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BPOサービスの見積りを出す前に知っておきたい!利用目的・業務範囲・利用手順!


BPOサービスは多種多様です。依頼する業務内容や人員などによって、見積りは変わってきます。適切な見積りを出すには、期待する効果や依頼する業務範囲、サービスを決めるまでの流れを明確にしておく必要があるでしょう。

この記事では、BPOサービスの見積もりを出す前に知っておきたい利用目的・業務範囲・利用手順などの基本知識をまとめて紹介しています。これからBPOサービス利用を考えている方はぜひ、見積り前にご参照ください。

BPOサービス導入で期待できる効果

まず、知っておきたいのはBPOサービスを利用目的である、導入効果についてです。求める導入効果によっても、見積りも違ってくるでしょう。ここでは、BPOサービスを導入する代表的なメリットを3つ紹介します。

時間的・人的なコストを削減ができる

BPOサービスを導入すると、ノンコア業務を委託することで時間的・人的なコストの削減が可能になります。

企業の業務内容は大きく2つに分類できます。企業のコア業務と、それ以外のノンコア業務です。

コア業務とは利益に直結する企業活動の根幹となる業務です。具体的な業務としては、戦略の立案・策定、製品やサービスの設計・開発、営業活動、販売促進活動などがあります。コア業務に携わる人材には高度な判断やスキルが必要です。

ノンコア業務とは、利益に直結しない補助業務です。具体的には業務としては、資料や請求書の作成、受発注の管理、給与管理、経費管理、問い合わせ対応、清掃業務などがあります。ノンコア業務には、基本的に高度な判断やスキルは必要ありません。

自社でノンコア業務をこなすとなると、その分、雇用を増やす必要があります。また、一からノンコア業務のプロを育てる時間的なコストもかかります。

その点、BPOサービスを導入すれば、ノンコア業務のために人を雇う必要も、人材を育成する必要もありません。導入コストはかかるものの、正規雇用や育成時間を必要としないため、結果的に自社でノンコア業務をこなすよりも時間的・人的なコストの削減が見込めます。

コア業務に集中できる

BPOサービスを導入すれば、人的リソースをコア業務に集中できます。

近年、企業は深刻な人手不足です。ノンコア業務にも人手は必要ですが、そこに多くを割かれてしまうと、新規事業や今後伸ばしていきたい事業に注力できなくなってしまいます。

BPOサービスを導入すれば、ノンコア業務を委託し、会社の時間的・人的資源をコア業務に充てることが可能です。

優秀な人材でも、ノンコア業務に時間を圧迫されると本来の能力を発揮できなくなってしまいます。コア業務に集中できる環境なら、時間的な余裕から、業務効率化や生産性の向上などのアイデアを思いつく可能性が高くなります。

コア業務を任せられる人材が能力を発揮しやすい環境を作ることで、企業成長を促せるのも、BPOサービスを導入するメリットです。

業務品質が向上する

BPOサービスを導入すると、分業化によって業務品質の向上が期待できます。

基本的に、BPOサービスは受託業務に対し、高度なスキルを有しています。うまく活用できれば、人材リソースを集中させたコア業務と専門業者によるノンコア業務が組み合わさることで、業務品質を向上できます。

また、共に働くことで専門業者のノウハウに触れられるのも魅力です。その業務のプロと仕事で関わることで、自社にない高度なスキルを獲得できる可能性もあるでしょう。

専門業者に業務を任せたり、ノウハウを参考にできたりすることで、業務品質の向上につながるのもBPOサービスを導入するメリットです。

BPOサービスの主な業務範囲


BPOサービスのメリットがわかることで、その導入目的が定まるようになります。

次は、具体的にどのような業務を委託できるかです。依頼する業務によっても見積りは変わります

ここでは、BPOサービスの主な業務範囲について解説します。

総務部の業務

総務部では、次のような業務を委託できます。

  • 総合受付
  • 問合せ窓口
  • 文章管理
  • 備品管理
  • 郵便物などの配送・受取
  • 名刺・封筒の印刷

上記を含むオフィス管理業務全般が対象です。総務部の業務はどんな企業でも存在するため、これを専門に請け負うBPOサービスは数多く存在しています。

人事部の業務

人事部では、次のような業務を委託できます。

  • 給与計算や手当、賞与、税金、振込などの労務管理業務
  • 研修、教育体制、評価制度構築、人事配置、新卒採用、中途採用などの人事管理業務
  • 募集、書類選考、面接、採用決定、定通知などの採用代行

人事部では、内部に向けた労務管理業務と外部に向けた採用業務の2つに大別できます。BPOサービスでは、そのどちらにも対応していることがほとんどです。

経理部の業務

経理部では次のような業務を委託できます。

  • 伝票入力
  • 支払い
  • 請求書作成
  • 入金消込
  • 決算

BPOサービスは、ほぼすべての経理業務に対応しています。経理業務は煩雑になりやすく、専門知識が求められるため、需要の高いBPOサービスの1つです。

マーケティング部の業務

マーケティング部では次のような業務を委託できます。

・取引先の企業管理
・市場動向調査
・オウンドメディアのクリエイティブ制作
・BtoBマーケティング全般の委託

マーケティングは利益に直結するためコア業務に分類されますが、業務によっては委託可能です。マーケティングに課題がある企業にとっては、専門家の知見やノウハウを得られる機会になるのもメリットです。

