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小手先のSEO「ワードサラダ」とは?昔は有効だったけど今は逆効果!衰退理由を解説
Googleは公式に小手先のSEOが通用しなくなっていることについて何度も言及しています。その具体例として分かりやすいのが「ワードサラダ」です。
ワードサラダとは、意味のないキーワードの羅列を意図的に作り、アルゴリズムの弱点を突いてランキングを上げる手法です。2000年代後半から2010年頃までSEO効果を見込めましたが、検索エンジンの進化にともない、今ではほとんど逆効果になっています。
この記事では、SEOにおけるワードサラダの過去と現在について解説します。ワードサラダは検索エンジンが精度不足だったころは有効でした。しかし、アルゴリズムの改善と共にペナルティの対象となり、今では駆逐されつつあります。
これこそが、Googleが指摘する『小手先のSEO』が通用しなくなっている証拠といえます。身も蓋もありませんが、SEOでは高品質なコンテンツ作成こそが一番堅実な対策です。ワードサラダの衰退を通じて、SEO評価がユーザーファーストに収束することを理解しましょう。
ワードサラダとは

ワードサラダとは、単語をランダムで組み合わせて作成された文章のことです。読み手を考慮しない単語の羅列なので、文法的に正しく見える文章であっても意味を持ちません。システムやツールによる大量作成が可能なので、検索エンジンがコンテンツを量で評価していた時代に、SEO対策として使われました。言葉自体は、統合失調症などの患者に見られる言語障害「言葉のサラダ」に由来します。
ここでは、ワードサラダの仕組みと文章例を解説します。
ワードサラダの仕組み
ワードサラダは主に「形態素解析」と「マルコフ連鎖」によって生成されています。ワードサラダの中に一見すると正しそうな文章が混じっているのは、この2つの技術が大きく関係しています。
形態素解析とは文章を最小単位まで分解して、それぞれがどんな役割を持っているか調べる技術です。たとえば「今日は天気がいいですね」というテキストなら次のように分解して役割を特定しています。
今日は:副詞
天気:名詞
が:助詞
いい:形容詞
です:助動詞
一方で、マルコフ連鎖は既存データから未来を予測する技術です。簡単に言うと「今までこうだったから、次もきっとこうだろう」という風に、過去から未来を予測します。
たとえば、友達との会話で「今日は」と言ったら、「天気がいい」と続くかもしれないし、「宿題がある」と続くかもしれません。マルコフ連鎖は、こうした言葉のつながり方をデータとして蓄積して、次に何が来るかを予測します。
ワードサラダは、テキストデータを形態素解析で分解して、マルコフ連鎖によって組み立てることで生成されています。
ワードサラダの文章例
実際にワードサラダの文章を見てみましょう。
以下は、対策キーワードに「ダイエット」と「食事」を指定して、チャットGPTで生成したワードサラダです。
「ダイエットのために食事は運動と一緒にサラダが重要だが、チョコレートも食べたい。朝食のスムージーで健康的に、でもランチはピザが食べたくなる。夜の食事で糖質を減らして、でもお菓子が食べたい欲求が止まらない。ダイエットはコントロールが大事だが、甘いものも食べて健康を保つ。」
「ダイエット」「食事」というワードとその関連用語を多く含み、文法的にも正しい構造ですが、全体的に意味不明な文章です。当然、ユーザーにとって何の役にも立ちません。
しかし、かつての検索エンジンは、人間の目から見て破綻している文章を判断することができませんでした。上記のような文章でも検索アルゴリズムによって評価され、上位表示される可能性があったのです。次の項からは、ワードサラダがブラックハットSEOに悪用された経緯を解説します。
ブラックハットSEOで利用されたワードサラダ

