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GA4とUAの違いとは?導入のメリットや実際の移行手順まで解説

ライティング

SEO対策として欠かせないツールである「Googleアナリティクス(GA)」ですが、新しい機能が搭載された「GA4」がリリースされました。

旧GAは2023年7月1日をもってサポート終了となるため、できるだけ早くGA4を導入する必要があるのです。この記事では、GA4の概要や旧GAとの違い、GA4を導入するメリットなど、導入前に知っておきたいことについて解説します。

GA4とは?

GA4は、Googleアナリティクス(GA)の最新バージョンである「Googleアナリティクス 4 プロパティ」を指します。Googleのアプリ内計測ツール「Googleアナリティクス For Firebase」の機能を踏まえて、2005年にリリースされた無料のアクセス解析ツールです。

「GA4」として正式にリリースされる前に、前身となるGAが2019年にアプリ+ウェブプロパティ(App+Webプロパティ)として発表されています。そして、2020年10月に「Googleアナリティクス 4プロパティ」に名称が変更されました。

GA4は旧バージョンから引き続き使用できるアプリ内計測とWeb内計測に加え、Googleの機械学習モデルを活用した予測機能の導入や、プライバシー重視のデータ収集を中心とした機能の搭載が行われています。

なお、名称に「4」と付いていますが、これまで名称に数字が付いたバージョンは存在していません。

GA4とUAの違い

現在旧GAを利用中で、これからGA4の導入を検討している方は、今一度旧GAの機能や追加について見直しておきたいところです。ここでは、旧GA(UA)の概要やGA4との共通点・違いについて解説します。

UAとは?

UA(ユニバーサルアナリティクス)とは、前世代のGoogleアナリティクスです。さまざまなデバイス・アプリで解析できることを強調するため、”ユニバーサル”と呼称されています。機能性や独自の分析・測定方法が重要視され、主にデータ取得の手段として使用可能です。

2014年4月にリリースされて以降、多くの企業のデータ分析を行ってきた実績がある無料アクセス解析ツールです。UAは過去のバージョンと比較して、クロスドメインの実装や、クロスデバイス分析を可能とするユーザーID機能などが追加されました。

GA4とUAの共通点

結論からいうと、GA4とUAの共通点は「Webのパフォーマンスを出すツール」である点以外にありません。GA4とUAとでは、計測する「軸」が異なるため、まったく別の解析ツールとなります。

GA4とUAの違い

GA4とUAの主な違いは以下の通りです。

  • GA4は「ユーザー」を軸とした計測であるのに対し、UAは「セッション」を軸とした計測
  • GA4では「イベント(ユーザーのアクション)」という指標を使用

以下の表でそれぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

データの計測方法

GA4UA
ページビューイベントとして計測ページビューとして計測
Eコマースイベントとして計測Eコマースとして計測
カスタムディメンションヒット単位のディメンション=イベントとして計測
ユーザー単位のディメンション=ユーザープロパティ
カスタムディメンションとして計測

指標の計測定義

GA4UA
セッションの長さ最後のイベント発生時間-Session_Startイベント発生時間最後のページ表示時間-最初のページ表示時間
セッション時間の上限制限なし24時間
セッションが切れるタイミング5分~7時間55分まで5分単位で変更可能(30分以上操作しないとき)1分~4時間で変更可能(30分以上操作しないとき)
流入元が変わったとき新しいセッションにならない新しいセッションになる
日をまたいだとき別セッションにならない別セッションになる

1つのイベントに対するパラメータの付与

GA4UA
イベントイベント名+複数のパラメータカテゴリ・アクション・ラベル・値

デフォルトチャネルグループ

GA4UA
ソーシャル「有料ソーシャル」「オーガニックソーシャル」「ソーシャル」のみ
メールメディア = email|e-mail|e_mail|e mail またはソース = email|e-mail|e_mail|e mailメディア – 完全一致 – email
アフィリエイトメディア = affiliate|affiliatesメディア – 完全一致 – affiliate
動画実装なし

GA4における4つのイベント

GA4には4つのイベントが存在します。ここでは、各イベントについて解説します。

1.自動的に収集されるイベント

Firebase向けGoogleアナリティクスSDKやGA4のタグを設置していれば、Webまたはアプリのいずれかで、基本的な操作を行うとデータを自動収集するイベントがあります。自動的に収集するタイミングは、ユーザーが広告をクリックした時の「ad_click」や、ユーザーがアプリやWebサイトを利用した時の「session_start」などが対象です。

2.測定機能の強化イベント

コンテンツに対するインタラクションを測定できるイベントです。測定機能の強化を使用するためには、Google アナリティクス管理画面でオプション(イベント)を有効にする必要があります。有効にすると、すぐにGoogle アナリティクス タグでイベントの送信が開始されます。コード変更は不要です。

拡張計測機能を有効にする前に、各オプションと、どのようなデータが収集されるかを把握しておきましょう。特定の測定オプションは、設定でオフにすることも可能です。また、個人を特定できる情報が収集されないように注意してください。

