COLUMNコラム
【初心者向け】SEOにおけるKPI設定とは? 基本的な設定方法と指標を解説
SEOの目標というと「記事の上位表示」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、SEOの成功は検索順位だけでは測れません。順位だけを目標にしてしまうと、ユーザー体験や成果を損ない、本質的な価値提供が疎かになってしまう可能性があります。SEOの目標設定は多角的に行う必要があります。
そこで重要になるのがKPIです。KPI(中間目標)を設定することで、SEOの成果をより具体的に測定し、改善すべき部分を明確にできます。このような視点は、長期に安定して検索順位を維持していく上でも不可欠です。
この記事ではKPIの基本的な設定方法と指標について解説します。初心者向けの内容になっているので、これからSEO担当者になる方、なったばかりの方はぜひ記事をご参照ください。
SEOにおけるKPI設定とは?

KPIはKey Performance Indicatorの略で、SEOにおいては最終目標を達成するための「中間目標」の設定を指します。
中間目標を設定することで、施策の進捗を測定し、目標達成に向けた改善点が明確になります。これにより、長期的な戦略の立案や、リソースの最適化が可能です。
たとえば、最終目標が「サイト経由の売上向上」なら、次のようなKPI設定ができるでしょう。
- 狙ったキーワードでの上位表示
- クリック率(CTR)の改善
- 直帰率の低減
- コンバージョン率(CVR)の向上
KPIは、見るべき指標を定め、自社の現状を分析し、実現可能な数値で設定します。
たとえば「狙ったキーワードでの上位表示」であれば、自社が大手でもない限り、ビックキーワードを対象にするのはやめておいた方が無難でしょう。
実現不可能な目標を設定しても役に立つデータは得られません。身の丈にあった計測可能範囲で設定するのが、KPIでは大切です。
KPIの設定方法

KPIの設定は、最終目標(KGI)から大まかな要素(KPI)を割り出して、指標に落とし込みつつ細分化していきます。ここでは、KPIの設定方法について解説します。
KGI(最終目標)を設定する
KPIを割り出す前に、KGI(最終目標)を設定します。KGIはKey Goal Indicator(キー ゴール インジケーター)の略で、企業戦略やプロジェクトの最終的なゴールを示す指標です。
たとえば、ECサイトであれば「年間売上1億円を達成する」、マーケティング施策であれば「広告経由の新規顧客獲得数を1年で1万人する」などがKGIです。
KGIが決まっていない場合は企業の経営戦略などから逆算して、大まかに増やしたい数値を決めます。その上で、KGIに必要なプロセスを洗い出し、それらの進捗や成果を測定する指標をKPIとして設定します。
このように、KGI(最終目標)を設定してから、KPIの洗い出しをします。
KGIからKPI(中間目標)の洗い出しをする
KPIは、KGIがどのように構成されているかを考えて洗い出します。
たとえば、ECサイトの売上(KGI)における代表的なKPIとして以下の3つが挙げられます。
1.訪問者数
2.注文率(CVR)
3.客単価
大まかなKPIを洗い出せたら、以下の「SMART」の原則を意識して数値を具体化していきます。SMARTとは、KPI設定の目標を明確化し、達成するためのフレームワークです。以下の5つの要素から構成されます。
Specific(具体性):目標が明確で具体的であること
Measurable(計測可能):目標が数値などで測定可能であること
Achievable(達成可能):現実的に達成可能な目標であること
Relevant(関連性):目標が組織や個人の目標と関連性があること
Time-bound(期限):目標達成までの期限が明確であること
たとえば、「ECサイトで年間売上1億円を達成する」がKGIなら、KPIは次のようになるでしょう。
訪問者数
・月間訪問者数(UU):50,000人(年間60万人)
注文率(CVR)
CVR(コンバージョン率):2.0%を維持する(訪問者のうち2%が購入)
客単価
1注文あたりの平均単価:8,300円以上にする
KPIは、KGIから指標を割り出し、達成可能な範囲で数値を設定しましょう。
KPIを細分化する(KPIツリーの作成)
大まかなKPIが決定したら、そこからKPIを細分化してし、訪問者(KPI)を細分化すると下図のようになるでしょう。

図のようにKPIを細分化していくことで、KPIツリーが完成していきます。
このKPIツリーに沿ってSEO対策を進めることで、目標達成に向けた課題が明確になり、効果的な施策の優先順位付けが可能になります。
KPIに必要な2つの基本ツール

