COLUMNコラム
【検索順位以外も大切】SERPsとは? 各概要とSEO対策を解説
SERPsとは、Search Engine Result Pagesの略で、ユーザーが検索エンジンでキーワードを検索した際に、表示される検索結果ページ全般を指します。このSERPsで上位表示を目指すのが、検索エンジンの最適化「SEO」です。
過去においてSERPsとオーガニック検索の上位表示は、ほぼ同義でした。しかし、近年ではSERPsの構成要素が多様化し、オーガニック検索だけではSERPsの上位表示を達成できない状況になりつつあります。
実際、検索エンジンを利用していると「ナレッジパネル」や「AIによる概要」などが画面上部を埋めることが多くなりました。ユーザーが検索直後に初めて見るのが、上位コンテンツのタイトルとは限らなくなっています。
そこでこの記事では、代表的な11のSERPsを4種類に分けて解説します。オーガニック検索以外の上位表示による流入増加に興味がある方は、ぜひ記事をご参照ください。
すべての検索結果を包括するSERPsとは

SERPsはキーワードを検索した際に表示されるすべての検索結果ページで、ユーザーの視覚的には「検索結果で表示される画面全体」です。たとえば「SEOライティング」で検索すると次のような検索結果が表示されます。

画面中にはオーガニック検索で1位になったコンテンツやAIによる概要、キーワードに関連する質問などが表示されています。これらを包括する検索結果が、SERPsです。
Googleはユーザーファーストに沿って、検索意図に適した情報を即座に提示させるように進化させてきました。これに伴い、SERPsが多様化し、SEOで重要になるファーストビューは変化を続けています。
最近の大きな変化は、2024年8月にAI Overview(AIによる概要)が導入されたことです。実際「SEOライティング」の検索結果でも、AIによる概要の表示で、2位以下のコンテンツが画面下に追いやられていることが分かります。
ユーザーを補助する機能がほとんど表示されない2010年頃なら、SERPsと検索順位を同義と捉えても問題ありませんでした。しかし、現在は他のSERPs構成要素を考慮しなければ上位表示を狙うのが難しくなっています。
SEOの質を高めるためにも、今まで以上にSERPsの構成要素について知ることが大切です。次項からは、SERPsの構成要素と対策ポイントについて解説します。
SERPsの基盤になるオーガニック検索

SERPsの基盤であり、最も重要な構成要素がオーガニック検索です。
オーガニック検索とはユーザーが検索エンジンを利用した際、広告枠を除いて表示される検索結果のことです。この検索結果は、Webページの関連性や品質が評価されることで、順位付けされます。この順位が検索順位です。
オーガニック検索で上位表示される条件は、ユーザーの検索目的を達成できる高品質なコンテンツを作成することです。具体的には、検索キーワードに合致した内容や、正確性・信頼性が確保された情報の提供などが挙げられるでしょう。
SEO対策は広範囲で、検索意図に沿った内容を提供するためのキーワードリサーチや、サイト構造を明確にするコンテンツの最適化、検索エンジンの評価を底上げするためのリンクビルディングなど多岐に渡ります。
オーガニック検索の上位表示は、SEOの主要目的です。集客を始めとするビジネス効果だけでなく、後述するSERPsの引用にも関わってきます。検索エンジンは評価の高いコンテンツを優先して引用します。そのため、SERPsの活用は検索順位の高い方が断然有利です。
オーガニック検索は、SERPsの他要素が表示されるようになったことで、影響力が低下していく傾向があります。しかし、依然として最も重要なSERPsであることは変わりません。他要素が引用を受ける下地にもなるので、優先して対策しましょう。
検索体験を強化するSERPs

Googleはユーザーの検索体験を高めるため、多様な情報をSERPsに表示しています。ここでは、検索体験を強化するSERPsを紹介します。
アンサーボックス
アンサーボックスは、ユーザーの検索意図に対して直接的な答えを提示するSERPsです。Googleのデータベース(ナレッジグラフ)を元にしたナレッジカードや、リアルタイムで検索結果を提供するライブリザルト、特定サイトから文章を引用する強調スニペットなどがあります。
たとえば「サイト構造とは」と検索すると次のような強調スニペットが表示されます。

