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指名検索とは? SEOで重要性が高まる背景や増やす方法を解説

ライティング


指名検索とは企業や商品、サービスなどを特定のブランド名を使って検索することです。指名検索で上位表示を目指す施策は、以前から効率よくコンバージョンを獲得する手段として活用されてきました。近年では、検索結果で直接情報が得られる「ゼロクリック検索」が増える中で、その有用性が再び注目を集めています。

この記事では、指名検索の重要性が高まる背景や、指名検索を増やす方法について解説します。SEOでは自社サイトの流入数を増やすことを主要な目的としているため、つい検索頻度の高いビックワード検索に注目しがちです。しかし、現実問題としてビックワードは競合大手が独占していて、入り込む余地がありません。

効率的にコンバージョンを獲得するには、指名検索を活用する必要があります。Web集客で成果を上げたいマーケティング担当者の方は、ぜひ記事をご覧ください。

指名検索とは?

指名検索とはどのような検索なのでしょうか? また、近年になって再び注目されるようになっているのはなぜでしょうか? ここでは、指名検索の概要と、SEOでの重要性が高まる背景を解説します。 

ユーザーが企業・商品の名前などの固有名詞で検索すること

指名検索とは、ユーザーが企業・商品の名前など固有名詞をキーワードに含めて検索することです。たとえば、以下のような組み合わせは、指名検索です。

「〇〇(会社名) 冷蔵庫」
「△△(商品名) 携帯電話」

指名検索は、ユーザーがその企業や商品に高い関心を持っているという証拠になります。上の例なら、「iPhone 携帯電話」で検索するユーザーは、すでにiPhoneの購入や比較検討の段階に入っている可能性が高いです。このように、指名検索を行うユーザーは、コンバージョン率が高い傾向にあります。

SEOでの重要性が高まる背景

指名検索による表示は、認知度や信頼度の証明にもなります。たとえば、iPhoneが携帯電話と合わせて検索されるのも、iPhoneが高性能スマートフォンとして広くブランドが認知され、信頼度が高まっている証拠です。この指名検索はGoogleの評価基準である「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」に大きな影響を与えます。

また、近年Googleによって推進されている「ゼロクリック」の影響を受けにくいのも、指名検索が注目されているポイントです。ゼロクリックとは、AIによる概要やリッチスニペットで表示される情報だけで検索目的を達成してしまう現象です。クリックせず検索を終えてしまうため、サイトへの流入が減少する要因になっています。
しかし、指名検索は「そのブランドの詳細が知りたい」という強い意図があります。ゼロクリックで情報が提示されてもスルーされず、実際にクリックしてもらえる可能性が高いです。

Googleのアルゴリズムや方針とマッチしているのが、指名検索の重要性が高まる背景です。

指名検索が増えるメリット 

SEOで指名検索を活用する必要性は年々高まっています。

指名検索を増やすことは、ブランド形成やコンバージョンの獲得に貢献します。
また、指名検索は検索アルゴリズムによる変動に強く、安定した集客が期待できるのも強みです。

ここでは、指名検索が増えるメリットを3つ解説します。

ブランド形成に貢献する

1つ目は、ブランド名+カテゴリなどの指名検索の増加で、ブランド価値が定着しやすくなることです。

指名検索の増加は、ユーザーがブランドに対して信頼や好意を抱いている証拠と判断できます。この信頼や好意が定着すれば、他社との比較を経ずにサイトを訪れる可能性が高まり、価格や条件以外の理由で選ばれるようになります。

たとえば「ダイソン 掃除機」などのように、ブランド名+カテゴリで検索されるケースはブランド価値が検索行動に影響を与えている好例です。このケースでは、ユーザーが掃除機メーカーとしてダイソンを高く評価していると推測できます。「ダイソン掃除機なら高い吸引力で清潔な空間を保てる」「ダイソンの掃除機なら長期間使っても吸引力が落ちない」といったブランドへの信頼・好意からサービスや商品が選ばれやすくなっています。

