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SEO評価を不安定にする「カニバリ」とは?発生原因や対処方法を解説

ライティング

サイト運営をしていて、想定していないページのランキング入りや順位の入れ替わりに悩まされることはないでしょうか?

もし、あなたが運営しているサイトが多数のコンテンツを抱えているなら、原因は「カニバリ」にあるかもしれません。

この記事ではSEO評価を不安定にするカニバリについて解説します。

概要だけではなく、発生原因や対処方法についてもまとめましたので、思い当たる方はぜひ記事を問題解決にお役立てください。

SEOにおけるカニバリとは

カニバリとは「共食い」を意味する「cannibalization(カニバリゼーション)」の略称です。

SEOでは、自サイト内で検索エンジンの評価を奪い合っている状態を指します。

「同一検索キーワード」などが原因で発生していることから「キーワードカニバリゼーション」とも呼ばれます。

カニバリが疑われるパターン

検索順位からカニバリが疑われるのは主に次の2パターンです。

  1. 検索上位にランクインする自サイトのページがタイミングによって異なる
  2. 検索結果に自サイトのページが複数ランクインする

1はたとえば、昨日は9位にランクインした自サイトのページが、今日は15位で自サイトの別ページに入れ替わっているようなパターンです。

2はたとえば、検索順位の2位、3位といったように、自サイトのページが検索上位に複数ランクインしているようなパターンです。

ランクインするページの入れ替わりや、複数ランクインすることがなぜ、SEO評価の食い合いにつながるのでしょうか。これについては、次項のカニバリを解消すべき理由にて詳しく解説します。

カニバリを解消すべき理由

カニバリを放置すると、SEO的に不利な状況になりがちです。

ここでは、カニバリを解消すべき4つの理由を解説します。

SEO評価が分散する

1つ目の理由は、競合によるSEO評価の分散です。

キーワードや内容が類似したコンテンツが複数存在していると、検索エンジンはどのページを優先して上位表示するか迷ってしまいます。

そうなると、先述したように自サイトの検索順位が不安定になり、上位表示されるページが頻繁に入れ替わるようになります。結果、ユーザーの評価が分散されてしまい、検索順位が上がりづらい状況に陥ってしまうのです。

検索上位に同サイトのページが複数ランクインするのもSEO評価の分散です。

一見すると、検索の2位、3位に自サイトページが同時表示される状況は好ましく思えるかもしれません。

しかし、同じ検索上位でも1位とそれ以外では流入数に大きな差があります。

「seoClarity」が公開した2021年11月の検索順位別クリック率データ(日本)を見てみましょう。

検索順位 クリック率
1位 13.94%
2位 7.52%
3位 4.68%
4位 3.91%
5位 2.98%

※引用元:seoClarity

クリック率は、2位と3位を合わせても1位に届きません。

そのため、この場合は2位と3位のカニバリを解消して評価を統合し、1位を狙うようにします。

CVなどの機会損失につながる

2つ目の理由は、意図しないページ表示による機会損失です。

カニバリが起こると、CVの機会が減少することがあります。

これは、サイト制作側が意図していたCV率が高いコンテンツではなく、意図していない類似コンテンツが上位に表示されてしまうのが原因です。
たとえば、CV率10%のページを上位表示するつもりだったのに、CV率3%のページのページが上位表示されてしまったらどうでしょうか。この場合には、本来予定していたCVを獲得できません。

カニバリを放置すると、検索順位だけでなくビジネスにも悪影響を及ぼします。

ユーザーの利便性が下がる

3つ目の理由は、類似コンテンツ乱立による利便性の低下です。

カニバリが解消されず類似コンテンツが複数ある状態とは、コンテンツが整理されていない状態とも言い換えられます。

1つにまとめられる内容を複数のページに分けてしまっているため、ユーザーからすれば目当ての情報を探すのが手間です。このような状態では、顧客満足度を大きく下げてしまうでしょう。

カニバリを放置すると、Googleが求めるユーザーファーストを達成できず、SEO評価を下げる結果になります。

ロングテールキーワードの集客力が下がる

4つ目の理由は、類似コンテンツ表示によるロングテールキーワードの集客力の低下です。

ロングテールキーワードで検索するユーザーは、効率的に情報を得たいと考えています。検索結果に類似コンテンツが多く表示されると、ユーザーはすぐ離脱してしまうでしょう。

