COLUMNコラム

特別なSEO対策は不要?パッセージランキングとは?

ライティング

Googleは検索結果の品質向上を目的として、さまざまなアルゴリズムの改善を続けています。その中でも注目を集めたアップデートのひとつが「パッセージランキング」です。

パッセージランキングは、ページ内の特定の文章や段落を理解し、検索内容との関連性をより正確に判断するための仕組みです。この技術の実装により、検索エンジンは、今まで以上にサイト内の有益情報を見落としにくくなりました。

その一方で、パッセージランキングの実装にあたり、「長文コンテンツが有利になる」「専用のSEO対策が必要になる」といった誤解をする人も少なくありません。こうした見方に対して、Googleのマーティン・スプリット氏は「特別な対策は必要なく、ユーザーの疑問に答える高品質なコンテンツ作りが重要」と説明しています。

この記事では、パッセージランキングの仕組みや実装された背景、SEOへの影響についてわかりやすく解説します。対策が必要か迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

パッセージランキングとは

パッセージとは、Webページ内にある段落や数行のテキストなど、まとまった文章の単位のことです。従来の検索エンジンは、検索クエリとページ全体の関連性を主要な指標として検索結果を出していました。パッセージランキング実装後は、ページ内の文章や段落についても、関連性が評価されるようになっています。

ここでは、パッセージランキングの仕組みや目的、ランキング評価について解説します。

仕組みと具体例

パッセージランキングは、インデックスしたページ内の文章をいくつかのまとまり(パッセージ)に分解し、それぞれが検索クエリとどれだけ関連しているかをAIが判断する仕組みです。これにより、検索エンジンはこれまで以上に、ページ内の文章や段落から有益な情報を取り出せるようになりました。

たとえば、ユーザーが「ピリ辛ネギの作り方」を検索したとしましょう。この場合、パッセージランキング実装前は、「ピリ辛ネギのレシピ紹介」をメインテーマとしたページが表示されやすい傾向がありました。

一方、実装後はページ全体のテーマが異なっていても、「ピリ辛ネギの作り方」に関する情報が含まれていれば、検索結果に表示される可能性が高まっています。ピリ辛ネギそのものを主題にしたページだけでなく、ラーメンのトッピングとして作り方を紹介しているページからも、該当する情報を拾い上げられるようになりました。

パッセージランキングによって、検索エンジンは、これまで埋もれていた有益情報を検索結果に反映できるようになっています。

実装の背景と目的

パッセージランキングが実装されたのは、Googleが「文章量やトピックが多いページの中には優れた回答を提供できる情報が含まれていることがあるのに、ページ全体を重視する仕組みでは、それらを十分に活用できない」と考えたからでした。

先ほどの例なら、「ピリ辛ネギの作り方」が他より詳しく掲載されていても、そのページのテーマが「ラーメン」であれば、検索結果に反映されにくかったわけです。このような課題を解決し、「ページ単位の評価では拾いきれなかった有益情報をユーザーに届けること」が、パッセージランキングの目的でした。

ランキング評価の工程

評価の基準となるのは、各パッセージと検索クエリとの関連性です。この判断にはAIが使われており、文章の意味を読み取ったうえで関連性を判断します。たとえば「ピリ辛ネギの作り方」というクエリに対して、ラーメンのトッピングを紹介するページの中に該当する説明があれば、そのパッセージが評価対象になります。

ただし、パッセージ単位の評価は、ページ全体の評価を置き換えるものではなく、あくまで追加の評価軸として機能します。そのため、パッセージの内容が優れていても、ページ全体の品質が著しく低い場合は、検索結果での上位表示が難しくなることもあります。検索順位はページ・パッセージ単位を含む総合的な品質で評価されます。

パッセージランキングと混同しやすい仕組み

パッセージランキングは、ページ内の特定パッセージと検索クエリとの関連性を評価することで、検索結果の精度を高めるための仕組みです。一方で、その名称や機能の類似から、他の仕組みと混同されることがあります。