ブランド価値がユーザーに定着しやすくなり、競合と比較されずに選ばれる確率が高まるのが、指名検索を増やすメリットです。

コンバージョンしやすいユーザーを獲得できる

2つ目は、ブランド名がサービス利用につながるワードと併用して検索されることで、コンバージョンを達成しやすいユーザーを獲得できる点です。

指名検索するユーザーは全体的に、購買意欲が高い傾向にあります。比較検討や購入の段階に入っている可能性が高いため、コンバージョンにつながりやすいです。このようなユーザーの獲得は、マーケティングの視点で非常に有利に働きます。

たとえば「Netflix 月額」のようなキーワードで検索するユーザーは「Netflixに加入するとほぼ決めているけど、月額いくらだろう?」といったように、サービスを使う前提で情報を集めているケースが多いです。指名検索を増やす対策を取れば、結果として質の高い見込み顧客を呼び込むことにもつながります。

広告費を抑えつつ、コンバージョンしやすいユーザーを獲得できるのも指名検索を増やすメリットです。

検索アルゴリズムの変動に強い

3つ目は、検索アルゴリズムがアップデートされても順位変動のリスクが少なく、安定した流入が見込めることです。

Googleの検索アルゴリズムは頻繁にアップデートされており、一般的なキーワード対策では順位の変動によるリスクが常に存在します。しかし、指名検索はアルゴリズムに依存しません。直接的な需要によってブランドとキーワードで検索されるため、アルゴリズムの影響を受けにくく、アップデート後もアクセスを維持できる傾向があります。

たとえば、Googleのコアアップデートで情報サイトの順位が下がる中でも「サイゼリヤ メニュー」や「ユニクロ 店舗」といったブランド名と目的で直接検索されるページはアクセスが安定しています。

検索アルゴリズムの変更による影響を受けにくい、強固なSEOの基盤を作れるのも、指名検索のメリットです。

指名検索の対策をしないデメリット

指名検索の対策をすべき理由は、メリットだけではありません。対策をしないと大きなデメリットがあるからでもあります。

指名検索の対策をしないと、意図しないページが上位表示されてSEO全体の戦略が崩れる可能性があります。コンバージョン率が高い検索をしたユーザーが他サイトに流れてしまうのもリスクです。

ここでは、指名検索の対策をしないデメリットについて解説します。

意図しないページが検索上位に表示されてしまう

指名検索の対策をしないと、ブランド名を含む検索結果で制作側が意図しないページが上位表示されてしまうリスクがあります。このようなことが起こると、サイトで検索目的に合致した情報を提供できず、ユーザーの離脱を招く恐れがあります。また、ブランド名で検索したユーザーを失望させる結果にもなるので、ブランドイメージの損失にもつながります。

たとえば「〇〇株式会社」で検索した際に、過去のイベント告知ページや、既に終了したキャンペーンページが上位表示されてしまったらどうでしょうか? クリックしたユーザーは、不要な情報を提供されたことですぐに離脱してしまうばかりか、サイトを管理する〇〇株式会社にまで悪印象を抱いてしまうでしょう。

指名検索の対策をして、ブランド名を含む検索結果をコントロールしないと、ユーザーとの接点を毀損させてしまい、SEO全体の戦略が崩れるリスクがあります。

ユーザーが他社サイトに流れてしまう

指名検索の対策をしないと、自社ブランド名で検索したユーザーが他社サイトに流れてしまうリスクがあります。指名検索をするユーザーは、すでに特定のブランドや企業に関心を持っており、購入や問い合わせといったアクションにつながりやすい傾向があります。高い関心を持ったユーザーが、他社のまとめ記事や比較ページに流れてしまうのは、ビジネスチャンスの喪失です。