測定オプションとして、「ページビュー」「スクロール数」「離脱クリック」「サイト内検索」「動画エンゲージメント」「ファイルのダウンロード」などがあります。

3.推奨イベント

自分自身でWebサイトまたはモバイルアプリに追加することで、より有益なレポートの生成に加え、新たな機能と動作の測定を行えるイベントです。イベントを機能させるためには
追加のコンテキストが必要なため、イベントが自動的に送信されることはありません。

推奨イベントでは、全ての業種で活用できるものやオンライン販売向け、ゲーム向けなど多様なイベントが用意されているため、自社の業務内容に応じたレポート作成が可能です。

4.カスタムイベント

ビジネスに特化した情報を収集できるように各企業や個人で定義した名前とパラメータを含むイベントです。前述した3つのイベントに該当しないイベントを取得したい場合に、自分で実装するイベントとなります。

実装には主にGoogleタグマネージャーを使用しますが、「特定のページ」で発生するイベントなどではGA4の管理画面上で作成・編集が可能です。

GA4導入によるメリット

GA4を導入することで、従来のプロパティにはなかった3つのメリットが得られます。ここでは、各メリットについて紹介します。

デバイスをまたいだユーザーの計測ができる

GA4には、Googleアナリティクスのデータの収集源である「データストリーム」という項目が追加されます。「iOS」「Android」「Web」のデータストリームによって、WebサイトデータとFirebase経由で計測されたアプリデータを統合した計測が可能です。結果として、Webとアプリを横断するユーザー行動についても、同じユーザーとして認識・計測できます。

予測機能でユーザーのことをより深く知れる

イベントにより、Googleの機械学習モデルを用いた「予測指標」を使用できるため、現在のデータを基にユーザー行動を予測できます。予測機能を使用するためには、いくつかの条件を満たす必要があるため、Googleの公式サイトにて自身のWebサイトが条件を満たしているか確認しておきましょう。

無料でBigQueryが使えてエクスポートできる

BigQuery(ビッグクエリ)とは、Google Cloud Platformが提供しているビッグデータ解析サービスです。従来は、Googleアナリティクスの有償版「Googleアナリティクス360」を利用する必要がありましたが、GA4では無償で使用できます。無料でBigQueryへデータをエクスポートできるようになったことで、より高度な分析が可能です。

GA4導入によるデメリット

GA4を導入すると、これまで以上に高度な解析が実現する一方で、いくつかデメリットも存在します。ここでは、デメリットとなり得る要素について解説します。

UAからのデータ移行ができない

GA4は現状として不完全で、解説書も不足していることから、GA4が使いやすい状態もしくは完全に移行してから、データを移行したいと考えてる方は少なくありません。しかし、UAからGA4にデータ移行はできないため、GA4で今からデータを取得しておく必要があります。併用すればデータを取得できるため、早い段階からGA4を導入しましょう。

学習コストが高い

新しいバージョンを導入すると、GA4に限らず学習コストが発生します。使い方や概念を理解するまで、従来の業務効率が一時的に低下する場合もあるでしょう。GA4は、UAの延長で活用できるものではありません。ゼロから学ぶつもりで、考え方や操作方法を理解する必要があります。UAとの違いを含めて学びながら運用していくことが、GA4を使いこなす近道です。

未実装の機能がある

海外発のツールは、一部未実装のままリリースされることが珍しくありません。必要最低限の機能を実装しておき、徐々に機能が追加されたり、アップデートされたりすることがほとんどです。GA4も例外ではないため、今後新たな機能が実装されるのを都度確認しながら運用していく必要があります。

詳細を解説してくれるコンテンツが少数

GA4は新しいツールのため、使い方を学習する必要があったり、詳細を解説してくれるコンテンツが不足していたりします。対策としてはできるだけ早くGA4を稼働させ、少しでも社内にナレッジを溜めらることが有効です。実際に運用しながら詳細を把握していきましょう。

GA4の導入手順をケース別に紹介

新規で導入する場合と既にUAを導入済みの場合とでは、GA4の導入手順が異なります。ここでは、ケース別に導入手順を紹介します。

新規で導入する場合

新規でGA4を導入する場合は、以下の手順で導入します。

  1. Googleアカウントを開設し、Googleアナリティクス公式ページから設定を開始する
    ①「測定開始」をクリックし、アカウント設定画面に進む
    ②「アカウントのデータ共有設定」ですべてのチェックを入れる
    ③チェックを入れたら「次へ」をクリック
  2. 次に「プロパティ」を設定する
    下記の項目を入力し、「次へ」をクリックする
    • プロパティ名→ 測定対象のサイト名を入力
    • レポートのタイムゾーン→ 日本を選択
    • 通貨→ 日本円(JPY)を選択
  3. 最後に「ビジネス概要」を入力する
    必要事項を入力・設定したら、画面下の「作成」をクリックする
    利用規約を確認して同意したら、設定完了