ここでは、インデックス登録や強調スニペットとの違いについて解説します。

インデックス登録との違い

インデックス登録とは、検索エンジンがWebページの情報を収集し、検索結果に表示できる状態にすることです。

インデックス登録とパッセージランキングは、役割そのものが異なります。インデックス登録は「ページを検索結果の候補として登録する仕組み」であるのに対し、パッセージランキングは「ページ内の文章や段落と検索クエリとの関連性を評価する仕組み」です。

一方で、両者は旧称が原因で今でも混同されることがあります。パッセージランキングは、Googleが2020年10月に開催した『Search On 2020』で発表された当初、「Passage Indexing(パッセージインデックス)」と呼ばれていました。

このような経緯から、現在でもパッセージランキングとインデックス登録の仕組みだと誤解している人もいます。

強調スニペットとの違い

強調スニペットとは、ユーザーの検索内容に対する回答を、検索結果の上部に抜粋して表示する機能です。通常の検索結果よりも目立つ位置に「テキストの塊」や「表」「リスト」として直接表示されるため、ユーザーはページにアクセスしなくても瞬時に答えを知ることができます。

強調スニペットとパッセージランキングは、どちらもページ内の文章を活用する仕組みです。しかし、その役割は異なります。
パッセージランキングは、ページ内の文章や段落と検索クエリとの関連性を評価し、検索順位の判断に活用します。一方で、強調スニペットは、検索結果に表示する回答を抜粋するための表示機能です。つまり、パッセージランキングは「ランキングの仕組み」、強調スニペットは「検索結果の表示形式」という違いがあります。

強調スニペットでは、ページ内の特定の文章や段落が検索結果上に表示されます。そのため「ページ内の一部分が評価される」という点から、パッセージランキングと同じ仕組みだと誤解する人もいます。

SEO対策への影響

パッセージランキングが実装されたことで、これまで長大なコンテンツの中に埋もれていた文章・段落が検索結果に表示されるようになりました。とはいえ、パッセージごとに評価されるように対策する、というのは難しいのが現状です。

事実、Googleのマーティン・スプリット氏は2020年11月19日に公開した対談の中で、パッセージランキングに対応して何か特別なことをする必要がありますか? という質問に対し、次のようのような見解を述べています。​​

「いいえ。それはほぼ完全に内部的な変更なので、何かをする必要はありません。ウェブサイトに変更を加える必要も、ページや記事、マークアップに変更を加える必要もありません。パッセージランキングの実装は、単にページの内容をより詳細に理解し、ページのさまざまな部分を個別に評価できるようになるということなのです」

スピリット氏は同対談で、元から適切なSEO対策を行っているのであれば特別な対応は必要ないことを強調しています。

参考:Search Engine Journal「Googleパッセージランキングとは:知っておくべき16のポイント」

Googleが求める基本的なコンテンツ設計

 では、スピリット氏が述べていた適切なSEO対策をする、とは具体的にどのようなことを指すのでしょう? ここでは、パッセージランキングの視点も交えつつ、Googleが求める基本的なコンテンツ設計を3つ解説します。

見出し構造の最適化

1つ目は、見出しを階層ごとに整理し、記事全体の内容や流れを分かりやすくする見出し構造の最適化です。

パッセージランキングでは、ページ内の文章や段落と検索意図との関連性が評価されます。見出し構造が整理されていると、各セクションで扱うテーマが明確になるため、検索エンジンが内容を理解しやすくなります。結果として、パッセージランキングが重視する「特定の情報と検索意図との関連性」を判断しやすいコンテンツになると考えられています。

見出し構造は、h2・h3・h4などの階層を意識して設定しましょう。例えば、大きなテーマをh2、その補足情報をh3で整理すると、記事全体の構造が分かりやすくなります。また、関連する内容は同じ見出しの配下にまとめ、異なるテーマをひとつのセクションに詰め込まないことも重要です。