ブラックハットSEOとは、検索エンジンの盲点をついて品質とは無関係に、コンテンツを上位表示させる手法です。検索精度が現在ほど高くなかった2000年代から2010年代初頭にかけて猛威を振るいました。
ワードサラダがブラックハットSEOで悪用された理由には、当時の検索順位を決める指標として「被リンク数」が重要視されていたことが挙げられます。
2000年代から2010年代までの検索エンジンは被リンク数を「重要なWebページである証拠」と評価していました。当時のSEO対策は「いかに大量の被リンクを獲得するか」に重点を置く傾向がありました。
その被リンクの獲得方法として多用されたのが、人工的な被リンクです。SEO会社が被リンク用のWebサイトを量産してリンクを売買することで、顧客の検索順位を上げるようになりました。
しかし、被リンク用のWebサイトでも、一定の品質は必要です。あからさまな手抜きだと、検索エンジンに低品質サイトと見なされてしまいます。そうなると、被リンクも評価されません。少なくとも検索エンジンには「一定以上の品質があるサイト」と見せかける必要がありました。
そこで利用されたのがワードサラダです。
当時の検索エンジンは、キーワード密度や関連用語、コンテンツ量などに基づいてサイトの関連性や情報網羅性を評価していました。検索エンジンの文脈処理能力はまだ低かったため、キーワードや関連用語を大量に並べるだけでも、一定の評価が得られたのです。
キーワードや関連用語を文章っぽく大量に並べるだけでいいなら「形態素解析」と「マルコフ連鎖」の技術を利用すればいくらでも作り出せます。ワードサラダを使えば、被リンクが評価されるサイトを大量生産できました。
しかし、これはあくまで過去の話です。現在、ワードサラダがコンテンツ作成に利用されることはほとんどありません。
ここからは、ワードサラダが排除されつつある理由について解説します。
現在は完全に排除されつつあるワードサラダ

ワードサラダで作られるコンテンツは、旧型の検索エンジンから一定の評価を得ていた一方で、検索ユーザーには何の役にも立ちませんでした。このような無意味なコンテンツが上位に表示されてしまうことは、ユーザーファーストを掲げるGoogleにとって大問題でした。
この問題を、Googleは検索アルゴリズムの改善を通じて解決しています。現在ではワードサラダが含まれるコンテンツが検知され、ペナルティ対象になることはもちろん、被リンクしただけでもサイト評価にとってマイナス要因になる仕組みになっています。
Googleのガイドラインに違反
ワードサラダはSEO効果が期待できた頃からGoogleのガイドラインに違反していました。具体的には以下の点が問題とされていました。
・ユーザーにとって無意味なコンテンツの作成
ワードサラダによって生成されたコンテンツはユーザーに価値を提供しません。これは、Googleが推奨する「ユーザー向けにコンテンツを作成する」という基本方針に反しています。
・検索エンジン向けキーワードの乱用
ワードサラダで作られたコンテンツはキーワードを過剰に詰め込むことが多く、検索エンジンを操作する意図が明確です。そのためスパム行為として扱われます。
・質の低いリンクの構築
ワードサラダを用いて大量生産されたサイトから得た被リンクは、検索順位を意図的に操作しようとしていると見なされます。ガイドラインでは、検索順位を操作するためのリンク購入やリンク構築が禁止されています。
・自動生成コンテンツの使用
ツールでワードサラダを作成して使用することは、検索結果の操作を目的としたコンテンツの自動生成と見なされます。このようなコンテンツは、ユーザーに価値を提供しないため禁止されています。
これらはGoogleが掲げる「ユーザーファースト」の原則に明確に反しています。
元から不正行為だったワードサラダが、技術の進歩と共に排除されるのは必然でした。
現在のアルゴリズムでは検知されてペナルティ対象に
ワードサラダは検索エンジンの盲点をついて上位表示をさせるために作られました。しかし、現在の検索エンジンはアルゴリズムが改善されており、ワードサラダを検知できるようになっています。
ワードサラダが検知できるようになったのは、自然言語処理(NLP)の向上が第一の要因として挙げられます。検索エンジンが単なるキーワードの頻出だけでなく、文脈や意味のつながりを理解して、コンテンツを評価できるようになったのです。これにより、検索エンジンが表面的なキーワード詰め込みや文脈のないワードサラダを見抜き、ユーザーにとって価値のないコンテンツを判断できるようになっています。
ワードサラダが効果的だったのは過去のことです。現在はペナルティリスクが上がるだけで何のメリットもありません。
リンクだけでもサイト評価を下げる要因に
ワードサラダが簡単に検知されるようになることで、ワードサラダを用いたサイトからの被リンクは、かえってサイト評価に悪影響を及ぼすようになりました。
被リンクにはサイトの価値を受け渡す窓口のような役割があり、高品質なサイトからのリンクには自サイトの評価を向上させる効果が期待できます。しかし、これは逆にいえば、低品質なサイトからの被リンクは、サイト評価を低下させる可能性がある、ということでもあります。
現在の検索エンジンは、ワードサラダを含むサイトを低品質サイト、もしくは違法なスパムサイトと見なすようになっています。つまり、リンク先にワードサラダがあるだけでもペナルティの対象になりかねないのです。
近年のアルゴリズムでは、被リンクは数よりリンク元のサイトの信頼性や関連性が評価されるようになっています。つまり、価値基準が「量より質」に変化したわけです。
現在ではワードサラダを使用した低品質サイトからの被リンクはデメリットにしかなりません。このようなリンクには、価値を渡さないように否認することがSEOの定石になっています。
ワードサラダを使用したサイトからリンクを受けたときの対処

