サイト構造の最適化はサイト制作の初期段階で実施しておきたいSEO対策の1つです。この対策を行っておけば、UX・SEOが改善されるだけでなく、その後のサイト管理も楽になります。

この記事では、サイト構造の最適化に関する基本知識を解説します。早く導入すればするほどメリットが期待できる施策です。ぜひこの記事で概要をつかんで、サイト構造の最適化を早期実行するのに役立ててください。

サイト構造とは？

サイト構造とはサイト全体の設計図です。例えば、サイト構造には以下の内容が含まれます。

• ユーザーがサイト内移動に用いるナビゲーション
  例：メニューバー、リンク、サイトマップなど
  
• 情報を整理しユーザーに分かりやすく伝える情報アーキテクチャ
  例：コンテンツのカテゴリー化、タグ付け、検索機能など
  
• サイトが各デバイスで正常に動作するためのレスポンシブデザイン
  例：スマホやタブレットからの操作性の確保

上記の設計はユーザーの利便性や満足度を向上させるために考慮されるべき内容です。疎かにすると、ユーザーが求める情報に辿り着けなかったり、制作したコンテンツが検索結果に反映されなかったりする原因になります。

つまり、サイト構造が最適化されていないとサイトが機能不全を起こし、ビジネス目標を達成できない可能性があるのです。

逆に、構造が最適化されたサイトは全体のパフォーマンスが向上し、ビジネス目標の達成がしやすくなります。次項では構造の最適化で得られる効果について解説します。

サイト構造の最適化で得られる効果

サイト構造の最適化には、検索エンジンからの評価、ユーザー体験、サイト管理を改善する効果が期待できます。ここでは、その効果の一部を紹介します。

ユーザーエクスペリエンス（UX）の向上

ナビゲーションや階層構造が最適化されているサイトは、ユーザーが欲しい情報にスムーズに到達できるようになります。

ナビゲーションが簡便なら、訪問者はどこにいてもサイト全体のどこに何があるのかを容易に理解できるようになります。また、論理的で明確なサイト構造は、コンテンツがカテゴリーごとに整理されているため、求める情報を効率的に発見することが可能です。

サイト構造が最適化されると、ユーザーがサイトをより快適に利用できるようになり、ユーザーエクスペリエンス（UX）が向上します。UXは検索エンジンがサイトを評価する指標の1つです。UXが向上することで間接的に、SEO（検索エンジンの最適化）にも貢献します。

クローラビリティの向上

階層構造やリンクが最適化されているサイトは、クローラーがサイト内を効率的に巡回できるようになります。

論理的な階層構造であれば、クローラーは各ページがどの階層に属しているかが容易に把握でき、特定のトピックやテーマごとにサイトを探索することができます。また、適切にリンクが張られていることで、クローラーは効率的なサイトの巡回が可能です。

サイト構造が最適化されると、検索エンジンがサイトの重要コンテンツを効率的に発見し、インデックスできることでクローラビリティが向上します。結果として、サイト内でのクロールが正確になり、作成したコンテンツが検索結果に反映されないなどのトラブル防止につながります。

専門性の向上

階層構造やリンクが最適化されているサイトは、検索エンジンが専門性を認識しやすくなります。

大カテゴリや中カテゴリなど情報の大きさや種類でディレクトリが整理されていれば、テーマとカテゴリーが明確になるため、検索エンジンが専門性を理解しやすくなります。また、適切に内部リンクを設置すれば、検索エンジンは特定のテーマに関するサイト内のコンテンツの充実度をスムーズに把握することが可能です。

サイト構造が最適化されると、コンテンツがカテゴリーごとに評価されることで、テーマに対するサイト全体の専門性が評価されます。

「専門性」はGoogleが重要視する3つの評価基準「E-A-T」の1つです。「専門性」が高まると連動して残りの評価基準「権威性」「信頼性」も高まるため、専門性は「E-A-T」の中でも特に重要です。サイト全体の専門性の向上は、SEOに大きく貢献します。