カニバリを放置することは、ロングテールの効果を著しく下げるリスクがあります。

カニバリの発生原因

カニバリを解消すべき理由についてご紹介しましたが、なぜカニバリが発生してしまうのでしょうか。

ここでは、その原因であるコンテンツやキーワードの類似について詳しく解説します。

複数の類似コンテンツがある

内容が重複する類似コンテンツが複数あると、カニバリが発生します。

たとえば、同じサイト内で「基本的なSEO対策」という記事と、「基本的なSEO対策で業務を改善する方法」という記事を書けば、重複する内容が多くなってしまうでしょう。

また、重複している部分が多いと検索エンジンから類似コンテンツとみなされる可能性があるので注意が必要です。

対策キーワードが類似している

対策キーワードの類似も、カニバリの発生率を上げる原因です。

キーワードの類似でカニバリを引き起こすリスクがある箇所は以下の通りです。

  • タイトル
  • 見出し
  • 画像のalt属性
  • ディスクリプション
  • 日本語キーワードが含まれるURL

これらの箇所は、SEO評価に影響があります。

同じ対策キーワードを多用していると、検索エンジンからほぼ同内容のコンテンツだと判断され、カニバリを引き起こしてしまう可能性があるでしょう。

カニバリの発生を確認する方法

サイト内記事やキーワードの類似が思い当たる方は、カニバリ状態でないか確認したいと思うのではないでしょうか。

そこで、ここではカニバリを確認する方法を解説します。

Site:コマンドで確認する

簡易的な確認方法として、Google検索の「Site:」コマンドを利用する方法があります。

手順は次の通りです。

  1. 「site:運営サイトのURL キーワード」でGoogle検索
  2. 表示されたページの中からニーズが重複している記事を探す

Google検索時に「site:」を入力してURLを入れると、サイトの中でインデックスされているページのみを表示できます。

さらに、スペースを空けて最後尾にキーワードを入力すれば、サイト内でキーワードに関連したページのみを検索表示することが可能です。

この仕組みを利用して、カニバリが疑われるキーワードを入力すれば効率的に発生原因を特定することができます。ニーズが重複している記事があれば、その記事がカニバリの原因になっている可能性があるでしょう。

ただし、これはあくまで発生原因に大体の見当をつけるための簡易的な確認方法です。

よって、site:コマンドでカニバリの疑いがあるページを見つけた後は、より確認精度が高いGoogleサーチコンソールで確認する必要があります。

Googleサーチコンソールで確認する

精度の高い確認方法として、Googleサーチコンソールを利用する方法があります。

手順は次の通りです。

  1. サーチコンソール管理画面を開き「検索パフォーマンス」を選択
  2. 「+新規」を選択し、カニバリを疑うキーワードを入力後「適用」をクリック
  3. タブを「ページ」に切り替えて、検索クエリに対するクリック数や表示回数を確認

クリック数や表示回数が似たページがあれば「1つの検索結果に複数のページが表示されている」ということになります。これが、カニバリである証拠です。

Googleサーチコンソールは精度が高い確認方法である一方、URL単位、キーワード単位で確認していくのは時間がかかります。

先述したsite:コマンドや次に紹介するGRCを併用して、対象を絞ってから活用するのがベターです。

GRCを利用する(有料)

GRCはGoogle、Yahoo!、Bingの3つの検索エンジンを対象にした検索順位チェックツールです。このツールには、簡易的にカニバリを調査できる機能が備わっています。

GRCでは、日付ごとの順位が画面右下に折れ線グラフで表示されます。順位が下がればグラフが急降下するので、カニバリの疑いがある箇所を視覚的に発見できるでしょう。

GRCは有料ツールですが、順位モニタリングだけでなく競合サイトの特定や強み・弱みを可視化できる機能を備えています。

SEO対策を行うのであれば、一度利用してみてもよいでしょう。

カニバリの対処方法

タイトルや記事内容の変更を除くと、カニバリの対処方法は大きく分けて次の4つです。

  • 削除する
  • 統合して評価を引き継ぐ
  • 正規URLを指定する
  • 検索対象から外す

ここでは、各対処方法を解説します。

コンテンツを削除・非公開にする

サイトにとって不要コンテンツがカニバリを引き起こしている場合、そのコンテンツ自体を削除します。

サイトに不要なコンテンツとは、次の通りです。

  • 他記事と内容が重複しているもの
  • 情報が古く、信頼性に乏しいもの

このようなコンテンツがある場合、削除もしくは非公開にしましょう。

リライトで重複を解消できそうであれば、リライトで対処するのも有効です。

301リダイレクトで記事を統合する

SEO評価の高いコンテンツがカニバリの原因になっている場合、記事を統合して301リダイレクトを行います。

301リダイレクトは、ページが別の場所に移転したことを意味するステータスコードです。正しく実装すれば、カニバリの原因となっているコンテンツの統合後も、SEO評価を引き継ぐことが可能となります。

