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ゼロクリック検索とは? SEOに及ぼす影響とゼロクリック対策を解説 

ライティング


近年になって、ユーザーがサイトをクリックせずに検索を終えてしまうゼロクリック検索が多くなっています。これは、クリック獲得を目的の一つとするSEOにとって無視できない問題です。

この記事ではゼロクリック検索がSEOに及ぼす影響と、SEOのアクセス減少を補うゼロクリック対策について解説します。

これからは、検索エンジンを通じてコンバージョンを獲得するためにゼロクリックを視野に入れた対策が大切になります。オンライン集客をアップデートさせたい方は、ぜひ当記事をご参照ください。

ゼロクリック検索とは

ゼロクリック検索とは、ユーザーがサイトをクリックせずに求める回答を得て、検索を終了してしまうことです。たとえば、ユーザーが「直近で行われた東京オリンピックの開催日が知りたい」という目的で、「東京オリンピック 開催日」で検索したとします。その結果、下記のような検索結果が出たとしたらどうでしょう?

ユーザーはアンサーボックスの情報から目的を達成してしまい、サイトをクリックすることなく、検索を終えてしまいます。

サイトを閲覧せずに求める情報を得られてしまうゼロクリック検索の推進は、サイト流入を成果指標とするSEO対策に無視できない影響をもたらします。

ゼロクリック検索が推進される背景 

なぜ、近年になってゼロクリック検索が増加しているのでしょうか? その背景には、Googleの経営理念としているユーザーファーストが根幹にあります。

検索ユーザーの「今すぐ答えが欲しい」というニーズとの合致

多くの検索ユーザーは「今すぐ答えが欲しい」と考えています。
キーワードを入力するだけで求める情報が提供されるゼロクリック検索は、そのニーズに応える形といえるでしょう。

また、スマホがネット検索の主流になったことも、ゼロクリック検索の推進を後押ししています。スマホは画面がPCに比べて小さいため、スクロールや拡大などの操作が手間です。ゼロクリック検索なら検索結果ページで必要情報を提供することで、その手間を解消できます。

このように、ゼロクリック検索は、ユーザーニーズにも時流にも合致しています。Googleの評価軸がユーザーファーストである以上、今後もゼロクリック検索の推進の流れは止まりません。

GoogleによるSERPs(検索結果ページ)の多機能化

Googleはゼロクリック検索を推進する中で、検索結果ページ(SERPs)の多機能化を進めています。

SERPsとは画面に表示される検索結果ページ全体です。この中には、ナレッジパネルやアンサーボックス、AIによる概要なども含まれています。これらの機能が充実することで、近年になって、検索ユーザーがサイトをクリックしなくても情報収集を完結できるケースが増えてきました。

Googleが各SERPs機能の実装・改善を継続していることも、ゼロクリック検索の広がりを後押しする要因となっています。

ゼロクリック検索がSEOにもたらす影響

ゼロクリック検索はGoogleの技術発展に伴い、今後ますますその範囲を広げていくと考えられています。

ゼロクリック検索の普及により、SEOはどのように変化するのでしょうか? ここでは、具体的にどのような影響があるのかを解説します。

サイトへのアクセスが減少する

ゼロクリック検索の普及後は、検索結果だけでユーザーが目的情報を得られるケースが多くなります。結果として、検索順位からのサイトアクセスが減少します。

従来のSEOは「オーガニック検索での上位表示」を前提にして対策を立てていました。しかし、SERPsの多機能化で情報収集が簡略化できるようになった現在、上位表示されたとしてもサイトがクリックされるとは限らなくなっています。

今後のSEOではSERP機能との競合を避けたコンテンツ設計や、クリックしたくなる魅力的なタイトル・ディスクリプションの制作がより重要になるでしょう。

コンテンツの専門性がより重要になる

ゼロクリック検索の普及後は、簡単に答えられる情報はSERPs機能によって即座に提示されてしまう傾向があります。このような背景から、専門性の高いコンテンツの制作が、以前にも増して重要になっています。

基本的な情報や簡易な説明のみを提供するコンテンツは、ゼロクリック検索で提示される情報と競合してしまいます。現在の環境では、従来では通用した「網羅的に浅く解説する」コンテンツ構造では成果が出しにくくなりました。