サイト管理の簡易化

構造の最適化によりコンテンツや階層構造が整理されているサイトは、管理作業が容易です。

コンテンツが整理されていれば、カテゴリで分けられたフォルダから、新しいコンテンツの追加や既存コンテンツの更新が容易になります。また、階層構造が整理されていれば、内部リンクの関連性を強化する設定・修正も楽です。

サイト構造が最適化されると、サイト管理を簡易化できます。負担が減れば、運営者はその分、労力を他の仕事に割くことができるはずです。成長戦略やコンテンツ開発に注力すれば、結果としてサイトの拡大・成長につながります。

ブランドイメージの強化

サイト構造の最適化によるデザインは、訪問者に対してプロフェッショナルな印象を与えます。

構造の最適化による一貫性のあるデザインは、視覚的な満足感や信頼感を向上させます。また、コンテンツの整理により迅速に求める情報を辿り着けるので、訪問者に優れたUXを提供することが可能です。

サイト構造が最適化されると、訪問者に良い印象を与えつつ、優れた利用体験を提供できます。そのため、サイト構造の最適化が早ければ早いほどブランドイメージの強化につながります。

見た目で分かる構造が最適化されたサイトの特徴

サイト構造を最適化するとSEOやUX、サイト管理の改善など複数の効果が見込めることがわかりました。では、具体的に構造が最適化されるとサイトはどうなるのでしょう？ここでは、見た目で分かる構造が最適化されたサイトの特徴を4つ紹介します。

論理的で明快なナビゲーション

1つ目は、メニュー構造やリンク配置が論理的に整理され、ユーザーが直感的に操作できるよう設計されたナビゲーションです。

論理的で明快なナビゲーションは、メニューが分かりやすく、視覚的に階層構造が明確です。また、レスポンス対応がされており、どんなデバイスからでも適切に表示されます。

以上の特徴から、ユーザーは迷うことなく目的の情報にアクセスできます。論理的で明快なナビゲーションは、ユーザビリティ、コンバージョン率を向上させ、ユーザー離脱率を低減させます。

関連性が明確なページ構成

2つ目は階層構造が明確で、テーマやトピックで統一された一貫性のあるページ構成です。

関連性が明確なページ構成は、URLから親ページと子ページの関係が一目で分かるようになっています。たとえば、次のような構成です。

親ページ（トップページ）：URL: https://example.com/

子ページ①（カテゴリページ）：URL: https://www.example.com/news/

子ページ②（記事詳細ページ）：URL: https://www.example.com/news/article123/

この例では、トップページで全体のテーマを示し、子ページ⓵でニュースに分類される情報を整理しています。さらに各ニュース記事の詳細を載せたページ②がカテゴリーページにリンクされ、関連性が明確になっています。

以上の特徴から、ユーザーは親ページから子ページに移動して、関連する情報を簡単に見つけ出すことが可能です。関連性が明確なページ構成は、サイト全体のユーザー体験を向上させ、SEOの改善に寄与します。

簡潔なURL

3つ目は、冗長な情報が排除されて、明確で分かりやすいURLです。

簡潔なURLは、短くシンプルで、使用ワードからページ内容が把握できるようになっています。たとえば、次のようなURLです。

例①：https://example.com/about

例②：https://example.com/contact

①は”about”という単語が含まれており、URLから「概要」に関連したページであることが判断できます。会社や大学などの概要のページでよく用いられるパターンです。

②には”contact”という単語が含まれており、URLから「連絡」に関連したページだと判断できます。商品・サービスなどのお問い合わせページでよく用いられるパターンです。

以上の特徴から、ユーザーと検索エンジンの双方が、URLでのページ内容・現在位置の判断がしやすくなります。簡潔なURLはサイト全体のユーザビリティとクローラービリティを向上させ、SEOの改善に寄与します。