コンテンツ統合は、サイトの整理にもつながります。

ユーザーの回遊率向上や不足コンテンツの発見など間接的なSEO効果に期待できるでしょう。

canonicalを使って正規URLを指定する

カニバリの原因となっているコンテンツを何らかの理由で残しておきたい場合、canonicalタグを使います。

canonicalタグは、内容が重複していてもページを残しておきたい場合に有効です。

たとえば、ECサイトにある色違いの商品ページの場合、類似ページにcanonicalタグをつけて、正規URL(代表となるページ)があると伝えることで、カニバリを防ぎます。

仮にA・B・Cという色違いの商品があって、商品Aを表示させたいなら、BとCにcanonicalタグをつけます。この場合、商品B・CのHTMLファイルのheadタグ内に下記のコードを記載することになるでしょう。

検索エンジンに「正規URLが別にある」=「このコンテンツは正規URLではない」と伝えることで、カニバリがなくなります。

残しておきたい類似コンテンツには、canonicalタグをつけてカニバリを防ぎましょう。

noindexで検索から除外する

カニバリの要因となっているコンテンツを残しつつ、特定人物以外に認知させたくない場合、noindexのタグを使います。

noindexはコンテンツにクローラが巡回しないようにするための設定です。

クローラによるインデックスが行われないため、検索に表示されなくなります。非公開のような状態となるため、重複したコンテンツに設定すればカニバリを防ぐことができます。

また、コンテンツ自体は残るのでnoindexを解除すれば再び検索対象に復帰させることも可能です。

一方で、noindex設定はカニバリの対処にはあまり使われません。Googleにもユーザーにも存在を認知させないのであれば、コンテンツを削除するのと大差がないからです。

加えて、noindex設定はSEO評価が数週間ほどでリセットされてしまいます。コンテンツを残せてもSEO評価が失われてしまうので、判断を保留したい場合の選択肢としても使い勝手がよくありません。

noindexでカニバリに対処する場合は、必要性を考えて慎重に行いましょう。

SEO対策におけるカニバリの予防法

カニバリの対処も大事ですが、そもそもカニバリを発生させないことが肝心です。

ここでは、カニバリの予防法について解説します。

キーワードマッピングを行っておく

カニバリの予防法として過小評価されがちなのが、キーワードマッピングです。

キーワードマッピングとは、起点となる検索キーワードを軸に、ユーザーの知りたいことを中心に関連キーワードをまとめた表図のことです。

各コンテンツを構成するキーワードが視覚的に見やすくなるため、同一キーワードの発見や防止につながります。

サイトを設計する段階でキーワードマップを組み込めれば、カニバリが発生しにくいサイト構成に期待できます。

検索意図の一致を確認しておく

検索エンジンと制作側の検索意図が一致しているか確認するのも大事です。

制作側は検索エンジンが一定の検索結果を表示すると想定しがちです。

一方で、検索エンジンと制作側の検索意図がズレるケースもあります。検索意図を人間と同じように理解できないために、想定外のコンテンツが「類似している」と見なすことも少なくありません。

カニバリの発生を防ぐためにも、キーワードの検索結果を確認して検索意図にズレがないか確認しておきましょう。

まとめ

カニバリはSEO評価を不安定にし、施策にも悪影響を及ぼします。

検索順位の動きがおかしいと感じたら、発生原因にあたりをつけ、カニバリが発生していないかチェックしましょう。

カニバリを発見したら、状況に合わせて適切な対処方法を取ります。どうすれば「SEO評価を下げずに対処できるか」を軸に選ぶのがポイントです。

カニバリの予防には、キーワードマッピングが有効になります。検索意図の一致を確認しつつサイト構成に取り入れれば、カニバリ発生を防止できるだけでなく、SEO効果も期待できます。

多くのコンテンツを抱えるサイトほど、カニバリに注意を払う必要があります。サイト運営に携わる方は、カニバリの知識を深め、その発見・対処・防止に努めましょう。