アンサーボックスは、「〜とは?」「方法」「定義」「違い」などの検索クエリに対して表示されます。引用先には、検索意図に対して明確な回答を提供できる、信頼性の高いコンテンツが選ばれる傾向があります。
そのため、SEO対策では、検索意図を明確に捉えたコンテンツの作成や適切なHTML構造の使用、信頼の下地になる上位表示などが重要になります。FAQ(よくある質問)やQ&A(一問一答)などの構成を使うのも有効です。
アンサーボックスに引用されれば、検索順位より上に表示されるので、ユーザーの注目を集めやすくなります。URLも表示されるので、検索内容をもっと詳しく知りたいユーザーがサイトにアクセスしてくれる可能性も高まります。また、ページにアクセスされなくても、引用自体にブランディング効果が見込めるので、権威ある情報源と認識されやすくなるのもメリットです。
リッチスニペット
スニペットとは、検索結果に表示される要約文のことです。リッチスニペットは通常の要約文に加えて画像やレビュー、価格などの追加要素が加えられて表示されます。たとえば、「最新 おすすめ スマホ」で検索すると次のようなリッチスニペットが表示されます。

リッチスニペットの表示は、schema.orgなどによる構造化マークアップがHTML内に記述されていることが前提です。記述しても必ず表示されるわけではなく、Googleが内容を適切と判断した場合のみ表示されます。
そのため、SEO対策では、構造化データを正確に組み込むとともに、コンテンツの品質と信頼性を高めることが重要です。Googleのガイドラインを遵守し、検索クエリとの関連性を意識したコンテンツを提供します。また、商品に関連したリッチスニペットでは、価格や在庫状況などの情報を最新の状態に保たなくてはならないので、更新性も重要になります。
リッチスニペットによる表示は、評価を表す星マークや販売件数の表示により検索者の注意を強く引きつけます。競合と同じ商品内容でも視覚的な優位性を確保できるので、ECサイトや飲食店など比較検討されやすい業界では、特に効果的です。
ナレッジグラフ
ナレッジグラフは、Googleが持つ情報を元に、企業や人物などの幅広い基本情報を検索画面右側のパネルに表示する機能です。たとえば「大谷翔平」で検索すると次のようなナレッジパネルが表示されます。

ナレッジパネルに表示されるには、Googleのナレッジグラフに「エンティティ」として登録される必要があります。エンティティとは、Googleが人間と同じように人や場所、組織などを識別するための情報単位です。この単位がないと、検索エンジンは「企業のApple」と「果物のApple」の判別ができません。エンティティに登録されるにはWeb上で一貫した情報を発信し続ける必要があります。
一貫した情報を発信する上で有効なのがブランドの形成です。そのため、SEO対策ではWeb評価を向上させる良質コンテンツの量産が基本になります。また、認知度・信頼性を高めるGoogleビジネスプロフィールの最適化や、検索エンジンに向けた構造化データの整理なども有効です。
ナレッジパネルの表示は、認知度が高い証明です。企業名が表示されれば、閲覧者の信頼感を一気に獲得でき、BtoBや採用活動を有利に進めることができます。
AIによる概要
AIによる概要(AI Overview)は、AIがユーザーの検索意図を推測し、主要なポイントをまとめて要約文として表示してくれる機能です。視認性が高く、大体は画面の最上位に表示されます。上位コンテンツを画面下に追いやってしまうことから、従来の検索順位重視のSEO対策に、変化をもたらす要因になるのではないかと注目を集めています。たとえば「SEOの内部対策とは」で検索すると、次のようなAIによる概要が表示されます。

AIによる概要の表示には学習データが必要なので、データが集まりやすいメジャーな話題で表示されやすい傾向があります。その上で、「~とは」「するには?」といった質問形式や、「比較」「おすすめ」「方法」といった複数情報の統合が必要なクエリで検索すると更に表示されやすくなります。
AIによる概要の引用では、情報源の信頼性が重視されます。そのため、SEO対策では、信頼性を確保できる良質なコンテンツ作成が基本です。また、検索エンジンが情報を引用しやすいよう、箇条書きやQ&A形式など、要約を意識したコンテンツ構造で作成するのも有効です。
AIによる概要に引用されると、要約とともに自サイトへのリンクが表示されるため、興味を持ったユーザーからのアクセスが期待できます。検索結果の最上部に表示されることも多いので、ブランド認知や信頼性の向上にもつながります。
検索対象を特化したSERPs

