COLUMNコラム

ベニスアップデートとは? 地域ビジネスに与える影響とSEO対策を解説

ライティング

ベニスアップデートとは、2012年にGoogleが実装したアルゴリズムで、ユーザーの検索位置に基づいて地域性の高い検索結果を表示する仕組みです。たとえば、旅行先でスマートフォンから「ラーメン」や「カフェ」などで検索したとき、訪れている地域の店舗が検索トップに表示された経験はないでしょうか? このような「検索する場所」によって結果が変わる仕組みは、ベニスアップデートによって実現されました。

本記事では、ベニスアップデートが与える影響や、その恩恵を得るためのSEO対策について解説します。地域ビジネスのネット集客では必ず押さえておきたい知識です。該当する企業・店舗の運営に携わる方は、ぜひ記事をご参照ください。

ベニスアップデートとは?

ベニスアップデートとは、検索結果にユーザーの位置情報を反映するために行った検索エンジンのアップデートです。このアルゴリズムの変更により、検索クエリに地名が含まれていなくても、ユーザーの現在地に基づいて、関連性の高いローカルな検索結果が表示されるようになりました。

たとえば、「&near=」で地域を指定して東京・大阪で「ラーメン」と検索すると検索結果に以下のような違いが出ます。

参照画像:「ラーメン&near=東京」のGoogle検索結果

参照画像:「ラーメン&near=大阪」のGoogle検索結果

このように、同じ検索ワードでも「ユーザーがどの地域にいるか」で検索結果が変化するのがベニスアップデートの特徴です。

ベニスアップデートは2012年にGoogleによって導入され、主にアメリカで先行実装されたのち、他国にも順次展開されました。この背景には、世界的に広まったスマートフォンの普及があります。ユーザーの「スマートフォンから現在地に近い店舗やサービスを探す」といった行動が急増したことで、検索エンジンにも地域性に基づく検索結果が求められるようになったのです。

ベニスアップデートの狙いは、「より利用者個人に最適化された実用的な検索結果」を届けることにあります。特に地域ビジネスにとっては、検索結果の上位に表示される新たなチャンスを生む転機となりました。これにより、近年のSEO対策では地域を意識した情報設計が必要不可欠になっています。

ピジョンアップデートとの違い

ベニスアップデートと混同されやすいのが、2014年に導入された「ピジョンアップデート」です。どちらもローカル検索に関係するGoogleのアルゴリズム更新ですが、目的や影響範囲に違いがあります。
ベニスアップデートは先述した通り、検索ユーザーの位置情報に応じてローカルな検索結果を自然検索(オーガニック検索)に反映させることを目的としています。検索クエリに地名が含まれなくても、ユーザーの現在地をもとに地域関連の情報が自動的に表示されるようになったのが大きな特徴です。
一方、ピジョンアップデートは、Googleマップと自然検索(ウェブ検索)の統合性を高めるためのアップデートです。これにより、ローカル検索結果がより正確かつ一貫性のある表示になりました。
たとえば店舗の評価・距離・営業時間といった情報が検索順位を決める上でより重視されるようになったのがその一例です。また、ナビゲーションやローカルパック(地図付きの上位表示枠)との連動も強化されました。
ベニスアップデートとピジョンアップデートの両者の違いを表にすると以下の通りです。

比較項目ベニスアップデートピジョンアップデート
導入時期2012年2014年
主な対象自然検索自然検索+Googleマップ
目的ユーザーの目的に基づいた検索結果の最適化ローカル検査結果の品質向上と地図連携
特徴地名を含まないクエリでも地域性が反省されるローカルパック・レビュー・距離などの評価基準強化

どちらのアップデートもローカルSEOに影響を与える重要な要素ですが、ベニスは検索結果の「出し方」の変化、ピジョンは「評価」の精密化というように、機能と役割が異なっています。
地域ビジネスでは、この2つの違いを理解することが、検索表示の仕組みに合った効果的なSEO対策につながります。

ベニスアップデートが与える影響 

ベニススアップデートにより、ユーザーは地名を入力しなくても店舗を探せるようになり、結果として、地域ビジネスはGoogle検索を通じて新たな顧客にリーチする機会が得られるようになりました。

具体的にベニスアップデートで地域ビジネスはどのように変わったのでしょうか?
ここでは、影響を受けた業種や、アップデート後のSEO戦略の変化について解説します。

影響を受けやすい業種

ベニスアップデートはその特徴から、地域と関連する業種に大きな影響を与えました。具体例を挙げると以下の通りです。

  • レストラン
  • 居酒屋
  • 病院
  • 不動産
  • 美容院
  • ジム
  • 弁護士事務所
  • 水回り業者
  • 映画館

これらの地域ビジネスに関連したサービスは一見バラバラのように見えて、顧客が「物理的な場所」を基準にして行動するという点で共通しています。つまり、ニーズに応じるには、ユーザーの行動範囲を念頭に置かねばならないということです。

ベニスアップデートでは、品質や信頼性より「検索された場所」を評価基準の上に置くことで、このニーズを満たしています。この変化により、先に挙げたような業種は、「地域名」や「店舗の住所情報」などのローカル要素をWeb上で明確に伝えなくては、自社情報を上位表示させるのが難しくなっています。

しかし、これは裏を返せば、地域密着型のビジネスにとっては、競合が多くても自社のエリア内で上位表示を狙えるチャンスが広がったとも言えます。
次の項目では、このベニスアップデートをチャンスとして活用する視点から、地域ビジネスにとってのメリットを掘り下げていきます。