たとえば、「〇〇クリニック 評判」で検索した時、〇〇クリニック以外の病院を紹介するサイトが上位表示されたらどうでしょう? ユーザーは優先的に表示されている他院の存在を知り、そちらを予約してしまうのではないでしょうか。そうなれば、〇〇クリニックは、自院の見込み客を競合相手に取られてしまい、機会損失と信用失墜の被害を同時に被ることになります。

指名検索で自社が意図する情報ページが上位表示されないと、せっかくの見込み客が競合他社に流れてしまうリスクがあります。

指名検索を増やす方法

指名検索を増やして検索結果をコントロールすることが、自社ブランドを構築する上で非常に重要だと分かりました。

マーケティング担当者は指名検索で自社の意図したサイトが表示されるよう、対策をする必要があります。ここでは、指名検索を増やす方法について解説します。

製品やサービスの質を高めてブランド価値を築く

指名検索を増やす上で最も確実かつ有効な方法は、製品やサービスの質を高めることです。顧客を満足させる品質を提供できてこそ、ユーザーとの信頼関係が構築でき、ブランド価値を高めることができます。

たとえば、Apple社のiPhoneは高品質なスマートフォンであることが広く認知されています。そのため、高品質なスマートフォンを探しているユーザーは「スマートフォン」ではなく、「iPhone」で検索するのです。

品質が伴わないまま、施策をしてもブランドの構築にはなりません。指名検索を増やす前提として、製品やサービスの質を高めましょう。

企業や製品に覚えやすい・検索しやすい名前を付ける

企業名や製品名で検索流入が少ない場合は、名称の変更を検討しましょう。シンプルで連想しやすく、オリジナリティのある名前を付けるのがポイントです。

たとえば、日本を代表するグローバル企業「ソニー(Sony)」の由来は、ラテン語の「Sonus(音)」と、当時の俗語で「坊や」を意味する「Sonny」からの造語です。
音響機器を中心にビジネスを展開していたことから、1958年に「東京通信工業」から「ソニー(Sony)」へ社名変更しました。
短くシンプルで、事業を連想しやすく、造語でオリジナリティも高い、お手本にしたい名前の付け方です。

長すぎたり、連想が難しかったりする名前は、指名検索の機会を逃します。企業や製品には覚えやすい・検索しやすい名前を付けましょう。

SNSを活用して顧客との接点を広げる

SNSは利用者数が多く、情報拡散力も高いです。活用すれば、新しい潜在顧客にもブランド名が広がる切っ掛けになります。自社情報を継続的に投稿して、顧客とのコミュニケーションを取りましょう。

たとえば、食品メーカー「味の素」では、SNSで料理レシピを継続的に発信しています。レシピの発信で「夕飯のメニューで迷っていたけど解決できた」「おいしい料理が作れた」といったポジティブな体験を通して、指名検索につなげています。

単なる情報提供ではなく、ユーザーに寄り添った発信をすることがカギです。SNSを活用して、ユーザーファーストな情報を提供し、顧客との接点を広げましょう。

再訪したくなるトップページを設計する

指名検索を受けるサイトは、トップページで利便性の高いコンテンツが提供されているケースがほとんどです。訪問直後に優れた体験を提供されることで、ユーザーがリピーターになり、次はサイト名を直接検索するようになります。

たとえば、料理レシピサイト「クックパッド」のトップページではレシピを検索できるようになっています。料理名はもちろん、材料を指定するだけでも検索できるので、まだ何を作るか決めていないユーザ-でも簡単にレシピを探すことができます。また、検索窓の下には人気キーワードや人気レシピ、旬の食材を使ったレシピなどが表示されるのも、今日の献立を考える上で便利です。Googleで「レシピ」と検索する以上に優れた体験が得られるからこそ、ユーザーは「クックパッド」を指名検索するようになるのです。

トップページに再訪理由になるコンテンツを作って、指名検索を増やしましょう。

広告を出稿して露出度を高める

ウェブ広告やテレビCM、雑誌・新聞広告を活用して、露出度を高めることも認知度を高めるのに効果的です。広告を通じてブランド名を繰り返し目にすることで、消費者の記憶に定着し、後日そのブランド名で検索する可能性が高まります。