既にUA導入済みの場合

既にUAを導入している場合は、管理画面の「GA4設定アシスタント」からGA4を導入します。

  1. Googleアナリティクスの画面、左下の「管理」をクリック
  2. 次に「GA4設定アシスタント」をクリック
  3. 「新しい Google アナリティクス 4 プロパティを作成する」の箇所にある「はじめに」をクリック
  4. 「新しいGoogleアナリティクス4プロパティを作成」という画面で「プロパティを作成」をクリック
  5. タグの設定をする
    • gtag.js タグを使用している場合→特別な設定は不要
    • 追加の設定が必要なら「GA4 プロパティを確認」をクリックして設定を追加する

GA4利用開始時に必要な2つのタグ設定方法

Googleアナリティクス上の設定のみではデータの取得ができないため、別途タグの設定を行う必要があります。ここでは、使用するタグ別に設定方法を見ていきましょう。

グローバルサイトタグを使用する場合

グローバルサイトタグ(gtag.js)を使用して接続する場合は、「プロパティ」→「データストリーム」→該当のGAプロパティをクリックします。(gtag.js)タグをコピーしてHTMLの部分に記載すればデータを取得できます。

Googleタグマネージャーを使用する場合

Googleタグマネージャー(GTM)を使用して接続する場合は、「測定ID」を設置するのみでタグの設置が完了します。測定IDは「GA4設定アシスタント」の「接続済みのプロパティ」にて確認しましょう。

GA4の活用をより効果的にするコツ

GA4を利用する前にいくつか設定をしておくことで、より効果的に活用可能です。ここでは、事前に設定しておきたい項目を5つご紹介します。

コンバージョン設定を行う

コンバージョンとは、一定期間におけるサイトの目標の達成や数を表す指標です。コンバージョンの設定は、目標値の設定でもあります。「お問い合せページを閲覧した回数」や「実際に購入に至った回数」などのユーザー行動や現象は、Webサイトによって異なるため、まずは自身のWebサイトの運用目標に合うコンバージョンを設定することが大切です。

UAは、「目標」からコンバージョンの設定を行いますが、GA4は「イベント」からカスタムイベントの作成およびコンバージョンの設定を行うため注意しましょう。

IPアドレスの除外設定

自分のIPアドレスを除外すると正しいデータ計測ができるため、最初に設定しておきましょう。設定項目に「ルール名」「IPアドレス」を入力し、「保存」ボタンをクリックします。最後に、プロパティの「データフィルタ」から「フィルタを有効にする」を選択すれば設定完了です。

イベントデータ保持期間の変更

GA4は、イベントデータの保持期間がデフォルトで2か月となっていますが、設定画面から14か月に変更可能です。保持期間とは、同じユーザーによるイベントかどうかを判別できる期間となります。なお、同じユーザーによるイベントかどうかを判別する期間のため、GA4で集計したデータが2か月もしくは14か月で削除されるわけではありません。

Googleシグナルを設定する

「Googleシグナル」とは、別端末からのアクセスでも同じユーザーとして認識する機能です。通常はスマートフォンとパソコンなど別端末からユーザーがアクセスした場合、別のユーザーとして識別されますが、Googleシグナルを設定すれば別端末でも同一ユーザーと識別できるようになります。

GTMのクリックイベント設定をする

GTM(Googleタグマネージャー)は、計測や広告などのタグをHTMLに埋め込む作業を簡易化するタグマネジメントツールです。Googleから無料提供されているツールで、タグを一元管理ができる上に、GA4とは別にタグを管理することで、GA4のアップデートなどで問題が生じても復元できる保険の役割も果たします。

GA4の利用でよくある疑問

GA4の導入を検討している方も、現在導入している方も利用に関して不明点が出てくるのではないでしょうか。ここでは、GA4の利用でよくある質問に回答します。

Googleサーチコンソールと連携はできる?

2021年12月より、ユーザーがサイトを訪問するまでの情報を分析できるツールである「Googleサーチコンソール」と連携できるようになりました。GA4と連携することで、Webサイトを訪問する前と後、両方のユーザー情報・行動に関するデータを取得できます。

UAはサポート終了するの?

UAは2023年7月1日をもってサポート終了となります。「UAと並行してGA4を利用する」「GA4に切り替える」など、早めに行動しておきましょう。

これまでのGoogleアナリティクスに戻せる?

GA4とUAのプロパティは併用ができるため、データの切り替えで戻せます。GA4の上部にある「すべてのアカウント」をクリックし、「プロパティとアプリ」にあるユニバーサルアナリティクスのプロパティをクリックすると、UAへ切り替え可能です。

GA4のデータ保存期間は?

GA4でのコンバージョンを含んだユーザー単位のデータ保持期間は、「2か月」または「14か月」に設定が可能です。

まとめ

UAは「セッション」を軸とした計測でしたが、GA4は「ユーザー」を軸とした計測となります。また、GA4ではユーザーのアクションにフォーカスした「イベント」という指標を使用する点が特徴です。デバイスをまたいだユーザーの計測ができ、予測機能でユーザーのことをより深く知れる上に、無料でBigQueryが利用できるなど、メリットは多数あります。この機会にGA4の導入を検討してみてください。