COLUMNコラム
【SEO基礎】リンクジュースは昔と今でどう変わった?現在の対策方法についても解説
リンクジュースとは、サイトの価値がリンク元からリンク先に液体のように分配されるという考え方です。被リンク効果を分かりやすくイメージできる表現で、一昔前までSEO対策の中核を担っていました。
しかし、環境は大きく変化しています。Googleのスポークスパーソンであるジョン・ミュラー氏は、2020年に「リンクジュースについて知ったことはすべて忘れるべきだ」とツイートし、注目を集めました。
リンクジュースは昔と今でどう変わったのでしょうか? 本記事では、リンクジュースの変遷と現代の活用方法について解説します。リンクジュースの概念は、技術発展に伴い複雑化しています。
過去情報に基づいたSEO対策は、現在では通用しません。現状に合わせて情報をアップデートしたい方は、ぜひ記事をご参照ください。
リンクジュースとは?
リンクジュースとは、リンク元の評価がリンク先に、液体を注がれるように伝わるという考え方です。Googleが公式に発表している用語ではなく、SEO業界で検索エンジンの評価アルゴリズムを簡略化して説明するために作られました。
リンクジュースは2000年代に被リンク対策の隆盛と共に注目を集めた一方で、近年ではGoogleのアルゴリズムが改正されたことで、その役割が大きく変化しています。ここではリンクジュースの仕組みと、Googleの警告について解説します。
リンクジュースと被リンク
リンクジュースは、被リンクのSEO効果をイメージ化した考え方だといえます。
被リンクとは外部サイトから自社サイトに貼られたリンクです。SEOでは、良質な外部リンクを得ることで信頼性や権威性を高め、検索順位の向上を目指すのも対策の1つです。
検索エンジンは、良質な外部サイトからの被リンクが多いほど、そのWebサイトを「質の高いWebサイト」と認識します。これは具体的には、サイトが良質なサイトの持つSEO評価を、被リンクを通して受け取っているからなのです。
このように、サイトの価値がリンクを通じて液体のように流れていく仕組みをジュースに例えたのが、リンクジュースです。
リンクジュースの考え方は、被リンクのSEO効果をわりやすくイメージするのに役立ちます。被リンク対策が隆盛を極めた2000年代では「価値を伝える流れ」として特に注目を集めました。
Googleがリンクジュースに発した警告
2000年代にはSEO対策の中核となる考え方としてもてはやされた一方で、近年におけるリンクジュースの立ち位置は大きく変化しています。
Googleのスポークスパーソンであるジョン・ミュラー氏は、2020年に「リンクジュースについて知ったことはすべて忘れるべきだ」とツイートし、注目を集めました。
この内容だけ見ると、Googleがリンクジュースの仕組みそのものを否定していると捉える方も少なくないでしょう。しかし、そうではありません。
ジョン・ミュラー氏が「リンクジュースを忘れるべき」と言ったのは、「リンクが重要でなくなった」という意味ではなく、「従来のようなリンク数に頼ったSEO手法は通用しなくなっている」という警告だと考えられます。
過去、被リンクはサイト評価において、大きな比重を持っていました。被リンク自体も質より量が重視される傾向があり、これを利用したブラックハットSEOが横行していました。しかし、現在Googleはパンダアップデートなどを通じて評価システムが多角化し、リンク評価も量より質へと移行しました。
リンク評価が変わることで、リンクジュースの役割も変化しています。ジョン・ミュラー氏は、多様な評価基準の導入により、リンクジュースを重視した対策は時代遅れになっている、と警告したのです。
リンクジュースの「昔と今」
リンクジュースの昔と今を比較すると以下のようになります。
項目 | 昔(2000年代) | 今(2024年) |
リンクの評価基準 | リンクの量を重視されていた | 質が重視され、多様な評価基準が導入されている |
リンクジュースの役割 | サイト評価の中核的要素として位置づけられていた | 評価基準の一要素として扱われている |
リンク戦略 | 被リンクの量を増やすため、リンクビルディングが重視されていた | 品質や関連性が高く、自然な被リンクの獲得が重視されている |
ブラックハットSEO | リンクファームやスパムリンクによる操作が効果的だった | パンダ・ペンギンアップデートによってほぼ無効化される |
この変化にはページランク(PageRank)やトラストランク(TrustRank)が大きく関わっています。ここでは、その関係を解説しつつ、リンクジュースが昔と今でどのように変化していったかを具体的に解説していきます。
変遷するページランクとの関係
ページランク(PageRank)とはGoogleが開発した、Webページの評価指標の一つです。被リンクの量と質を評価基準にして、Webページを「0~10」の11段階でランク付けします。外部表示は2016年に廃止され、現在はユーザー側からの確認はできません。