今後のSEOでは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を強く意識した、代替の効かないコンテンツ設計が、より重要になるでしょう。

SEOの価値がブランド認知に移行しつつある

ゼロクリック検索の増加により、検索順位が上がっても、以前ほどユーザーのアクセスを集められなくなりました。しかし、アクセスが減少しても、検索順位がコンテンツの価値を測る指標になっているのは変わりません。そのため、近年のSEOではブランド構築の役割を、これまで以上に強調するようになっています。

従来のSEOでは「クリックされること」が価値の中心でした。しかし、現在はゼロクリック検索の台頭で、サイトを直接的なアクセスやコンバージョンに結びつけるのが難しい環境です。

今後のSEOでは、ブランド名の最適化や指名検索の活用など、検索結果でユーザーに印象を残す施策が、より重要になるでしょう。

SEOのアクセス減少を補うゼロクリック対策

ゼロクリック検索の台頭は、SEOに大きな影響を与えることがわかりました。その中でもサイトへのアクセス減少は深刻な問題です。そこで、ここではSEOのアクセス減少を補うゼロクリック対策を5つ紹介します。

ユーザーの潜在ニーズに応えるコンテンツを作る

1つ目は、検索画面上だけでは満たせない、ユーザーの潜在ニーズに応えるコンテンツを作ることです。

潜在ニーズとは、検索ユーザー本人が気づいていない欲求のことです。このようなニーズを読者に自覚させるには、ゼロクリック検索で提供される表面的な概要だけでは足りません。詳細や問題提起、選択肢の比較など、より深い情報が求められます。

たとえば「退職 伝え方」と検索したユーザーに対し、基本的な伝え方を提示するだけでなく、「上司の性格に合わせた伝え方」や「言いづらさの対処法」なども併せて紹介できれば、読者が「あ、そこが悩みだったのか」と気づくきっかけになります。

基本情報だけではわからないユーザーの言語化できない悩みに応えるのが、ゼロクリック時代でクリックを引き出すカギです。潜在ニーズに応えて、ゼロクリック検索と競合しないコンテンツを作りましょう。

AIによる概要や強調スニペットからの引用を意識して回答・構成を作る

2つ目は、画面上部に表示される「AIによる概要」や「強調スニペット」からの引用を意識して回答・構成を作ることです。

「AIによる概要」や「強調スニペット」はWebサイトから要点を抽出して、ユーザーの質問に迅速に答えることを目的としています。これらの機能は、ゼロクリック検索を推進させ、SEOのアクセスを減少させる一因となっています。
その一方で、「AIによる概要」も「強調スニペット」も、検索順位より上部に表示されやすく、引用元のURLを提示する仕組みです。引用を受けられれば、サイトアクセスの窓口にもなります。

「AIによる概要」や「強調スニペット」は、情報が整理されたページや短く簡潔な回答を好んで引用する傾向があります。たとえば、箇条書きリストや番号付きリスト、Q&A形式の構成などが代表的です。

Googleのアルゴリズムが理解しやすく、直接的な回答として抽出しやすいように作るのが引用を受けるコツだといわれています。「AIによる概要」や「強調スニペット」からの引用を意識した回答・構成で、アクセス増加を狙いましょう。

SNS・YouTube・ブログなど各メディアでの露出を増やす

3つ目は、検索エンジンへの依存を避けるため、SNS・YouTube・ブログなど各メディアでの露出を増やすことです。

複数メディアと接点を持つことで、検索エンジンへの依存リスクを回避できます。SNSや動画プラットフォームで認知してもらえれば、検索結果に左右されずにアクセス数を伸ばすことが可能です。

たとえば、ブログで解説している内容を動画やSNS用に再構成して発信します。このように「1つの内容を多角的に再利用」することで、効率的に各メディアの露出を増やすことができます。

各メディア展開は、SEOのアクセス減少をカバーする現実的な対策です。ユーザーとの接点を増やして、検索エンジンだけに頼らないアクセス経路を作りましょう。

画像検索で選ばれるよう画質・ファイル名・属性を改善する

4つ目は、画像検索でのヒット率を高めるために、画質・ファイル名・属性を改善することです。

通常検索とは異なる意図で利用される画像検索は、ゼロクリック検索時代において貴重なトラフィック源になります。とくにスマホ利用者は画像から情報を探す傾向があり、その必要性は以前にも増して高まっています。

