関連性の無いリンクが貼られている

検索エンジンは自然なリンクを、人気サイトを決める投票のように評価しています。言い換えれば、不自然なリンクはこの「投票」の原則を歪める不正行為です。「自然」なリンクに見えない大量にあるサイトは、検索順位を不正に操作しようとしていると見なされ、ペナルティのリスクが高まります。

更新頻度が低い

更新頻度が低いサイトを、検索エンジンは低品質と見なす傾向があります。
更新頻度が低いとは、具体的には次のような状態です。

  • 数か月以上、新しい記事が追加されていない
  • 季節性のある情報が放置されている
  • サイト全体が古い情報を元に構成されている
  • コメントや質問への対応をしていない

更新頻度が低いと情報の鮮度が失われ、ユーザーのニーズを満たせなくなります。それどころか、古いデータを元に構成されたコンテンツは、ユーザーに誤った情報を伝えてしまうリスクもあります。検索意図を満たせないページと見なされやすくなるため、検索エンジンから低評価を受けやすくなります。

オリジナル性がない

オリジナル性が低いサイトは検索の質を低下させるため、ペナルティの対象になります。
オリジナル性が低いとは、具体的に次のような状態です。

  • 他サイトの情報をそのまま転載している
  • 文章の言い回しを変えているだけで伝えている情報は同じ
  • どのサイトにも載っている一般的な情報だけを並べている
  • 写真や図解など独自要素がない

オリジナル性が低いサイトは重複コンテンツと見なされ、検索結果に表示する価値がないと判断されます。このようなサイトが乱立すると、ユーザーはどこのサイトを訪問しても似たような情報しか得られなくなってしまうからです。Web検索の質を保つために、検索エンジンは、オリジナル性が低いサイトをペナルティの対象としています。

効果的なサテライトを作成するポイント

これまでの内容からわかるように、サテライトサイトは「ユーザーにとって役に立たない=ペナルティリスク」です。効果的な運用を目指すのであれば、ユーザーの役に立つように作るのは必須になります。最後に、サテライトサイトを作成するポイントについて解説します。

メインサイトと関連性のあるテーマを扱う

関連性はユーザーの検索意図に応えるための重要な指標です。メインサイトとの関連性がなければ、どんなに高品質なサテライトサイトを作ってもユーザーの検索意図とはズレてしまいます。関連性のあるテーマを扱い、メインサイトと相互補完の関係で情報提供することが、ユーザーの利便性の確保につながります。

たとえば、メインが旅行予約サイトであれば、サテライトサイトでは各地の観光スポットやグルメ情報、旅行の体験談などをテーマに扱うといいでしょう。情報収集しているユーザーに旅行への興味を喚起させれば、自然な形でメインサイトに誘導できます。メインサイトとサテライトサイトが相互補完しあうことで、ユーザーはスムーズに検索目的を達成できるようになり、自社もコンバージョンを得やすくなります。

単体でユーザーの役に立つサイトを作成する

サテライトサイトはリンクにより、メインサイトの価値や集客力を高める施策です。しかし、近年のアルゴリズムでは、リンクが数ではなく質で評価される傾向が強くなっています。単なるリンク目的での作成は、評価を下げるリスクにしかなりません。サテライトサイト自体が単体で役に立つサイトでないと、施策として成り立たなくなっています。

現在のサテライトサイトは最初から役に立つ高品質なコンテンツを備えていることが求められます。一から作るには手間がかかるので、メインサイトが幅広いコンテンツを扱っているなら、テーマを分割してサテライトサイトに活用するのも一つの選択肢です。ただし、その場合は「メインサイトが情報過多で分けた方が利便性を確保できる」などの「ユーザーにとって役に立つ情報整理になる」ことが前提になります。

IPアドレスを分散させるために独自ドメインを使用する

同一IPアドレスで複数のサテライトサイトを運営すると、検索エンジンに「自作自演のリンクネットワーク」と見なされる可能性があります。リスクを回避するためにも、それぞれ異なるレンタルサーバー会社と契約し、独自ドメインを使用してIPアドレスを分散させましょう。

サテライトサイトに独自ドメインを使用する際は、ドメインパワーが強い中古ドメインを購入するのも選択肢の1つです。過去に築かれたドメインの信頼性を活用し、サイトの初期評価とSEO効果を加速させることができます。ただし、購入ドメインと扱うテーマとの関連性には注意しましょう。関連性の無いドメインの使用は、ドメインパワーを発揮できないどころか、スパムとみなされるリスクがあります。

ユーザーの利便性を基準にメインサイトとのリンクを貼る

検索エンジンは本来、サテライトサイトを含む人為的なリンク対策を好みません。このような対策が効力を持ってしまうと、ユーザーの利便性を度外視した検索結果が表示されかねないからです。しかし、これは見方を変えれば「人為的なリンクであっても、それが結果的にユーザーの利便性を高めているのであればプラスに評価する」ということでもあります。考えなしにリンクを張るのではなく、ユーザーがメインサイトの情報を必要とする箇所でリンクを貼る必要があります。

たとえば、サテライトサイトで「プログラミング 独学のコツ」というテーマで、「プログラミング言語の選び方」というコンテンツがあったとします。言語選択は慎重に行う必要があるため、コンテンツを読んだユーザーの中には「専門家に相談したい」と考える人もいるでしょう。そこで「自分に合った言語が分からない場合は、プロ講師と相談するのをおすすめします」などと記述し、メインサイトの無料カウンセリングページにリンクを貼ります。これにより、ユーザーは手間をかけずに必要とする専門家を見つけることができます。自社利益ではなく「ユーザーの利便性のために貼られているリンク」になっていることが、検索エンジンからプラス評価されるポイントです。

まとめ

近年の検索エンジンは人為的なリンクを厳しく規制する傾向にあります。考えなしにサテライトサイトを作成してしまうのは大変危険です。リスク回避のためにも、作成は「ユーザーに利便性を提供できること」が前提になります。

サテライトサイトは、正しく運用すればブランド形成や顧客拡大に大きく貢献してくれます。基本知識を把握した上で、慎重かつ計画的に作成しましょう。