BPOサービスを決めるまでの流れ

BPOサービスに依頼できる代表的な業務がわかりました。

導入する目的と依頼したい業務内容が明確になったら、それを基準に候補となるBPOサービスを決めます。ここではBPOサービスを決めるまでの流れを解説します。

BPOサービスを導入する目的を明確にする

繰り返しになりますが、最初に行うのはBPOサービスを導入する目的を明確にすることです。

目的をはっきりさせないまま導入を進めてしまうと施策が散発的になり、コストの割りに効果が得られなかった、という結果にもなりかねません。

コストを削減したい、コア業務に集中したい、業務品質を向上させたいなど、何のためにBPOサービスを導入するのか、導入目的を社内で共有・確認しておきましょう。明確なゴール設定が、各担当者間での齟齬を未然に防ぎ、より良い結果を生み出すことにつながります。

委託する業務範囲を明確にする

次に、BPOサービスに委託をする業務範囲を決めていきます。

業務範囲が曖昧だと、業務の抜け漏れなどの責任の所在も不明瞭になります。また、実際に外部委託が始まってから想定した業務を頼めないなどのトラブルが発生する原因にもなるでしょう。

委託しようとしている業務範囲や内容を具体的に洗い出し、依頼内容が曖昧にならないようにします。これは、次工程で行うREP(提案依頼書)を正確に作成する上でも重要です。

REP(提案依頼書)の作成する

BPOサービスを導入する目的・委託範囲を決めたら、REP(提案依頼書)の作成します。下記の項目を参考にしましょう。

  • 提案依頼の概要
  • 留保事項(依頼内容の機密保持など)
  • 外部委託する目的と検討内容の開示
  • 検討内容に対するサービス内容の紹介依頼
  • 検討内容に対する提案依頼
  • 実現までのスケジュールの開示と提案の依頼
  • 体制の開示とBPOサービスの体制案提
  • 価格の開示(見積もり)依頼

REPはBPOサービスから提案を受ける上で非常に重要です。REPで依頼したい内容が正確に伝わらなければ、委託業者と何度もすり合わせをする羽目になります。スムーズに提案を受けるためにも、上記項目が明確に伝わるよう心がけましょう。

相性の良い業者を選定する

BPOサービスは多種多様です。同じ業種を対象としても、業者ごとに得意分野や対応できる業務範囲が異なります。相性の良い業者を選定するためにも、自社目的とBPOサービスの性質が合致しているか、よく確認しましょう。

BPOサービスに業務委託しても、その業務のすべてを丸投げできるわけではありません。共に仕事をすることも考慮して、信頼性や連携の取りやすさも含めて選定するのも大切です。

BPOサービスの選定ポイント

BPOサービスを利用するまでの流れがわかりました。ここまでわかれば、利用するサービスもかなり絞れるようになるはずです。最後にBPOサービスを選定するポイントについて解説します。

専門分野

BPOサービスの強みや専門分野が、自社が依頼したい内容と合致しているか確認します。

同じ業務に対応しても、サービスごとに強みや得意分野が異なります。REP(提案依頼書)などに課題感を明確に提示し、候補のポテンシャルを測りましょう。

価格

BPOサービスの業者を選ぶ際は、相場を見極めるために複数の業者から商品やサービスの見積りを取り、条件や価格、納期などを比較します。

見積りを一社に絞ってしまうと、相場より高い費用で契約してしまう可能性があるので注意が必要です。ただし、やみくもに見積りを増やすと打ち合わせの時間が増える上、どの業者を選んでいいかわからなくなります。2~3社程度を目安に比較検討しましょう。

実績

導入を検討しているBPOサービスの実績について調査するのも大切です。

実績の高さは、専門的なノウハウや経験を有している証といえます。委託したい業務の専門性が高ければ高いほど、実績は重要な選定基準になります。これまで受託した業務の数や規模、担保する品質などを公式ページで確認しましょう。

コミュニケーション力

長期的に委託する場合は、担当者とのコミュニケーションの取りやすさも重要になります。

長く共に仕事をする以上、トラブル発生時の連絡や、委託業務に関連した情報のやり取りをスムーズに行えるようにしておく必要があります。その上で、BPOサービス側にコミュニケーション力があるかどうかは重要です。

委託先のコミュニケーション力は、担当者とやり取りした際の情報のわかりやすさ・具体性や、問い合わせ時の連絡の早さなどを目安にしましょう。

セキュリティ

BPOサービスで委託する業務には、個人情報を取り扱う業務も少なくありません。そのため、セキュリティ面で安全な業者かどうかは非常に重要です。

BPOサービス業者の大半は、各々セキュリティポリシーを提示しています。確認して、ルールに基づいた取り扱いができるか、セキュリティ対策は万全かを見極めましょう。

企業規模

将来的に委託する業務範囲が拡大する可能性がある場合は、BPOサービスの企業規模も選定基準です。

BPOサービスは企業規模が大きいほど、より広い業務に対応できます。最初は限定的に活用して、後から委託する業務範囲を拡大しようと考えているなら、企業規模が大きいBPOサービスを選んだ方が、手間をかけずに済みます。今後の予定次第では、大手かどうかも考慮しましょう。

まとめ

BPOサービスを上手に活用するには、相性の良さそうな業者を絞るための選定基準を設ける必要があります。そのためには、導入目的・業務範囲・利用手順の把握が必須です。

選定基準を設けた上で、業者を2、3社に絞って比較検討すれば、相場より高いコストを支払うなどのミスも減らせます。見積りを出す前に、まずBPOサービスを活用するための基本知識を身に付けましょう。