KPIの基本的な設定方法が分かりました。
では、KPIとして設定できる指標を調べるのにはどうしたらいいでしょうか。
KPIの指標を調べる基本ツールとしては「Googleサーチコンソール(GSC)」と「Googleアナリティクス(GA)」の2つが挙げられます。
どちらも無料で利用でき、KPI設定に役立つツールです。両ツールを連携して使うことで、ユーザー行動を包括的に分析し、データに基づいた効果的なSEO戦略の立案・実行に役立てることができます。
Googleサーチコンソール(GSC)は、検索エンジン上でのパフォーマンスを測定するためのツールです。KPIでは、検索順位やクリック率などが指標として設定できます
Googleアナリティクス(GA)は、サイト訪問後のユーザー行動を分析し、コンバージョンを向上させるためのツールです。KPIでは、直帰率やコンバージョン率などが指標として設定できます。
GSCは検索流入前の分析、GAはサイト内行動の分析に特化しています。役割分担をしてKPI設定に活用するのが重要です。2つのツールには被っている指標もありますが、フェーズや利用目的で使い分けましょう。
ツール | フェーズ | 利用目的 | 主なKPI |
---|---|---|---|
GSC | 検索流入前 | 検索エンジンからの流入を増やす準備をする | 表示回数、クリック率(CTR)、検索順位 |
GA | 検索流入後 | 流入したユーザーの行動を分析し、コンバージョンを向上させる | 直帰率、ページ滞在時間、コンバージョン率(CVR) |
Googleサーチコンソールで設定できる指標

KPIの設定では、「Googleサーチコンソール(GSC)」と「Googleアナリティクス(GA)」が活用できると分かりました。両ツールでは、どのような指標をKPIとして設定できるのでしょうか?
ここでは、GSCでKPIとして設定できる主な指標を3つ紹介します。GSCで設定できるKPIは、検索パフォーマンスの最適化に貢献する指標が多いです。
キーワードの検索順位
キーワードの検索順位は、検索結果に表示される順番のことで、SEOにおいて非常に重要な指標の一つです。
検索順位が高いほど、自然流入(オーガニックトラフィック)の増加や、ブランド認知の拡大につながります。そのため、Webサイトへの流入増加や、特定のキーワードにおける上位表示がビジネス成果に直結する場合に、KPIとして設定されることが多いです。
影響力が高い一方で、検索エンジンのアルゴリズムの影響を受けやすく、Googleのコアアップデートなどで大きく変動することがあります。
GSCではメニューの「検索パフォーマンス」から確認することができます。
クリック率(CTR)
クリック率(CTR)は、メールやページ、インターネット広告の表示回数(インプレッション数)に対するクリックの割合を示す指標です。
CTRが高いほど、検索結果からの流入効率が良いと判断できます。そのため、CTRはユーザーの関心度やコンテンツの魅力を示す指標として、流入効果を測るKPIに活用されます。
検索順位の影響を受けやすい一方で、順位が同じでも、検索意図やデバイス、リッチリザルトの有無によって大きく変動します。また、広告枠や競合タイトルの影響も受けやすいので、単純に順位だけで判断しないよう注意が必要です。
GSCではメニューの「検索パフォーマンス」>「検索結果」を選択すると確認できます。
コアウェブバイタル
コアウェブバイタル(Core Web Vitals)は、ユーザーにとっての使いやすさを示す評価基準「ユーザーエクスペリエンス(UX)」を測定する指標です。Webページの「読み込み速度」「インタラクティブ性」「視覚的安定性」という3つの主要な側面を測定し、ユーザーが快適にウェブページを利用できるかどうかを評価します。
コアウェブバイタルの数値を改善するほど、快適な閲覧体験を提供することができ、コンバージョン率の向上、直帰率の低下につながります。ユーザー満足度に直結し、広範なビジネスに影響を与えるため、定量的に評価できるKPIとして活用されます。
ただし、単にスコアを改善するだけではなく、実際に快適な閲覧体験が提供されているか、制作側で確認することも大切です。また、スマホ・PCなどの計測環境の違いも、考慮する必要があります。
GSCからは「エクスペリエンス」>「ウェブに関する主な指標」をクリックすると、「読み込み速度(LCP)」「インタラクティブ性(INP)」「視覚的な安定性(CLS)」 の3つに関連した指標を確認できます。
Googleアナリティクスで調べる指標