ワードサラダを使用したサイトからの被リンクは、SEO評価に悪影響を与える可能性があります。ここでは、被リンクの否認・拒否の方法について解説します。
被リンクを否認する方法としては、Googleサーチコンソールからの否認申請が代表的です。申請が通れば、多くの場合で被リンクによる悪影響を遮断できます。ただし、反映までに数週間ほどかかることがあるため、即効性は期待できない点に留意しておきましょう。
おおまかな手順は以下の通りです。
①Googleサーチコンソールにログイン
②左メニューの「リンク」をクリック
③右上「外部リンクをエクスポート」をクリック
④リンク確認後、低品質な被リンクを抽出
⑤サイト先URLをテキストファイルでリスト化
⑥リンク否認ツールにアップロード
誤って有益な被リンクまで否認してしまうと、サイトの評価が下がるリスクがあります。否認ツールにアップするURLは、申請前に必ず確認しましょう。
また、低品質な被リンクは、HTML属性で「nofollow」を設定することでも対応可能です。この方法は即効性があり、設定後すぐに効果を発揮します。一方で、Googleサーチコンソールでのリンク否認と比較するとGoogle側で無視されるケースが多いため、完全な対策にはならない点に留意しましょう。
「nofollow」を設定する手順は次の通りです。
①サイトのHTMLファイルをエディタで開く
②「nofollow」を設定したいリンクタグに、rel=”nofollow”を追加する
記述例
<a href=”https://example.com” rel=”nofollow”>リンクテキスト</a>
堅実な効果が期待できるGoogleサーチコンソールから否認と、即効性の高いHTML属性での「nofollow」設定をうまく使い分けましょう。
ユーザーファーストに収束する評価アルゴリズム

被リンク数が検索順位に大きな影響力を与えていた頃とは異なり、現在の評価アルゴリズムは複雑化しています。
とくに、サイトがユーザーの検索意図やコンテンツの質、専門性、信頼性などで総合的に評価されるようになったことで、リンク数に頼った小手先のSEOは通用しなくなりました。
現在のGoogleの検索エンジンには、200以上の評価指標があるとされています。公開されていない指標や調整もあるため、外部から全貌を知ることはほぼ不可能でしょう。
一方で、どれほど複雑化しても、評価アルゴリズムがGoogleの基本理念である「ユーザーファースト」に収束されることは変わりません。Googleが今後も、ユーザーに優れた検索体験を提供するために、高品質なコンテンツが上位表示されるようアルゴリズムを改善していくのは確実です。
つまり、検索エンジンの盲点を突いてSEO評価を高めるより、コンテンツの品質を高めていく方が、長期的にはメリットがあるということです。
アップデートを重ねて複雑化しても、Googleはユーザーファーストに基づいて高品質なコンテンツを評価することを覚えておきましょう。
まとめ
ワードサラダは検索エンジンの盲点を突いてSEO評価を得る手法として、人工的な被リンクの量産に利用されました。しかし、アルゴリズムの改善によって簡単に検知されるようになり、現在はSEO評価を得られるどころか、ペナルティの対象になっています。
ワードサラダの衰退が示すように、ブラックハットSEOはペナルティのリスクが伴い、効果も一時的です。このような小手先のSEOに時間やコストをかけるのは、効率的とは言えません。
ユーザーファーストを意識し、高品質なコンテンツを作成することこそが、最も効果的なSEO対策と言えます。小手先のSEOではなく、ユーザーのニーズに応えるコンテンツの作成に注力しましょう。