適切な誘導リンク

最後は、ユーザーが必要とする情報へ迅速にアクセスできるよう設計された誘導リンクです。

適切な誘導リンクは、リンクテキストが簡潔かつアクセス先の関連性が明確です。また、他コンテンツとは隔離され、ユーザーが期待する通りの場所に配置されることで、自然な流れでリンク先にアクセスできるようになっています。

以上の特徴から、ユーザーはサイトからスムーズに求める情報を引き出すことができます。

適切な誘導リンクは、サイト全体のユーザビリティとパフォーマンスを向上させ、SEOの改善に寄与します。

初心者でもできるサイト構造の最適化

視覚的な特徴を把握することで、構造が最適化されたサイトが明確にイメージできるようになったのではないでしょうか？

目標がわかれば、そのための施策も理解しやすくなるはずです。ここでは、サイト構造の最適化をする方法の中でも、初心者にも比較的簡単に実施できる施策を紹介します。

URLの正規化

URLの正規化とは、自分のサイトやコンテンツを1つのURLに統一することです。

URLを統一するのは、重複コンテンツを排除するためです。重複コンテンツとは、同じページが複数のURLでアクセス可能な状態です。こうなると、検索エンジンの評価は複数のページに分散されてしまい、SEOに悪影響を及ぼしてしまいます。

また、重複コンテンツはユーザーにとっても混乱の元です。異なるURLで同じ内容のページがあるとユーザーはどれが最新ページか分からなくなります。結果、ユーザー満足度が低下し、サイト全体の信頼性が下がってしまう可能性もあります。

URLを正規化する方法として代表的なのは、カノニカルタグ（canonicalタグ）の使用です。

カノニカルタグは検索エンジンに正規URLを示すためのタグです。重複ページのHTMLに追加することで正規URLを指定し、重複を解消できます。

URLの正規化をすれば、検索エンジンはサイト制作者がどのページに評価を集めたいか正確に認識できるようになるため、検索結果でのランキング向上が期待できます。

サイトマップの作成

サイトマップとはWebサイト内のページやコンテンツの構造を示す図表です。主に、ユーザー向けのHTMLサイトマップと検索エンジン向けのXMLサイトマップの2種類があります。

サイトマップがあると、検索エンジンはサイトを効率的にクロールできます。効率的なクロールは、サイトの規模が大きくなるほど重要です。規模が大きくなるとコンテンツ量も増えてサイトが複雑化し、検索エンジンがサイトの全容を把握するのが難しくなるからです。そのため、サイトマップがないと一部のページがクロールされないエラーが発生する原因になります。

また、サイトマップはユーザーの利便性を確保する上でも欠かせません。マップがあれば、ユーザーは目的ページを容易に見つけられます。ユーザー的にも、大規模で複雑な構造を持つサイトになるほど必要性が高くなるでしょう。

サイトマップ作成方法としては、自動生成ツールを使用する方法がよく用いられます。

Webサイト作成で利用されることが多いCMS（Contents Management System：コンテンツ・マネジメント・システム）には、サイトマップを自動生成する機能があります。例えば、WordPressの「Google XML Sitemaps」や「Yoast SEO」などのプラグインが代表的です。これらの機能を使えば簡単にサイトマップを作成できます。

サイトマップがあれば、検索エンジンのクロール効率が上がり、ユーザーも目的ページにスムーズにアクセスできるようになります。

パンくずリストの設置

パンくずリストとは、Webページのナビゲーションを補助するリンク集です。一般的に次のような形式で、ページ上部に配置されています。

ホーム > カテゴリ名 > サブカテゴリ名 > ページ名

パンくずリストがあると、ユーザーが階層化されたサイト内のどこにいるのか把握しやすくなります。結果、サイト内で迷子になるリスクが低減し、目的ページにスムーズに到達できるようになります。