Googleはユーザーの検索効率を高めるため、検索キーワードに応じて特定のジャンルに特化した情報を検索結果に表示します。ここでは、検索対象に特化したSERPsについて解説します。
ユニバーサル検索
ユニバーサル検索は、Googleの通常検索結果(オーガニック検索)にニュース・画像・動画・地図など、さまざまなコンテンツを検索結果に表示する仕組みです。たとえば、「東京 ラーメン屋」で検索すると次のようなユニバーサル検索が表示されます。

この仕組みがあることで検索する際、キーワードに応じて多様なメディアタイプが自動で組み込まれます。上記の「東京 ラーメン屋」では、検索エンジンがキーワードから「東京で評価の高いラーメン屋に行きたい」という意図があると推測し、ローカルビジネスリストと地図を表示しています。ユニバーサル検索は、複数メディアを活用することがユーザーの検索意図に沿っていると判断された場合に表示されます。
表示を狙うには、画像や動画に適切なalt属性やタイトルを設定し、構造化データでメディアタイプを明示することが重要です。また、YouTubeやGoogleニュースに対応した外部プラットフォームとの連携も必要になります。検索意図に合った多様な高品質コンテンツを、Googleが理解しやすい形式で提供することが、SEO対策のポイントになります。
難易度は高いですが、検索結果に複数の形式で表示されれば、露出の幅が広がり、クリック率の大幅な向上も期待できます。特に、画像や動画などのメディアは視認性が高く、強力なブランディング効果が見込めます。
バーティカル検索
バーティカル検索とは、検索窓の下に表示される検索機能です。このバーティカル検索からさらに検索対象を任意のカテゴリで検索できます。たとえば「東京 飲食店」で検索すると次のようなカテゴリが表示されます。

バーティカル検索が表示するカテゴリは、検索意図によって変化します。実際、上図の「東京 飲食店」での検索では、検索エンジンが「東京のエリアで利用できる飲食店を探している」と検索意図を予測しているため、「地図」のカテゴリが、初期選択カテゴリ「すべて」の隣に表示されます。
そのため、「東京 飲食店」に「求人」のキーワードを付け加えて、検索意図を変えるとバーティカル検索のカテゴリは次のように変化します。

検索意図が「東京で飲食系の仕事を探している」と判断されることで、「求人情報」のカテゴリが「すべて」の隣に表示されるようになりました。このように、バーティカル検索で表示されるカテゴリは、検索意図によって順序・内容が変化します。
ユニバーサル検索で表示されるのは、検索エンジンがユーザーの検索意図に合致すると判断したコンテンツです。カテゴリには動画や画像も含まれるため、多様なファイル形式でコンテンツを作成する必要があります。
SEO対策では、対象カテゴリに合ったファイルを適切に管理し、最適化します。たとえば、ニュースのカテゴリを狙うならコンテンツのニュース構造化、地図のカテゴリを狙うなら正確な位置情報の提供、といった具合にです。タブでの表示を意識したコンテンツ設計を行うのがSEO対策のポイントになります。
バーティカル検索を利用するユーザーは、特定の情報や商品を探していることが多く、一般的な検索ユーザーと比較して、コンバージョン率が高い傾向があります。また、対象が絞られることで競合の回避ができるので、オーガニック検索より上位表示を狙いやすいのも強みです。複数のバーティカル(画像・動画・地図など)で表示されれば、検索結果の面積を占有できるため、ブランドイメージやクリック率向上にも貢献します。
Googleショッピング
Googleショッピングは、検索結果に商品画像・価格・販売店情報などを一覧表示できる検索枠です。無料で掲載される場合もありますが、検索結果の上位に表示されるのは、基本的に有料広告(ショッピング広告)です。「冷蔵庫」で検索すると次のGoogleショッピングが表示されます。

先述したリッチスニペットによる商品表示とよく似ていますが、両者は別種のSERPsです。リッチスニペットが構造化データを利用して表示するのに対し、Googleショッピングの表示は、Merchant Centerに商品フィードを登録する必要があります。見分け方としては、検索窓の直下に表示されるのがGoogleショッピング(一部例外あり)、特定のサイトのURL直下に表示されるのがリッチスニペットの商品表示、と覚えておくと簡単です。商品フィードの登録以外では、商品データの質やWebサイトの信頼性を高めることが、掲載機会の拡大につながります。
SEO対策としては、商品データの整合性を保ちつつ、フィード情報の最新性を維持することが重要です。タイトル・画像・価格・在庫を適切に登録しましょう。高品質な商品画像もクリック率向上に寄与します。
Googleショッピングは、画像付きで商品価格が並ぶため、ユーザーに強く訴求できます。最上位に表示されやすく、ファーストビューを獲得しやすいのも特徴です。自社サイトに誘導しやすく、直販による利益率改善も期待できます。
Googleしごと検索
Googleしごと検索は、求人情報を検索結果に表示する機能です。地域や職種に求職に関連したワードを組み合わせて検索することで、ユーザーが自身の希望に合った仕事を探せます。たとえば「東京 製造 求職」で検索すると次のような求人一覧が表示されます。