とくにテレビCMは幅広い層にアプローチできるため、指名検索を増やすのに適しています。たとえば、大手飲料メーカーは、全国放送のテレビCMで商品名とキャッチフレーズを繰り返し流すことで「炭酸飲料」ではなく商品名での検索を獲得しています。

広告の出稿は費用がかかりますが、効率的に認知度を高めることができます。費用対効果を考慮しつつ活用しましょう。

プレリリースなどで自社の認知度を高める

プレスリリースは、企業が報道向けに、自社のニュース(製品、イベント、人事など)を伝えるために発行する情報文書です。プレリリースが行われると、各メディアから客観的な情報発信がされることで消費者からの信頼度が高まります。

たとえば、スタートアップ企業は、新製品やサービス開始のプレリリースを発行し、業界メディアでの認知度を高めています。メディアに取り上げられることで、企業名やブランド名が広く露出し、消費者の指名検索につながる可能性が高まります。

報道に向けて行うプレリリースでは、購入を促す広告とは異なり、ニュースの話題としてふさわしい情報が求められます。単純に新製品やサービスの内容を解説するだけでなく、特異性や希少性、時事性などの要素を絡めて提供しましょう。

指名検索キーワードを調べる方法

自社の指名検索キーワードを調べる最も確実な方法は、Googleサーチコンソールを利用することです。ただし、Googleサーチコンソールはサイトの管理者しか使えません。もっと手軽に調べたい場合は、検索窓のサジェストや「関連する質問」を利用する方法もあります。

最後に指名検索キーワードを調べる方法について解説します。

Googleサーチコンソールで調べる

指名検索を詳細に知りたい場合はGoogleサーチコンソールを使うのがおすすめです。各キーワードのクリック数や表示回数、CTR、平均検索順位が確認できます。Googleサーチコンソールで調べる手順は以下の通りです。

①Googleサーチコンソールにログインする
②左目メニューから「検索パフォーマンス」を選択して「検索結果」をクリックする
③「クエリ」タブで各指名検索キーワードのクリック数や平均検索順位が確認する
④ 表示が多い場合は「+ フィルタを追加」で指名検索キーワードを絞り込む

この手順で、自社名でどのくらい検索されているか、どのページが見られているかを確認できます。ブランドの認知度の変化や、広報・PR施策の効果測定にも役立つ情報が得られます。

サジェストや「関連する質問」で調べる

手っ取り早く自社の指名検索を知りたい場合は、サジェストや「関連する質問」を利用しましょう。
 
サジェストとは、検索窓にキーワードを入れたときに検索エンジンが提案する関連キーワードです。ユーザーの検索傾向を反映するため、自社名を検索窓に入れてサジェストを確認すれば、自社がユーザーからどのように認識されているか、どのような情報が一緒に検索されているかを知る手がかりになります。

また「関連する質問」には、ユーザーが特定のブランド名や企業名に関連してよく調べる疑問が表示されます。ここを確認することでも、自社名が含まれる指名検索の傾向を把握できます。

まとめ

指名検索はコンバージョン率が高いユーザーを集めやすく、ブランド形成にも貢献します。また、検索アルゴリズムやゼロクリックの影響を受けにくく、安定した流入が見込めるのも大きなメリットといえるでしょう。

加えて、指名検索の対策を怠るとSEO戦略全体が弱体化し、本来得られるはずだったビジネスチャンスを逃す可能性もあります。特に、自社の指名検索で競合他社が上位に表示されてしまう状況は、機会損失と信頼性の低下という二重のリスクを招く可能性があります。

ブランド認知や信頼性がより一層重視されるようになっていく中で、指名検索を増やすこの重要性はさらに高まっていくと予想されます。Web集客で成果を上げるためにも、指名検索を意識したSEO戦略をしっかりと組み込みましょう。