段落で整理された情報設計

2つ目は、ひとつの段落でひとつのテーマを扱い、関連する情報を整理することです。

パッセージランキングでは、検索意図とページ内の文章・段落との関連性が評価されます。段落ごとに扱うテーマが明確であれば検索エンジンが内容を理解しやすくなり、結果として、パッセージランキングでも評価されやすくなるとされています。

ひとつの段落で複数の話題を扱わないよう意識しましょう。たとえば、猫の飼い方を解説する記事で、「食事」「トイレ」「しつけ」の内容をひとつの段落にまとめると、読者は必要な情報を見つけにくくなります。食事、トイレ、しつけといったテーマごとに段落を分けることで、情報が整理され、内容を理解しやすくなります。

ユーザーの疑問に答える文章

最後は、検索意図に対して、明確な回答を提供できるように文章を作成することです。

パッセージランキングは、文章や段落に含まれる情報を検索意図に沿って理解・評価する技術でもあります。そのため、ユーザーの疑問に対する回答が明確に記載されていると、検索エンジンが内容を適切に把握しやすくなります。ユーザーにとっても必要な情報を見つけやすくなり、結果としてパッセージランキングでも評価されやすくなるとされています。

疑問に答えるには、文章を作成する際に「読者は何を知りたいのか」を意識することが重要です。たとえば、「エアコンの電気代を節約する方法は?」という疑問に対しては、まず結論部分である節約方法を示し、その後に設定温度の目安や注意点を補足すると理解しやすくなります。質問に対する回答を曖昧にせず、結論を明確に示すことも大切です。ユーザーが求める情報を的確に提供できる文章は、読者満足度の向上だけでなく、検索エンジンによる内容理解にも役立ちます。

これまで紹介した3つのコンテンツ設計は、従来通りの基本的なSEO対策です。特別な対策を講じるのではなく、今までどおり高品質なコンテンツ作りを目指すことが、結果としてパッセージランキングへの対応につながります。

パッセージランキングの注意点

パッセージランキングは、ページ内の情報をより適切に理解するための仕組みですが、その特徴だけが独り歩きして誤解されることも少なくありません。最後にパッセージランキングの注意点を解説します。

既存システムの強化が主目的で、特別なSEO対策は必要ない

パッセージランキングは、検索システムを一新するものではなく、既存のランキングシステムを強化する仕組みです。Googleも「ページ内情報をこれまで以上に細かく理解できるようになった」としつつも、従来どおりユーザーの疑問に答える質の高いコンテンツ作りが重要であると説明しています。

これまで適切なSEO対策を実施してきたのであれば、新たに特別な対策を講じる必要はないというのがGoogleの見解です。技術として覚えておくことは大切ですが、過度に意識して対策する必要性はないので注意しましょう。

ページ全体の評価を置き換えるものではない

パッセージランキングの実装で、段落や長文も、検索意図との関連性が細かく評価されるようになりました。ただし、これは、ページ全体からコンテンツを評価する仕組みに置き換わるものではありません。パッセージランキングはあくまで数ある評価アルゴリズムの一つ、という立ち位置です。

そのため、対策は満遍なく行う必要があります。パッセージランキングに特別なコストを割く必要性は薄いといえます。

長文コンテンツが有利になるわけではない

パッセージランキングの実装により、これまで長文に埋もれていた有益な情報も、検索意図との関連性から適切に評価されるようになりました。しかし、これは決して長文だから評価されるわけではありません。あくまで、含まれている情報が検索クエリに対して有益であることが重要です。

パッセージランキングで評価されるのは文章量ではなく、ユーザーにとって価値のある情報かどうかです。検索順位を意識して、文章を長くする必要はないので注意しましょう。

まとめ

パッセージランキングは、ページ内の文章や段落をより細かく把握し、検索結果の精度を高めるための仕組みです。ページ全体の評価に取って代わる仕組みではなく、全体のランキングシステムを補完・強化する目的で導入されています。

パッセージランキングに向けた特別なSEO対策を行う必要はありません。見出しや段落を整理して情報をわかりやすく伝えることを意識すれば、それ自体が対策につながります。これまで通り、高品質コンテンツ作りに注力しましょう。