ページランク以前の検索エンジンは、キーワードの一致度や手作業による分類を主な基準としていました。ページランクの「被リンクを元にページの重要度を数値化し、検索結果の順位に反映させる仕組み」が実装されることで、ユーザーの利便性は大きく向上しました。
ページランクとリンクジュースは、かつて「投票システム」と「票の総数」の関係にあったと言えます。簡単に言うと、被リンク(票)を獲得してリンクジュース(票の総数)を増やすほど、ページランクが上昇する仕組みでした。
そして、2000年代においてページランクは、検索順位の決定に大きなウェイトを占めていました。このような事情から、リンクジュースもサイト評価の中核的要素として位置づけられていたのです。
しかし、ページランクがリンク数を重視する傾向が明らかになると、それを利用して検索順位を意図的に操作しようとするブラックハットSEOが横行しました。
これに対してGoogleは、アルゴリズムの改善に加え、サイトを多角的に評価することで対応をしました。現在のサイト評価は、コンテンツの品質、ユーザー体験、専門性や信頼性などの要素が加わり、複雑化しています。評価基準が増えた結果、ページランクも重要な指標から総合的な評価システムの一要素になったわけです。
リンクジュースが重視されていたのは、ページランクの影響力があってこそです。検索順位を決める上でのページランクのウェイトが減少するとともに、リンクジュースも評価基準の中核的要素から、他要素と同等の評価項目として扱われるようになりました。
新しく加わったトラストランクとの関係
とはいえ、リンクジュースがSEOにとって重要なのは変わりません。アルゴリズムが新しくなっても、リンクから「価値」が伝達される仕組みは変わっていないからです。
Googleが新しいアルゴリズムを導入したことで、リンクジュースに対する評価基準も変化しました。リンクが量よりも質で判断されるようになり、数を集めるのではなく、リンク先の選定をすることが重要になりました。
このリンク先を選定する指標の1つとなるのが、トラストランク(TrustRank)です。
トラストランクとは、Webサイトの信頼性や権威性を表す指標です。Googleが公式に発表しているアルゴリズムではありませんが、SEO業界で広く使われています。
SEO業界では、現Google検索エンジンは複雑なアルゴリズムから「サイトに貼られたリンク関係から信頼ランクを採点している」という考えが主流になっています。
つまり、現在のリンクジュースが伝達している価値の主成分は「信頼性・権威性」だと考えられているのです。
リンクジュースの仕組み自体は変わっていません。しかし、リンクから流れる価値はリンク数を中心にした「量」から、トラストランクを中心とした「質」に変化しました。
リンクジュースの増やす被リンク対策
リンクジュースが伝える価値に信頼性・権威性が重視されるようになって、その増やし方も大きく変わりました。
被リンク対策では、どのようにして信頼性・権威性のあるサイトからリンクを受けるかが重要になっています。ここではリンクジュースを増やすための被リンク対策について解説します。
高品質コンテンツの作成
信頼性・権威性のあるサイトから被リンクを獲得してリンクジュースを増やすには「高品質なコンテンツ」を作成することが大切です。
高品質なコンテンツとは「読者にとって価値があり、信頼性の高い情報」です。このようなコンテンツはユーザビリティを高めることができるので、引用や情報源としてリンクを獲得する機会が自然に多くなります。
身も蓋もない正攻法ですが、Googleは、高品質なコンテンツを基準にして利便性の高い検索結果を表示させるためにアルゴリズムを改善します。変化に強く、最も手堅い方法といえるでしょう。
関連性の高いサイト同士で関係を構築
ジャンルや業界などの関連性で括れるサイトと提携して被リンクを獲得する方法も、リンクジュースを増やす方法として有効です。
このような意図的な提携は、Googleが推奨するナチュラルリンクではありません。しかし、関連性の高いサイト同士のリンクは、検索エンジンに対して「信頼できる情報源が相互に支持し合っている」 というシグナルにもなります。これは、検索エンジンが評価する「専門性」のアピールになり、結果として権威性の認知につながります。
過度にやりすぎなければ、関連性の高いサイト同士の提携は、リンクジュースを増やす方法として有効に作用します。
ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアを活用して被リンクを獲得していくことも、リンクジュースを増やす方法として効果的です。
X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSには高い拡散力があります。活用できれば効率的に被リンクを集めることができるでしょう。