パンくずリストはCMSの自動生成機能を使えば簡単に設置できます。数クリックで設定ができるため、手間はかかりません。

パンくずリストはサイトのナビゲーションを効率化し、ユーザー体験を向上させます。

適切な内部リンクの設置

内部リンクとは、自サイト内のページ・コンテンツ間で設定されるリンクです。

内部リンクを適切に設置できると、ユーザーは関連するページ・コンテンツに簡単にアクセスできるようになります。これにより、快適なユーザー体験を提供できるだけでなく、同時にユーザーに自サイトでの巡回・閲覧を促すことができます。つまり、UXを向上させつつ、アクセス数も増加させることができるわけです。

また、適切な内部リンクは、検索エンジンがサイト内を効率的にクロールし、ページの相互関係を理解するのにも役立ちます。

例えば、内部リンクは重要ページのアピールにも使えます。Google検索エンジンは「内部リンクが多い」ことを重要ページの判断基準の1つとしているからです。

内部リンクを適切に設置するにはリンク設計を行う必要があります。設計は、トピック間の関連性や階層構造への考慮が基本になるでしょう。

適切な内部リンクは、ユーザーの利便性を向上させるだけなく、その滞在時間を延ばし、アクセス数の増加にも貢献します。また、検索エンジンに対しては、クロール効率化やサイト構造の理解を高める効果が期待できます。

画像へのaltタグ埋め込み

altタグとは、Web上で表示される画像の説明文を設定するタグです。代替テキストとも呼ばれ、何らかの理由でサイトの画像データが読み込まれない場合、その画像の内容をテキストで表示します。

画像へのaltタグ埋め込みを行っておけば、視覚障害者や画像読み込みができないネット環境にあるユーザーでも、画像内容を把握できます。このようにサイトが誰でも使えるよう配慮することで、アクセシビリティの向上が期待できるでしょう。

また、altタグは検索エンジンにとっても、重要な情報源です。

altタグがない場合、検索エンジンは、情報不足から画像を適切に理解できない可能性があります。

それとは逆に、適切にaltタグを設定すれば、画像検索やキーワード検索にも反映され、ランキングにも良い影響を与えられます。

画像にalt属性を埋め込む方法は、HTMLの<img>タグ内にalt属性を追加することです。

コーディングは以下の通りです。

<img src=”画像のURL” alt=”画像の説明テキスト”>　

「画像のURL」の部分には画像が格納されているURLを指定し、「画像の説明テキスト」でその画像を端的かつ適切に説明できるテキストを記述します。

altタグの埋め込みは、特定の利用者がサイト内容を把握するのを補助する効果があり、アクセシビリティの向上につながります。また、検索エンジンの画像への理解度を高める効果もあるので、適切に設定を行えばランキングの向上にも寄与します。

サイト構造の最適化を実施するタイミング

これらの施策は次のようなタイミングで行うことが推奨されます。

• 新規サイトの立ち上げ前
• サイトリニューアル時
• SEO戦略の見直し時
• トラフィックやランキングの低下時
• 新しいコンテンツの追加時

理想的なタイミングは、新規サイトの立ち上げ前です。最初からサイト構造が最適化されていれば、以後のサイト管理・拡大がスムーズになります。また、ユーザーにプロフェッショナルな印象を与えられることから、信頼面でのブランド強化の効果も期待できます。初期段階で実施するほど高い効果が見込めるので、できるだけ早期実行を心がけましょう。

一方で、サイト構造の最適化は一度きりではなく、定期的な見直しと改善が必要です。最適化は、検索エンジンのアルゴリズム変更や強力なライバルの出現、サイト変更による悪影響などで簡単に「過去」となってしまいます。ユーザーの利便性やSEOに気を配りながら、上記のタイミングでサイト構造を定期的に再検証しましょう。

まとめ

サイト構造の最適化は早期実行することで多くの利点を得られる施策です。これらの施策を実行することで、サイトの評価やブランド力、運営効率の向上が期待できます。サイト構造の最適化に関連する施策は広範囲ですが、専門知識がなくても実行可能な内容も多いです。できるところから取り組んで、サイトの長期的な利益につなげましょう。