地域ビジネスの集客チャンス拡大

ベニスアップデートにより、検索結果にユーザーの現在地が強く反映されるようになりました。これは、より具体的には「ユーザーがサービスや店舗を探す際に地元のビジネスが検索上位に表示されやすくなった」と言い換えることができます。

アップデート以前は、大手ポータルサイトやSEO対策の進んだ大企業のページが検索結果の上位を独占しがちでした。しかし、アップデート後は「場所」に紐づいた検索意図が重視されるようになっています。これにより、中小規模の地域密着型店舗でも、検索結果で目立てるチャンスが大きくなりました。

たとえば、現在の検索表示では、全国展開していて知名度が高い大手飲食店であっても、ユーザーの近場に店舗がなければ上位表示されません。Googleが「今すぐ食事をしたい」というニーズを「今いる場所」から推測して、近場の飲食店を上位表示するからです。

このような変化により、地域ビジネスは、これまで以上に「地元にいるお客様に見つけてもらえる可能性」が高まりました。つまり、ベニスアップデートは、地元に根差した小規模企業や個人店が、ネット検索の場で大手企業と対等に戦える土壌を作ったのです。これは、地元での存在感をオンラインでも強化したい事業者にとっては、大きな追い風になっています。

ベニスアップデートへのSEO対策

ベニスアップデート以降、検索結果にはユーザーの「位置情報」が強く影響するようになりました。地域ビジネスにとっては集客のチャンスが広がった一方で、「地域性を意識したSEO対策(ローカルSEO)」を行わなければ、地元の見込み客に見つけてもらうのが難しくなっています。

地域密着型の店舗やサービスが集客機会を最大化するには、ベニスアップデートの特徴を活かした対策が不可欠です。そこで、ここでは、そのために押さえておきたいSEO対策を4つ紹介します。

タイトルや見出しに地名を入れる

1つ目はタイトルや見出しに地名を含めることで、検索エンジンに地域の店舗やサービスであることを伝えることです。

ベニスアップデート後は、検索ワードに地名を含めなくても現在地に応じた検索結果が表示されます。しかし、検索エンジンに現在地とページの関連性を理解してもらうには、タイトルや見出しに地名を含めた方が効果的です。地名を見出しに含めることで、ローカルとの関連性が強化され、ベニスアップデートのロジックに合致した表示がされやすくなります。

地名を入れることで、検索エンジンに対して「この地域に関連した情報」と明確なシグナルを送ることができます。また、ユーザー自身も地名が含まれたタイトルを見ることで「近所の情報だ」と認識しやすくなり、クリック率の向上にもつながるでしょう。「検索意図と地域性の一致」を強化する施策であり、ローカルSEOの基本です。

地域密着型コンテンツを作成する

2つ目は、地元ユーザーの検索意図に沿った地域密着型コンテンツを作成することです。

ベニスアップデートは、地域の関連情報が豊富なページを優先的に上位表示する傾向があります。たとえば、ビジネス情報だけでなく、その地域ならではの歴史や文化、イベントに関する情報などを掲載すると、検索エンジンから関連性を評価されやすくなります。

地域に根ざしたコンテンツを扱うことで、ローカルユーザーのニーズに直結する内容を提供できるようになります。彼らの共通したニーズは「この地域での選択肢を知りたい」です。このようなニーズに応えられる地域密着型コンテンツは、ローカルSEOで上位表示されやすい傾向があります。

Googleビジネスプロフィールに登録する

3つ目は、Googleマップで店舗情報を表示するため、Googleビジネスプロフィールに情報登録することです。

Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)への登録は、Googleのローカル検索アルゴリズムと強く連動しています。 ベニスアップデート後は、地図情報や営業時間・場所といった情報をGoogleが直接取得・表示するようになりました。そのため、ビジネスプロフィールに登録すれば、検索結果の「地元密着ニーズ」に即座に応えられる仕組みに乗ることができます。

Googleビジネスプロフィールは、ユーザーが「近くの○○」といった検索をした際に最も目立つ位置に表示されるツールです。 ローカルSEOにおいて、Googleマップやナレッジパネルで目立つ位置に表示されることは、検索結果での可視性を飛躍的に高めます。また、レビューや営業時間などの詳細情報を通じて、地域ユーザーとの信頼関係を構築するのにも役立ちます。

NAP情報を統一して充実させる

4つ目は、「Name(名前)」「Address(住所)」「Phone(電話番号)」の3つの情報(NAP情報)を各情報メディアで統一して記載することです。

GoogleビジネスプロフィールやWebサイトなどのNAP情報が統一されていれば、Googleは一貫した情報から店舗が実在する地域ビジネスと判断しやすくなります。ベニスアップデート後は、検索結果におけるローカル要素が強化されたため、NAP情報の正確性が検索順位に影響を与える度合いも大きくなっています。

地域ビジネスにとって、NAP情報は「どこで、誰が、どう連絡を取れるか」という信頼性の基盤です。各情報サイトやSNSなどにも一貫して掲載することで、ローカル検索での信頼度が高まり、Googleマップや検索結果の可視性にも良い影響を与えます。また、ユーザーが迷わずアクセス・連絡できる状態を作ることが、実店舗への誘導にもつながります。

まとめ

ベニスアップデートにより、地名を入れなくてもユーザーの検索位置に基づいて地域性の高い検索結果を表示できるようになりました。この仕組みは、地域ビジネスに携わる中小企業や個人店が、ネット検索の場で大手企業と対等に競い合うための土台になっています。

今後は、地域性を意識し「今この場所で求められている情報」を的確に届けることが、地域ビジネスにおけるWeb集客のカギです。ベニスアップデートの仕組みを理解し、ローカルSEOの視点を取り入れることで、より多くのユーザーに選ばれる事業体になりましょう。