一方で低品質な被リンクを集めても意味がないので、SNS内で次のようなアプローチをすることが大切です。
・質の高いコンテンツの紹介
SNSでの投稿を通じて、自サイトの高品質なコンテンツを目立たせることで、他の権威あるサイトからの自然なリンク獲得を促進する。
・コンテンツのリサーチ
関連するジャンル・業界のトレンドを追い、権威ある情報源やデータを引用したコンテンツを作成し、それをSNSでシェアする。
・関連性の高いサイト同士の連携
SNSを通じて、業界内の信頼性のあるサイトやブロガーとつながり、彼らにコンテンツをシェアしてもらうように働きかける。
高品質なコンテンツの作成・関連性の高いサイト同士の提携を踏まえた情報拡散が、良質な被リンクの獲得を促し、リンクジュースの増加につながります。
リンク先を選定するポイント
現在のアルゴリズムではリンク数ではなく、どのサイトからリンクされるかが重要です。
SEOでリンクジュースの仕組みを活かすなら、必然的にリンク先を選定することになります。
リンク先を選定するポイントとして、押さえておきたいのは次の2つです。
「Googleが高い信頼ランクを付けたサイトとリンクすると、自サイトの信頼性・権威性を高めるリンクジュースが流れてくる可能性がある」
「Googleが低い信頼ランクを付けたサイトにリンクすると、自サイトの価値が流出してしまうリスクがある」
ここでは、リンクを優先すべきサイトと、避けるべきサイトについて解説します。
関連性の高いサイトを優先する
リンクを優先すべきサイトには次のようなものがあります。
①高い信頼性・権威性を持つサイト(政府機関、有名なニュースサイトなど)
②高いトラフィックを持つサイト(人気サイトなど)
③自サイトと関連性の高いサイト
この中で基礎となるのが③の関連性のあるサイトです。
Googleは関連性を通じてサイト同士の関係性を理解し、リンク元とリンク先の内容が一致しているかどうかで、リンクの信頼度を判断します。つまり、①や②のような優先度が高いリンク先であっても、関連性がなければSEO効果は限定、あるいは無効化されてしまう可能性があるということです。
信頼性やトラフィックが高いサイトへのリンクであっても、関連性がなければSEOの観点からはほとんど意味はありません。まず関連性を優先してリンクを構築しましょう。
低品質なサイトへのリンクは避ける
逆にリンクを避けるべきサイトには次の通りです。
①低品質なサイト
②スパムサイト
③関連性の低いサイト
デザインやコンテンツが粗雑な低品質サイトや、不正な方法で検索エンジン結果上位表示を狙うスパムサイトからのリンクは、かえってサイト全体の評価を下げます。定期的にリンク先の品質をチェックし、必要であればリンクを削除するようにしましょう。
また、コンテンツに問題がなくても、関連性の低いサイトからのリンクは、SEO効果がほとんど見込めません。このようなリンクはGoogleからのテーマ特定を妨げ、信頼性を下げる恐れがあります。リンクの信頼性・権威性を評価する上で、関連性があることが前提になっているのを忘れないようにしましょう。
低品質なリンクを拒否するnofollowの設定方法
リンクジュースを増やすには、関連性を優先しつつ、低品質なサイトからのリンクを拒否することが大切です。
ここでは、リンクの評価を流さない方法として代表的な「nofollow」の設定方法について解説します。
nofollowは、Googleのクローラーにリンク先ページをクロールさせないように指示するHTML属性です。nofollowの設定方法には、以下の2通りがあります
- 特定のリンクに対して設定する
特定のリンクに対して設定する方法では、HTMLの<a>タグ内にrel=”nofollow”を追加します。例えば、拒否したいリンク先のURLが「example.com」だった場合、次の通りです。<a herf=”https://example.com” rel=”nofollow”>このリンクはnofollowが設定されています</a> - ページ全体に適用する
ページ内にある全てのリンクに対しnofollowを指定します。この場合は<head>内に<meta>タグを追加します。コードは次の通りです。
<meta name=”robots” content=”nofollow”>
特定のリンクにnofollowを設定すると、そのリンクのみ評価を流さないようにします。ページ全体にnofollowを適用すると、そのページ内のすべてのリンクが評価を流さないようになります。リンクの評価を管理するために必要に応じて使い分けましょう。
まとめ
リンクジュースのリンクからサイト価値が流れる仕組みは健在です。しかし、流れる価値はアルゴリズムのアップデートでより多角化しました。リンクの評価が信頼・権威性が中心にシフトすることで、対策も大きく変化しています。
ネット上で流れるリンクジュースの解説には、過去情報に基づいた内容も少なくありません。最新情報にアップデートして、現代のSEOに合った対策をするように心がけましょう。