表示には、構造化データ(JobPosting)を使って求人情報が正しくマークアップされていることが前提です。また、Googleにインデックスされている公開求人であることや、定期的な情報更新も評価に影響します。
SEO対策では、求人ページにJobPosting構造化データを設定し、内容をGoogleの仕様に準拠させることが重要です。勤務地や勤務時間などの必須項目を漏れなく記載することで、表示精度が向上します。
Googleしごと検索での表示は、求人サイトに頼らず自社採用ページからの応募を促進できるため、採用コスト削減の効果が期待できます。また、業種や勤務地で絞った検索結果で表示されることが多いため、応募の質が高まり、より自社にマッチした人材からのエントリーが見込めます。
ユーザー履歴に合わせて表示されるSERPs

Googleは検索体験を高めるため、ユーザーと関連性の高い情報をSERPsに表示しています。ここでは、ユーザー履歴に合わせて表示されるSERPsを解説します。
パーソナライズド検索
パーソナライズド検索は、ユーザーの検索履歴や現在地などの情報をもとに、検索結果を最適化する仕組みです。
たとえば、「カフェ」「ATM」「求人」などを検索すると、現在地に近い場所が優先で表示されます。また、「Tシャツ」と検索してユニクロばかりクリックしていると、次回以降、ユニクロ寄りの情報が出やすくなります。このようにパーソナライズド検索では、個別に最適化された検索結果を表示します。
パーソナライズド検索を意識したSEO対策では、検索ユーザーの意図や現在地などに基づいた情報設計と導線設計が求められます。高品質なコンテンツを提供しつつ、ローカルSEOやGoogleビジネスプロフィールの最適化などで、上位表示と対象ユーザーへの訴求を両立させることが重要です
現在地や過去の行動履歴が検索結果に反映されるため、パーソナライズド検索では検索範囲が自然と絞り込まれます。これを活用できれば、競合を避けつつ、コンバージョン率の高いユーザーをサイトに呼び込むことができます。
他の人はこちらも検索(類似ユーザーの行動に基づいた関連ワード提案)
「他の人はこちらも検索」は、検索結果ページに次の検索で使用するキーワードを提案する機能です。提案は、他ユーザーが同じキーワードを検索した際に、次の検索でどんなワードを使用したかに基づいて表示されます。たとえば、「ノートパソコン」で検索すると次のような検索結果が表示されます。

この機能は、大量のユーザーデータをもとに表示されており、以下のようなキーワードで特に表示されやすい傾向があります
- 検索意図が複数に分かれるキーワード(例:Apple、Surfaceなど)
- ユーザーが情報収集の途中で検索するキーワード(例:転職、スマホ)
このようなキーワードが入力されると、Googleは「ユーザーが一度の検索で目的を果たせない」と判断する可能性が高くなります。結果、補助機能として「他の人はこちらも検索」が表示されやすくなります。
「他の人はこちらも検索」を意識したSEO対策では、キーワードから検索意図を推察して、その意図と合致したコンテンツを作成することが大切です。ノートパソコンの例では、表示されたキーワードから、ノートパソコンの購入を検討していること、探しているノートパソコンの特徴が推察できます。キーワードの背後にあるユーザーの疑問や目的を想像し「なぜこの言葉で検索したのか」を考えましょう。
「他の人はこちらも検索」で表示されたキーワードは、ユーザーの関心や目的とつながっています。上位表示を達成できれば、ユーザーが求める情報を幅広くカバーできるため、流入数を効果的に増やせる可能性が高まります。
まとめ
近年ではSERPsの多様化で、検索順位を上げるだけでは画面の上位表示を達成するのが難しくなっています。これからは単純に品質を高めるだけでなく、各SERPsに対応したコンテンツ作りをしていくことが大切です。SEO対策をアップデートしていくためにも、各SERPsの把握に努めましょう。