画像検索は、画質・ファイル名・属性を改善することで、検索ヒット率が高まります。画像を高品質にすればユーザーの目に留まりやすくなりますし、ファイル名・属性を適切に設定すれば検索エンジンが、その画像が何かを理解しやすくなります。
たとえば、横浜の観光情報を発信するWebサイトで「横浜ランドマークタワー」の画像を掲載したとしても、画像に内容を示すファイル名がついていなければ、検索エンジンはその画像が何か判断できない可能性があります。この場合、ファイル名に「横浜ランドマークタワー」と付けることで、検索エンジンの理解がスムーズになり、画像検索で表示されやすくなります。

このような検索エンジンの理解を促す施策は、SERPs機能からの引用を受ける際にも有効です。画像検索で選ばれるよう画質・ファイル名・属性を改善して、画像からの流入を増やしましょう。

優先的に上位表示されるリスティング広告を活用する

5つ目は、確実な露出機会を得るため、SERPs機能より優先的に上位表示されるリスティング広告を活用することです。

料金を払って出稿するリスティング広告は、ほぼ確実に1ページ目最上部に表示されます。「AIによる概要」や「強調スニペット」より優先的に表示されるので、ゼロクリック検索での流入が減っても露出機会を確保できます。

特定キーワードに狙いを定めたリスティング広告は、費用対効果の高い補完戦略として有効です。状況に応じて、リスティング広告の出稿も、アクセス減少を補う選択肢に入れておきましょう。

ゼロクリック化してもSEOが重要な理由

ゼロクリック検索の増加により、Webサイトからの集客効果が弱まりつつあります。
そのため、「SEOの重要性は以前より薄れたのではないか?」とお考えになる方も、中にはいらっしゃるでしょう。

しかし、結論から申し上げますと、ゼロクリック化が進んでも、SEOの重要性は変わりません。最後にその理由について解説します。

ゼロクリック検索で表示される基盤になる

SEOの重要性が変わらない最たる理由は、ゼロクリック検索が高品質なコンテンツの引用から成り立っていることです。

ゼロクリック領域に表示される情報のほとんどが検索エンジンから「質が高い」と評価されたコンテンツに基づきます。その高品質なコンテンツを作成し、検索結果の可視性(順位・クリック)を高めるのが、SEOの主要な目的です。つまり、ゼロクリック検索で可視化されるためにも、高品質なコンテンツが不可欠であり、それを実現するためにはSEOの知識と実践が欠かせないのです。

したがって、ゼロクリック検索の時代においてもSEOの価値は変わりません。むしろ、高品質なコンテンツを通じて検索結果に選ばれるための基盤として、これまで以上に重要になるといえます。

検索上位がブランド認知や信頼性向上に貢献する

もう一つの理由は、SEOによって高めた検索順位は、ユーザーのブランド認知度・信頼性の向上に貢献することです。

近年、インターネット上では競合する情報が溢れかえっており、内容だけでは差別化が困難になっています。そこで、重要視されるようになったのが「誰が発信しているか」というブランドと信頼性です。
この価値観はGoogleの検索アルゴリズムにも取り入れられています。検索順位には、コンテンツの品質に加えて、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が強く反映されています。
つまり、検索上位の獲得は「信頼できる情報提供者から作成された高品質なコンテンツ」という印象をユーザーに与えることができるのです。結果的に検索上位の獲得は、ブランド認知や信頼性向上に大きく貢献します。

したがって、サイトのアクセスが減少してもSEOの価値は変わりません。むしろ、情報の信頼性が重視される近年、SEOの価値はますます高まっているといえます。

まとめ

ゼロクリック検索の台頭で、サイトへのアクセスは減少傾向にあります。これは、サイト流入を表指標としてきたSEOに無視できない影響を及ぼしています。ゼロクリック検索に対応するため、新たな対策を実施する必要があるでしょう。

しかし、だからといってSEOが不要になったわけではありません。SEOはゼロクリック対策の基盤です。また、近年、重要視されるブランド認知や信頼性を高める手段でもあります。むしろ、これからますます重要になっていくと考えられています。

今まで同様にSEOに注力しつつ、ゼロクリックにも対応していくのが今後の基本方針です。オンライン集客をアップデートして、アクセス減少に負けない施策を打ち出しましょう。