次は、Googleアナリティクス(最新バージョンのGA4)でKPIとして設定できる主な指標を3つ紹介します。GAで設定できるKPIは、ユーザー行動の最適化に貢献する指標が多いです。
検索エンジンからのトラフィック
検索エンジンからのトラフィック(流入数)とは、検索結果を通じてウェブサイトに訪れたユーザーの数を表す指標です。
流入数が増加することで、安定した集客が可能です。とくに、購買に関連した検索クエリでの流入は、コンバージョン率の向上に貢献します。SEO施策の効果を測定したり、サイトの成長を把握したりするために、KPIとして活用されます。
ただし、季節要因やトレンドの変動による影響を受けやすい指標であるため、長期的な分析が必要になります。検索順位に大きく影響される指標でもありますが、CTRやコンテンツの質が低いと、順位が上がっても増加しない可能性があることにも注意が必要です。
GAではメニューの「集客レポート」から、検索エンジン経由の流入データを確認できます。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)は、目標達成の割合を示す指標です。たとえば、ECサイトなら「サイト訪問者のうち、実際に商品を購入した人の割合」などがCVR率になるでしょう。
CVR率の向上は、マーケティング施策やサイトの改善に貢献します。サイトの目的達成度を数値化できるため、ビジネスの成長を評価する指標として、KPIに活用されます。
ただし、対策する際は、ターゲットの質や顧客満足度にも考慮が必要です。不適切な誘導や短期的な施策で一時的にCVR率を上げても、長期的な成果には結びつかない可能性があります。
GAでは「管理」>「イベント」>「コンバージョン」で計測したいイベントを目標として登録した後、「レポート」>「エンゲージメント」>「コンバージョン」から、各コンバージョンイベントのデータを確認できます。
エンゲージメント率(直帰率・滞在時間)
エンゲージメント率(直帰率・滞在時間)は、ユーザーがサイトに訪れてからサイトの機能やコンテンツにどれだけ積極的に関わったかを示す指標です。最初のページで他のサイトに離脱する割合(直帰率)や滞在時間が評価対象になります。
エンゲージメント率が高いほど、ユーザーからの関心を引き出せていることになります。ユーザーの関与度が高いほど、サイトの価値が上がり、SEO評価や収益向上につながります。回遊性や購買意欲を測る基準になるので、メディアサイトやECサイトではとくに重要です。
ただし、直帰率の高さ・滞在時間の短さが必ずしも低評価につながるとは限りません。たとえば、イベント告知やセミナー案内のランディングページであれば、ページ内で全ての情報が完結しており、他のページへ移動する必要がないので、直帰率が高くなるのが自然です。また、滞在時間にしても、ユーザーが求める情報をスムーズに提供することを前提にした評価ではなくてはなりません。
GAでは、「レポート」>「ライフサイクル」>「エンゲージメント」>「エンゲージメントの概要」で、エンゲージメント率・直帰率・平均エンゲージメント時間を確認できます。
SEOでKPIを設定する際の注意点

GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクスを使いこなせるようになることで、Webサイトの現状を多角的に分析し、具体的な改善目標に基づいたKPI設定が可能になります。
一方でKPIの設定は、測定可能な指標でのみ設定する必要があります。また、設定するだけでなく、達成までのプロセスを具体化することも大切です。ここでは、SEOでKPIを設定する際の注意点を解説します。
測定可能なKPIを設定する
測定不能なKPIを設定すると、目標達成の進捗が不明確になり、適切な改善策を講じることができなくなります。そうなると、リソースの無駄遣いや方向性の混乱を招きかねません。
KPIツリーで細分化すると、測定できないKPIも出てくるでしょう。その場合は代替指標を設定するか、それが無理ならKPIに設定すること自体を見直します。初心者であれば、GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクスで把握できる指標に絞って設定することをおすすめします。
KPIの設定は測定できる範囲で行わなくては逆効果です。測定可能なKPIを設定しましょう。
設定したら具体的な改善策を講じる
KPIの設定は、目標達成に向けたプロセスを把握し、改善策を講じるためのものです。設定したら、目標達成のために具体的に何をするかを考えるのに活用します。
たとえば「年間売上1億円達成」がKGI(最終目標)だとして、達成のために「新規顧客獲得数:年間500件」をKPIの1つに設定したとします。この場合、年間500件を達成するために、「ターゲットの明確化」や「アプローチ方法」、「フォローアップの徹底」など具体的にやるべきことをピックアップします。
KPIは設定後が大事です。具体的な改善策を講じるのに役立てましょう。
定期的にKPIを見直す
KPIは一度設定したら終わりではありません。KPIを達成するための条件は、時間の経過と共に変化することもあります。
たとえば、Googleアルゴリズムの変更などが代表的です。Googleの検索エンジンがアップデートされることで、それまで有効だった施策が通用しなくなる事例は少なくありません。近年では、被リンクが数ではなく、関連性や信頼性によって評価されるようになったことなどが挙げられるでしょう。このような変化があった場合、KPIを設定し直す必要があります。また、目標の進捗状況に遅れが見られたり、達成できなかったりした場合も同様です。
課題や問題点は時間と共に変化します。対応するためにも、定期的にKPIを見直しましょう。
まとめ
SEOでは検索順位だけを考えがちです。KPI設定を導入すれば、多角的な方面から、より具体的にSEO達成のためにすべきことが明確になります。単眼的にならないためにも、積極的にKPI設定を活用しましょう。